ジェンダー、女性差別、貧困、性教育、政治……と各分野に詳しい、お笑いジャーナリストのたかまつななさんがおすすめ作品をセレクト。ストーリー性が高く、楽しみながら考えさせられる作品ばかりです。
お笑いジャーナリスト たかまつななさん
お笑いを通して時事問題を発信。著書に『政治の絵本 新版―学校で教えてくれない選挙の話』(弘文堂)、『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)。
お笑いジャーナリスト、時事YouTuberとして、政治、SDGsなどさまざまな社会問題をわかりやすく伝えるたかまつななさん。セレクトしたのは社会派な2作品。
「どちらも実話をもとにしたもの。事実は小説より奇なりと言いますが、実話を安易に感動ものにすることなく、そこにはどんな葛藤があったのかも含めて丁寧に描いている作品に、とてもひかれます。
また、どれかひとつの立場を礼賛するものではなく、違う立場の人のそれぞれの考えが色濃く出ていてほしい。政治や社会問題は、トレードオフ(何かを得ると何かを失う相容れない関係)で成り立っていることが多いんです。全員が言うことを実現できればいいけれどそれは難しく、妥協点を探ることが大事。
だからこそ、その問題にかかわる立場の違う人たち全員の主張を描くことができるのが、映画や芸術作品のよさだと思います。作品が、自分を疑い、立場の違う相手の考えを想像するきっかけになるといいですよね」(たかまつななさん)
映画 【グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル】
SNSや心理分析で選挙が覆る、このような事実があるのかと驚愕
「テクノロジーによって、世界で民主主義が壊れている様子を追ったドキュメンタリー映画。核兵器のようなわかりやすい凶器ではなく、SNSや心理学者の分析で選挙が覆されようとしていて、このような実態があるのかと驚愕。最後に、アメリカ大統領選挙を取材してこの実態を暴いた記者が『自由で公平な選挙を求めている』とスピーチしたシーンでは、事態の深刻さを感じました」(たかまつななさん)
映画 【ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書】
圧力を受けながらも報じる魂! 2人のジャーナリストの実話
「ベトナム戦争を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書=通称『ペンタゴン・ペーパーズ』の内容を社運をかけて報道したワシントン・ポストの2人のジャーナリストの実話を映画化した作品。圧力を受けながらも報じるという魂に感動。キャストがトム・ハンクスなど豪華で、映画としてのストーリーもおもしろいのでおすすめです」(たかまつななさん)
【特集】映画・ドラマで価値観をアップデート
詳しい内容は2021年LEE7月号(6/7発売)に掲載中です。
取材・原文/野々山 幸(TAPE)
※商品価格は消費税込みの総額表示(2021年6/7発売LEE7月号現在)です。
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