周りの声や思い込みから“こうしなきゃ”とママたちを縛る数々の呪い。実際ママたちはどんな呪いにとらわれているの? 専門家や先輩ママの声から呪いを解くためのヒントも探ります。
子どもに意思が出てきて言うことを聞かなくなる小学生以降。先生や周りの目が気になり、さらなる呪いに縛られる!
習い事の練習に、学校の宿題など“やらせなきゃ”と意気込むほど、ママは子どもがやらないイライラに苦しむ……。
●ピアノの先生に「小学生のうちは、親が子どもと一緒につきっきりで練習しないと上達しませんよ」と言われ、練習しないならやめなさいと怒鳴ってばかり。(とっとちゃん)
●自分でやりたいと言いだして始めたサッカーの習い事なのに、練習に行っても友達とけんかをしたり、ふざけて遊んだり。きちんと取り組まず、コーチに迷惑をかけていることがいたたまれずきつく当たってしまう。(まさ)
●宿題になかなか手をつけず、いつも寝る直前に叱りながらやらせている。また、私も仕事で疲れていて、丸つけや音読のチェックをきちんとできないと自己嫌悪に。(ゆうこ)
“親がやって当然”だという周りの目や意識も、ママたちをどんどん追い詰めている様子。
●母親が宿題を見てあげるべき、という学校からの要求にこたえられていない気がして、フラストレーションがたまる。子どもの行動はすべて親の責任だと思いすぎて、忘れ物や身支度などに、過度に神経質になってヒステリーを起こしてしまうことも。(ねこだいすき)
●1年生の2学期の通知表で算数に「悪い」の評価がついてしまい、「専業主婦なのにきちんと子どもの勉強を見てあげていなかった」と、ショックを受けた。(とっとちゃん)
そんな中、先輩ママからはこんな声も……!
●子どもが中学生になると、幼児教育に熱心だった家庭の子どもも、低学年のときに宿題をさぼりがちだった子どもも、大して差がついていないことに気づいた。本人がよほど好きでない限り、ピアノやスイミングなどの習い事を続けている子も少ないし……。昔はなぜあんなに必死だったのだろうと不思議に感じる。(ひろみ)
周りの人たちに迷惑をかけたくないという思いから、“叱らなければ”の呪縛にとらわれるママは多い。
●とにかくやんちゃでうるさい子どもなので、レストラン、電車、デパートなど、どこでも「静かに!」と怒っています。言いすぎて怒ることに疲れることも。(さき)
●人目を気にするあまり、子どもがびっくりするようなことを言うと、変なフォローをしたり、叱ってしまうことも。本当はしたくないのに……。親である私自身が、人に悪く思われたくないのだと感じます。(関サバ子)
“迷惑をかけたくない”気持ちは、学校や友達に向けてもたくさんあるようで……。
●学校からのプリントに「忘れ物をすると、周りの子の授業の妨げになったりするので、家でよく確認するように」とあり、忘れ物に気づいたら届けに行ったりしてしまう。自分の子ども時代を思い起こすと、忘れ物をして自分が困ったという失敗体験から学んできたので、やってることが合ってるのか、もはやよくわからない。(かんかん)
●友達とのトラブルなど、子ども同士で解決すべきことだと思っても、放置するとけがをさせたり、いじめに発展することもあるのでは!?と心配になり、つい口を出したり、相手の親御さんに連絡したりしてしまう。(あゆたつ)
●帝王切開で出産したことで、今でも帝王切開は痛くないだろう、楽でいいねと言われる。自分ではどうしようもないけれど、悲しい気持ちに。(うさトム)
●“娘の髪は母親が結うべき”という呪い。出勤前で忙しいのとそもそも不器用なのでできませんでしたが、編み込みなど凝った髪型をしている子が多いそうで、何だか申し訳ない。(いちこ)
●幼稚園の手作り&キャラ弁には苦しめられた。手提げや巾着はママの手作り、幼稚園のお弁当で友達はみんなキャラ弁……。特にお弁当はチャレンジしたものの、うまく作れず自己嫌悪。(ゆと)
●体調が悪いとき、台風などの警報で学校が休みのとき、子どもに留守番をさせて仕事に行くのがつらい。(ささき)
●テレビ育児はダメと、厳しく見る時間を決めてきたけど、制限して育てた長男より、常にテレビがついている環境の長女のほうがテレビに執着がない。気にしすぎると反動がくるのかも!?(ちぃすけ)
LEEキャラクター&100人隊の3名が、どんな呪いに縛られているのか、なぜ呪いが気になるのか、本音を語ります!
