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【部屋干し臭対策】洗濯機掃除で重視すべき「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

  • 藤原千秋

2021.06.18

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蒸し蒸し、ジメジメ。洗濯物が乾きにくい日に限って、汗くさい汚れ物が増える。そんな悩ましい季節が今年もやってきました。

せっかく洗って乾いた衣類やタオルが、気持ち良くすっきり使えればいいのですが、「部屋干し臭」「不愉快な乾燥機臭」にまみれて仕上がっては興ざめ! そういった失敗洗濯原因のひとつに「洗濯機(洗濯槽)の汚れ」があること、ご存知でしたか? 今回は、ますますフル回転が見込まれる洗濯ハイシーズンを先取り。知っているようで意外と知らない「洗濯機掃除」について詳しくレクチャーいたします。

「洗濯機」ってどうして掃除しないとダメなの?

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

「いくら服が汚れていると言っても、洗うときには洗剤を入れるわけだし、きれいな水で濯ぎもしているし。どうしてその洗濯機が汚れるの?」。確かに、ちょっと解せないところはありますよね。

まず、「洗濯機」に限ったことではありませんが、水に触れるあらゆる道具には、水に含まれるミネラル成分の蓄積が起こり、かつ水気を好む細菌やカビといった微生物が発生するリスクが常にあります。

また、洗剤というものについて、それ自体が消毒剤のようなイメージでいませんか。実はそれは間違いで、洗剤(界面活性剤)というものは細菌やカビにとって「栄養」にもなってしまうもの。やや誤解されがちなので注意が必要です。

もちろん、洗濯機で洗うべき汚れ(脂肪分、たんぱく質、繊維質など含む)そのものも洗濯機を汚し、汚れは細菌やカビにとっての栄養にもなります。汚れには細菌やカビも含まれます。

これらの条件が相まって、適切な手入れ(掃除)をしない洗濯機は、梅雨~夏の気温が高いことも後押しして、汚れが溜まり、細菌やカビが繁殖するのに最適な環境になりやすい存在になってしまうのです。

洗濯機の汚れポイント

「水分、洗剤残り、汚れ(成分)」それから衣類(布)から出る「繊維クズ」

つまり、これらが洗濯機汚れの主原因であり、汚れそのもの四天王といえるもの。加えて近年、高機能、多機能化が進み、内部機構も複雑になっている洗濯機では、思いもよらぬところで汚れが蓄積されていることがあります。

基本的な部分から盲点まで、洗濯機の汚れポイントをひととおり押さえておきましょう。

1:洗濯槽

全自動洗濯機(縦型、ドラム式問わず)の洗濯槽は、脱水の関係でいずれも簡単に言えば「バケツの中にザルが入っている」ような構造になっています。このザルとバケツとの間に、繊維クズ、洗剤残り、衣類由来の汚れなどが付着し溜まってしまうのです。水分も残れば細菌やカビも繁殖します。

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

この洗濯槽汚れ。タワシなど何か道具を入れて落とすということができませんので、専用のクリーナー(洗剤)の力を借りることになります。

基本的に、縦型洗濯機の場合には市販の「酸素系クリーナー(主成分は過炭酸ナトリウム)」を使い、ドラム式洗濯機の場合には「塩素系クリーナー(主成分は次亜塩素酸ナトリウム)」を使うことになります。

塩素系クリーナーは縦型洗濯機にも使えますが、酸素系クリーナーは特殊なタイプ以外ドラム式洗濯機には使えないため、購入の際には必ず商品説明をしっかり確認してください。

酸素系は「汚れを剥がす」塩素系は「汚れを溶かす」イメージだと捉えておくと分かりやすいでしょう。

最近の洗濯機では洗濯モードの中に「槽洗浄」「槽乾燥」など洗濯槽ケアの項目があるので、取扱説明書をしっかり読んで推奨される方法を確認しておきましょう。

「自動槽洗浄」「自動槽乾燥」などの自動モードがある場合は節約せず、適宜活用するのが洗濯槽の衛生的にはマストです。

2:糸くずフィルター

縦型洗濯機の場合はネットタイプ、ドラム式洗濯機の場合はプラスチックタイプであることが多い「糸くずフィルター」。

ドラム式洗濯機では最終的な「排水フィルター」がこれを兼ねているため、洗濯物への影響はありません。一方、縦型のネットタイプは洗濯水に直に触れるため、繊維クズを捕捉しやすい反面、フィルター部分の汚れがダイレクトに洗濯物にも影響します。ヌメリが出ていたら細菌が繁殖している証拠です。放っておくと黒いカビも生えてきます。

