【養育里親制度とは?知りたい7つのこと】条件は?特別養子縁組との違いは?メリットは?専門家がわかりやすく解説!
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LEE編集部
2022.04.03
さまざまな理由で実親と暮らせない子どもたちを、家庭に迎えて養育する"里親制度"。耳にしたことはあるけれど、実際の仕組みは知らない、という人も多いのでは?
そこで、里親と養子縁組の違いや、日本の現状、費用面などの基礎知識を、専門家がわかりやすくレクチャー!
里親の必要性や、社会全体で理解することの大切さについて考えます。
この記事は20222年2月7日発売LEE3月号の再掲載です。
目次
- "養育里親制度"とはどんなもの?
- 専門家が教える里親について知りたい7のこと
専門家がレクチャー
"養育里親制度"とはどんなもの?
NPO法人キーアセット 代表 渡邊 守さん
2010年キーアセットを設立。東京、川崎、大阪など6つの自治体の里親事業を請け負う。独自の広報や研修プログラムで里親制度の定着やサポートを実践。
NPO法人キーアセット:https://kiiasetto.or.jp/
里親になることは難しくても里親が孤立しない環境作りを
里親の中でも、30~40代のLEE世代に特にかかわりが深く、知ってほしいのが“養育里親”。あらためて、どんな制度なのでしょうか?
「0~18歳までの子どもを自分の家庭に迎え入れ、家庭環境で養育することを“養育里親”と言います。
家庭内の虐待や経済的な問題で実親のもとで適切な養育が困難だとされて⾥親家庭に来る⼦どももいれば、親の産後の体調がすぐれなかったり⼊院などで⼀時的に親に代わる養育が必要なことも。
⼦どもの年齢、期間、条件はさまざまです。“ご近所同⼠で⼦育てを担い合う”ことを、⽀援を受けながら制度にのっとってフォーマルにしたもの、という認識がわかりやすいかと。
⾥親になるには、健康⾯、経済⾯、⽣活環境などが⼦どもを育むのに問題ないかどうか調査を受けたり、定められた研修を受ける必要はありますが、ご近所や知り合いの⼦育て世帯を⽀える感覚で養育⾥親になることを考えてみてもよいと思います」(NPO法人キーアセット 代表 渡邊 守さん)
とはいえ、日本ではあまり広まっておらず、養育里親の数も不足しているそう。原因は「里親制度への理解不足にある」と渡邊さん。
「里親は児童福祉法で定められた国の制度。そこには、保護者とともに、国や地方公共団体も子どもを健やかに育成する責任を負う、とあります。養育里親になる家庭が増えれば成り立つわけではなく、それを支える環境がないと成立しないのです。
里親経験者に話を聞くと、大半は養育や子どもの成長を身近で見守ることに充実感を感じています。でも、世間の里親と里子に関しての認知度の低さや、里親が特殊な家庭像として孤立しやすい現状につらい思いや経験をしている⾥親も少なくありません。
里親制度の普及、定着のためにはここを変えていくことが急務。まずは多くの人が里親制度についてきちんと知ること。そして、もしも里親家庭が身近にいたら温かい目で見て、サポートすること。
実際に自分が里親になることはハードルが高くても、多くの人が制度を正しく知って理解するだけで、里親を巡る現状は変わってくるはずです。まずは、自分にできることから始めてみてください」(NPO法人キーアセット 代表 渡邊 守さん)
専門家が教える里親について知りたい7のこと
1)そもそも里親制度とは?
児童福祉法で定められた国の制度で、里親登録は都道府県、または政令市が実施。養育里親の中には、乳児期から中高生になるまで養育する長期間のケースと、数週間~数カ月の短期の預かりも。
また、最終的には養子縁組を結ぶことを前提としているのが養子縁組里親。さらに、自治体によって定義や呼び方は異なるものの、週末や長期休暇のみ施設で暮らす子どもを養育する里親制度などもあります。
養育里親
さまざまな理由で親と離れて暮らす原則として0~18歳までの子どもを、実親の家庭に帰るまでや自立するまで、一定期間養育する里親。
養子縁組里親
養子縁組によって、子どもと法的な親子関係を結ぶことを前提とした里親。養子縁組が成立するまで、里親として一緒に生活する。
専門家が教える里親について知りたい7のこと
2)なぜ里親は必要なの?
現在の日本には、さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもが約45000人も。そのうち、里親家庭で暮らしている子どもは約2割と言われています。
家庭で傷ついたり、家庭を知らない子どもたちに施設が果たす役割は大きいものの、家庭を必要としている子どもたちには、里親家庭での養育を通して、安心感と健やかな育ちを提供することが必要です。
施設等で暮らす子ども
専門家が教える里親について知りたい7のこと
3)"里親"と"特別養子縁組"の違いは?
混同されがちな2つの制度ですが、"特別養子縁組"は手続きをして法律上の親子となること。法律上の親である養親が親権を持つので、手術の同意、進学先の決定など、子どもの養育にかかわることの決定権を持ちます。
"里親"は、親権を実親が持ち、養育部分のみを請け負うこと。子どもが実親と離縁をせず、いずれ実親のところに戻ることを前提としているのが、決定的な違いです。
里親の場合、里親手当や養育費などのサポートもあり。
専門家が教える里親について知りたい7のこと
4)里親になるために特別な資格はいる?
特別な資格は必要ありませんが、里親を希望すると各自治体が設定する面談、研修、乳児院や児童養護施設での実習、家庭訪問などを受ける必要が。
面談では里親になる人の生育歴、家族との関係性、健康状態なども確認。家庭訪問では家の広さなどの生活環境をチェックして、多方面から里親に適任か判断されます。
熱意があっても、体力に心配があるといった場合は、里親認定が難しいことも。
専門家が教える里親について知りたい7のこと
5)里親のもとで暮らすことで、子どもにはどんなメリットが?
子どもにとって幼少期に"大切にされなかった期間"がないようにすることが大切です。
何らかの事情で実親と離れて暮らす場合も、健全な養育環境にブランクがないように、里親家庭で子どもが生活できる環境を整えることは大きなメリット。子どもの自己肯定感の形成や心の安定にもつながります。
実親と暮らす家の近所に里親がいれば、転校をしなくて済むといった物理的ないい面も。
専門家が教える里親について知りたい7のこと
6)実子がいても里親はできる?
実子がいても里親になることは可能です。その場合、実の子どもに里親になることを伝え、理解を得たうえで里子を迎えるのが理想。
実際に、実子と里子の相性が悪くトラブルに発展するケースもあるので、しっかり説明することと、施設に何度か足を運んで里子との関係を深めるなど十分な準備が必要です。
実子の年齢や性別を考慮して、養育する里子や預かる期間を決めることもできます。
専門家が教える里親について知りたい7のこと
7)里親になったら、里子の養育費、医療費、もしもの事故などはどうするの?
里親手当と、里子の養育にかかる費用は月額で支払いあり。財源は国と自治体で5割ずつと定められており、国で定めた基準は最低限なので地域によっては何かしらの手当が加算されるケースも。
医療費、学費なども必要な分は支払われ、事故によるケガなどは里親が任意で加入する責任賠償保険で保障されることがほとんど。
里親に支給される費用の目安
里親手当(月額)
1人目 / 約9万円
2人目以降 / 約9万円
生活費(月額)
乳児 / 約6万110円
乳児以外 / 約5万2130円
※その他、医療費、教育費なども必要に応じて支給
※各自治体により異なります
イラストレーション/朝倉千夏 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2022年2月7日発売LEE3月号『子育てをしながら"里親になる"という選択』の再掲載です。
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