(写真右より)
LEEキャラクター 瀧嶋牧子さん
1歳1カ月の女の子のママ。初の育児で不安になり、ついネット検索してしまうことも。
LEE100人隊No.088 りりさん
5歳の女の子のママ。周りに意識の高いママが多く、影響されて罪悪感を感じてしまう。
LEE100人隊TB ちひろさん
5歳と2歳の男の子のママ。乳幼児健診などでつい周りと比べてしまうことも。
健診は育児の通知表!? 周りの目や評価が呪いに
瀧嶋 娘はまだ1歳1カ月ですが、初めての育児はやはり不安で。体の大きさとか食事の量とか、人と比べてしまいます。たくさん食べたらそれはそれで「食べすぎ!?」と心配になったり(笑)。
ちひろ 周りの目はどうしても気になるよね。私は1歳半健診で言葉の発達や運動能力を見ると聞いて、育児の通知表をつけられるように感じてしまって。読み聞かせで言葉を増やして、午前中は公園で体を動かして、一日のタイムスケジュールを守って……とすごくとらわれていました。できないと自分を責めてしまったことも。
りり 私は前に住んでいたところのママ友が食にこだわりが強く、離乳食が始まったら、お米やしょうゆの産地はここ、パンは天然酵母じゃないととすごくて。
瀧嶋 なんて意識が高い!
りり もはや洗脳のように影響されて(笑)私もこだわっていた時期が。幼児教室が多い地域でもあったので、それも周りにすすめられて、知育教室や英語の幼児向けジムなどの体験へ。この時期はとにかく「うちの子だけ取り残されないように」と必死でしたね。
検索履歴は心の闇の歴史。調べるほどドツボにハマる
瀧嶋 私は不安になると情報が欲しくて、ネット検索してしまう。娘の気性が激しいので「癇が強い 赤ちゃん」とか。
りり 私も! 同じように検索したら、眉間に青い線が出る子は癇が強いとあって、うちの子はある!と思い、それをやわらげる幼児ばりに通ったことが。今思うと少し怪しかった気も(笑)。
ちひろ 私も検索はよくします。検索履歴を見ると、私の心の闇がわかる(笑)。うちの長男は後追いがすごくて、幼稚園に入る前に母子分離できるか不安で。母子分離のための教室を調べて実際に行ってみたり。でも、検索するほどいろいろ迷って、調べて心が晴れたことはない気がする。それなら、ママ友や母親などに話して「わかる」とひと言言ってもらえるほうが、心が軽くなる気がします。
りり 私の娘は、二語が出るのが遅くて、女の子は言葉が早いと聞いていたのにと不安になったことが。そんなとき、少し小さい子がいるママ友と話すと娘の成長が見えて、話しやすかった。変に比べるのではなく、周りもみんな呪いに縛られているんだと思うと楽になるし、気を許して話せる友達は大事ですよね。
後悔したくないからこそ呪いでがんじがらめに
瀧嶋 こうして振り返ると、親として、いつも子どものことを考えて心配することで育児をしている実感を得ているような……。こういう考えや理想の母親像こそが呪いな気がしてきました。
りり 周りの声、自分の思い込み、さまざまな角度から子育ての呪いは迫ってくる!
ちひろ この先でいうと、私は中学受験が心配。受験する子どもが多い地域なので、本人の向き不向きにかかわらず、塾に通おうという流れになりそうで……。
りり うちの子も、今の幼稚園からだと私立の中学高校に行ければと思っていて、それなら小学校受験も必要……?と早くも頭を悩ませています。
瀧嶋 いざというとき、後悔したくないし、自分のことじゃないからこそ、この流れに乗っておかないと!と思いますよね。
ちひろ 子どもの年齢によっても気になることはどんどん変わるし、その年代なりの子育ての呪いにまだまだ振り回されそうな気がします……。
次回は「漫画『伝説のお母さん』作者のかねもとさんにインタビュー」をご紹介いたします! 詳しい内容は2020年LEE5月号(4/7発売)に掲載中です。
撮影/細谷悠美 イラストレーション/かねもと 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
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