今年の確定申告、医療費控除は要注意!
新しい年が明けて間もなく、東京都とその周辺3県を対象に緊急事態宣言が出されたのは残念なことでした。私たち一人一人が新型コロナへの感染対策を心掛けるほかありませんが、一日も早い収束が待ち遠しいところです。
さて、年が改まると「確定申告」の話題が増えてきます。今年は国税庁が「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を公開していますが、中には私たちに身近な医療費控除に触れた部分もあります。医療費控除とは、1年間に一定以上の医療費(主に10万円を超えた場合)がかかった場合に所得税を軽減してくれる仕組みです。
対象になる医療費とは、医師による治療費や入院費(ただし健康保険対象の範囲)、処方された医薬品、また市販薬なども含まれます。
わかりやすい覚え方は「治療は対象、予防は対象外」。例えば市販の風邪薬や花粉症の薬は治療目的なので対象ですが、サプリメントやビタミン剤は対象にはなりません。また、健康診断や予防接種を受けること自体は対象外ですが、もし検診によって病気が見つかった場合は治療の一環と扱われて控除対象になるとされています。その原則を知ったうえで、コロナが関連する医療費控除のQ&Aを見てみましょう。
マスク代やPCR検査は医療費控除の対象?
「Q.私は、新型コロナウイルス感染症を予防するために、マスクを購入しましたが、この購入費用は、確定申告において医療費控除の対象となりますか。」
さて、これはどうでしょう。先ほどの「予防は対象外」を思い出してください。答えとしては「ご質問のマスクについては、病気の感染予防を目的に着用するものであり、(中略)、医療費控除の対象となりません。」でした。さらに、免疫力を高めるためにとの目的で購入したビタミン剤などもやはり対象外です。
次に、こんな質問です。
「Q.私は、先日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けましたが、この検査費用は確定申告において医療費控除の対象となりますか。」
今度はどうでしょう。こっちは、ちょっと複雑です。医師の指示に従って検査を受けた場合は、医師による診察や治療の費用に該当するため、医療費控除の対象になります。ただし、単に感染していないことを明らかにする目的で受けたなど、自己の判断により受けた検査費用は対象外。ところが、もしその結果で陽性と判明し、治療を受けることとなったとすれば、一転して対象になるのです。先の健康診断と同じ理屈ですね。
とはいえ、新型コロナ感染症については、現在のところ国のお金で検査・治療が行われており、自己負担が発生するケースは少ないでしょう。また、民間の医療保険から入院給付金を受け取った場合は、それを差し引いた残りの金額が医療費控除の対象になるので注意が必要です。
2020年は健康への関心がこれまでになく高まった年でした。やむを得ないケースを除き、病院に行くことをためらった人も多いでしょう。病院の処方薬ではなく、市販のOTC医薬品を一定以上(世帯での年間購入額が1万2000円以上)購入した人にも、条件によっては医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」が使えるので、緊急事態宣言の間に自宅でレシートを見直しておくのもいいかもしれませんね。(※二つの医療費控除は併用できないので注意してください)
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。