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

ネットタイプは洗濯するごとに取り外してゴミを捨て、水でしっかり洗っておくことが必要です。破れや詰まりが生じた場合はすみやかに正規品に交換しましょう。プラスチックタイプも週に一度など、定期的に取り外してゴミを捨て水洗いしましょう。

3:フタ周り

縦型の場合は比較的シンプルな構造であまり重篤な汚れにはなりにくい箇所ですが、ドラム式では「密閉」しないといけない関係で、大きなゴムパッキン状になっており、そのヒダの裏側などに繊維クズや水分が溜まりやすくなっています。

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

多くのドラム式洗濯機の取説では、洗濯ごとの細やかな拭き取りを要求されている箇所で、これを怠ると容易にカビまみれになります。推奨されている手入れは使用毎に柔らかい布などで水気と汚れを拭き取ること。強い洗剤は使わないでください。

4:洗剤投入口(洗剤ケース)

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

「粉末洗剤」「液体洗剤」「柔軟剤」等に投入口が分かれており、 特に「柔軟剤」を入れる部分は柔軟剤が固まりやすい傾向があるため汚れが多く見られます。カビも生えやすい箇所なのでこまめな掃除が必要ですが、基本的にはケースを外して水洗いするだけで大丈夫です。

5:乾燥フィルター

乾燥機能のついている洗濯機にのみ存在する乾燥フィルターは、汚れが乾燥速度にダイレクトに影響するため、およそ乾燥毎くらいにこまめな掃除(ホコリ除去)が必須です。

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

ただ、順当に手入れしていても乾燥機能が落ちてくることが多々あり、その場合、ダクト部分にホコリが詰まっているケースが多いのですがこれは素人には手を出せません。手近な歯ブラシなどを使っての深追いは事故の原因になるので控えましょう。分解清掃を外注するしかない部分です。

6:排水フィルター

【脱・部屋干し臭】洗濯機の「汚れポイント7つ」とは?【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

既出の「糸くずフィルター」のドラム式版ですが、詰まると排水機能を脅かすので定期的な手入れが必要です。

7:風呂水フィルター

風呂水を吸水するホースの先に付いているフィルターで、髪の毛等の湯のゴミを濾しとるため汚れが激しい部分です。ただ梅雨から夏の洗濯に際しては、部屋干し臭の軽減のため風呂水の利用自体避けたほうが無難です。

新しい洗濯機を買ったばかりなら

毎日、毎日。場合によっては日に2回も3回も回すことになる子育て時代の洗濯機。なかなか日々のお手入れが行き届かなくても道理ですので、あまり神経質にならない程度に取り組むようにしてくださいね。

ただ、新しい洗濯機を買ったばかりだし、できるだけ長持ちさせたい! という場合には、使用毎(1日毎ではなく)に槽洗浄(自動モードを使用)、洗剤ケースの水洗い、糸くずフィルターの水洗い、乾燥フィルターのホコリ取り、フタ(パッキン)の拭き取りができると最高です。

ただ「できるだけ」なので、あまり思い詰めないようにしてください。

ドラム式なども、洗濯機の使用後はフタを開けておいたほうが内部のカビ発生は抑制されますが、子どもが入り込み閉じ込められる事故のリスクのほうが大きいので、優先順位を大事に。

その場合にはコストはかかりますが定期的に「槽乾燥」などのケア運転を行うことをお勧めします。

洗濯機の寿命は概ね「運転約3000回」なのだそう。適切なケアをすることで、その最初から最後まで、気持ちの良い洗濯ができるといいですね。


LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住生活ジャーナリスト、ライター

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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