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【がんになったら?Q&A】お金、育児、仕事の相談は?どこを頼ればいいの?

  • LEE編集部

2021.08.25

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ある日突然、「がん」と告知されたら・・・?

治療、お金、仕事、家族・・・様々なことが頭をよぎって、不安になってしまうのも仕方のないこと。

自分だけでなく、家族や友人が診断された場合でも、あわてず、あせらず、あきらめないために、がんとこれからの暮らしについての知識を、Q&A形式でお届けします!

この記事は2021年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。


もしもがんになったら…
どう伝えるべき?相談できるところはあるの?

教えてくれたのは…
聖路加国際病院 がん相談支援室 橋本久美子さん

聖路加国際病院 がん相談支援室 橋本久美子さん

聖路加国際病院 相談支援センター がん相談支援室の専任看護師。治療について、仕事との両立、お金のことなど、がん患者やその家族からのさまざまな相談に応じる。最近では若くしてがんになった"AYA世代"への支援も。

がん相談支援室とはどんなところ?

がん患者、家族など誰でも無料で相談できる

がんに対しての標準的な治療や施設を完備していて、全国に451施設がある「がん診療連携拠点病院」。そこに設置されているのが「がん相談室」です。がんの早期発見・早期治療をする際に、安心して誰でも相談できる場所が欲しいという声から生まれました。
その病院で診療を受けていなくても、がん患者、その家族、同僚、友人など誰でも無料で相談が可能。
忙しそうな先生には聞きにくい治療内容の確認、セカンドオピニオンの必要性など治療についての相談が全体の4割ほどで、仕事や治療費のこと、家族にどう伝えるかなどの相談もあります。

がんのことを子どもにどう伝えるべき?

子どもが「自分のせい」だと思わないようにケアを

子どもも家族の一員なので、同じテーブルについて話をしたほうがいいといわれています。何も言わずに親の様子が変わると「僕が言うことを聞かなかったから」などと自分のせいだと思い込んでしまうことも。
「ママは病院に行くけどおばあちゃんと一緒にいてね」などと、状況はしっかり伝えたほうが子どもは安心します。
必要があれば、医療環境にある子どもや家族に心理的な支援を提供する専門職「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」の紹介も。親ががんになった子どもたちへのサポートもしていて、親子どちらにも会ってケアしてくれます。



治療中、育児を頼れる人がいない場合、サポートしてくれる施設やサービスはある?

地域や病院のソーシャルワーカーに相談を

入院中や抗がん剤治療中で大変なときの育児については、ぜひソーシャルワーカーに相談をしてみてください。自治体や各病院に常駐していることも。子どもの預け先などの社会資源に詳しく、暮らしをどう支えるかを考える専門家なので、緊急の子どもの預け先やシッターの紹介先などを教えてくれます。
また、がんの治療を始めて仕事を休職や退職すると、そのまま保育園を退園してしまうケースが多いよう。抗がん剤治療中などであれば継続して預けられる場合もあります。すぐに自分たちで判断せずに、看護師やソーシャルワーカーに確認を。

突然がんになったら、お金のことが心配です……。

最初の治療の1年間で約100万円あると安心

がんの治療は保険適用ができるので、最終的には還付されるものがほとんど。ただ、治療時には持ち出しが必要になるので、3割負担の保険だと乳がんの手術時の持ち出し費用は30万円ほど。手術、抗がん剤など主要な治療には約1年かかるので、現金のやりとりとしては100万円ほど用意できると安心だと思います。
ただ、高額療養費制度を用いた支払い方法は病院に確認を。ホルモン治療は10年ほど続けなければならず、一度に2万〜3万円、数カ月おきにお金が必要になるので、支払いが続かず治療を自己中断してしまうケースも。
お金のことは相談しにくいと思いますが早めに相談を。

がんになっても仕事は続けられるの?

コロナ禍での在宅ワークで治療中も続けやすく

仕事は収入の基盤として大切なので、できれば続けられるように支援しています。最近では、手術でも入院は数日、抗がん剤もホルモン治療も通院でできて、昔のように入院生活が続くということはないので両立が可能に。
病気をきっかけに転職したい方も、前職を辞める前にぜひハローワークへ相談を。がん患者がアプローチしやすい就業支援もあります。
最近は、コロナの影響でリモートワークが進み、働き方が多様化してきましたよね。抗がん剤の副作用でつらくても通勤がなければ対応しやすいはず。より仕事を続けやすい環境になっていると思います。

ほかにも、治療中に気軽に相談できる窓口はある?

ピアサポーターにがん相談室もぜひ活用を

これから先が不安で、がん経験者の話が聞きたいという方には、同じがん経験者が相談に乗ったりサポートする、ピアサポーターを紹介しています。
また、どんなささいなことでもがん相談支援室では相談を受けつけていますので、ぜひ活用を。例えば、治療中で体がつらくて子どもにごはんを作ってあげられないお母さんには、栄養士が簡単にできる電子レンジレシピを紹介することも。
妻ががんになって困った夫からの家のことや育児の相談もあります。また、若い世代のがん患者からは、セックスレスなどセクシャルな問題の悩みも。抱え込まずに、気軽に問い合わせてみてください。


取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2021年7月7日発売LEE8月号『続く「がんと暮らす」毎日』の再掲載です。

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