LEE世代の4分の3が実はしんどいと思っている、実家や親との関係。
「出産での里帰り中、父が何もしてくれずイラッ」「子どもが生まれて手伝いをお願いしているが、口まで出されるようになってキツイ」など、しんどさを感じるきっかけは「出産」が最多数。
サポートを頼む機会が増え、顔を合わせる機会も増えることが背景にあるよう。
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実親や実家を"しんどい"と感じる?
程度の差はありつつも、"しんどい"と感じてる人が多い結果に。そんな"しんどさ"から逃れることはできる? "距離感"のはかり方は?
「親の老いに対応するのが不安」「育児サポートをやめたいけど生活が破綻しそう」など、親子関係の"しんどさ"について多い悩みを、実際に乗り越えたエッセイスト酒井順子さん、産婦人科医 宋 美玄さんのお二人に、経験談をうかがいました。
経験談インタビュー01
無理や度を超えた頑張りは不要!親の老いはできる範囲で付き合う
エッセイスト 酒井順子さん
1966年、東京都生まれ。自身が30代のときに父が、40代のときに母が、50代で兄が他界した経験から"家族"を考察した著書『家族終了』(集英社)には、お互いに年齢を経て変化していく親子の関係が、実体験を元に書かれている。
酒井さんが“親の老い”を感じたのは、やはりLEE世代のときのこと。
「歩くのが速くてついていくのが大変なほどだったうちの母が、気づくと私の後ろを歩いていて。そのときに“もしや私が親を先導していかなきゃいけない?”と感じたのが、親の老いに対する最初の記憶です。30代、40代は親の老いにショックも大きいですし、イライラすることもありますが、徐々に慣れましたよ」
主導権が自分に移っているからこそ、親孝行するにも、まずは自分のことを考えていいと酒井さん。
「飛行機で酸素ボンベが降りてきたときに、まず親が自分のをつけてから子どものをつけるのは、親が倒れたら子どもを助けられないからじゃないですか。親が老いてきたらそれが逆転して、まず子どもが倒れてしまったら親孝行もできないので。無理をせず、自分の心身を健やかに保つことを最優先していいのでは」
自分ひとりで親孝行は荷が重いと感じるときは友達を巻き込む手も。
「自分だけで実家に帰るのがしんどいなら、親もよく知ってる友達を実家に招いてみるとか。逆に自分も友達の実家に行って、親孝行の交換を。親も友達がいるとあまりワガママを言わなかったりするので(笑)」
人生100年時代、親の老いと付き合う年月が見えないことも“しんどさ”の原因に。この点も“頑張りすぎない”ことがポイントに。
「認知症になるのか、大病をするのか、元気なまま100歳まで生きるのか、親がどんな老い方をするかはわかりません。そのときになれば、同じ境遇で経験を持つ友達や先輩からたくさん話を聞けると思うので、今から準備を頑張らなくても大丈夫」
POINT
● 親を心配してストレスを感じるより、まず自分の心身を健やかに保つことが大切
● 親の老い方は多様だから、事前に心配しても仕方ない
● "親や自分の友人"を有効活用する手も
経験談インタビュー02
育児のステージ変化が上京サポート卒業の決断に
産婦人科医 宋 美玄(ソン ミヒョン)さん
「丸の内の森レディースクリニック」院長。周産期医療、女性医療に従事しながら、テレビ、インターネット、雑誌、書籍で情報発信を行う。著書に『男性も女性も知っておきたい 妊娠・出産のリテラシー』(共著、大修館書店)など。
特に働く女性の場合、遠方に住んでいる親に育児サポートに来てもらうことも珍しくありません。産婦人科医の宋さんもそんなひとりでした。しかし今年の夏、意を決してサポートを頼むのをやめることに。
「これまではおおむね月1回、1週間程度来てもらっていました。ただ、その間自宅に泊まってもらうと、距離が近くなりすぎる。もともと干渉が強めな母親なので、泊まっている間は、私の仕事や人付き合いに口出しされることも多くて。距離感が近くなりすぎるのは母にとっても苦痛だろうと、まずは母の部屋を作るために、引っ越しをしたんです」
母が快適なようにと専用テレビなども置いたそうですが、実際には部屋にいるよりリビングで過ごす時間のほうが長い母の姿が。
「結局引っ越しでは状況が変わらず、しんどさは募るばかりで(笑)。そこで頼るのをやめようと決心できたのは、子どもの年齢が大きかったですね。長女は7歳で小学生になり、長男も4歳でもう赤ちゃんではない。これが0歳と4歳だったら、まだ育児がしんどすぎて、口出しや干渉に耐えていたと思います」
親のサポートがなくなって家事や育児が回るのかが気になるところ。
「家事を完璧にやろうとしなければ何とかなる」と宋さん。
「朝と夜の食事は食材宅配を使って適当に(笑)。食洗機、全自動洗濯乾燥機、浴室乾燥機も導入してますが、家事はアウトソーシングも。送り迎えに行く日が増えて自分の時間は減ったけど、ストレスは明らかに激減。こちらが帰省したり、子どもだけ実家に泊まりに行くことで、親との関係もよくなりました」
POINT
● 子どもがある程度大きくなったことも自立のきっかけに
● 母の孫育の負担を減らすた、第一ステップとして引っ越しをした
● 自分の時間は減ったけど、精神的にはラクになり、お互いのために本当によかった
撮影/齊藤晴香(酒井さん) 富田 恵(宋さん) イラストレーション/いいあい 取材・原文/古川はる香
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