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佐々木はる菜

親子で書道を体験!古民家書塾で学んだ「子どもにとって大切な力」とは?

  • 佐々木はる菜

2018.02.22

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習い事として、年齢問わず昔から人気のある「書道」。
私自身、小学校から大学まで続けていたこともあり、いつか自分の子どもたちにも体験させてみたいなと思っていました。
そこで今回は、書デザイナー・寧月さんが主宰される書道教室、「古民家書塾花紅(はなくれない)」の体験レッスンに息子と参加してきました!

教室の場所は、東京都大田区・池上本門寺にほど近い、「古民家カフェ蓮月」の2階。

昭和初期に造られ、映画の舞台にも使われた建物は雰囲気抜群。地域の人に愛される人気店でもあります。

この日初めて筆を手にした息子でしたが、のびのびとした雰囲気のあたたかなレッスンの中、終始わくわくしながら楽しそう。
でもそれと同時に、「書」に向き合うことで自然と身についていく生きていく上で大切にしたい考えや、その歴史と深遠さに想いを馳せることもできた、貴重なひとときとなりました。

書道を通じて、その人がその人らしく生きて行くお手伝いをしたい

寧月さんは、東京大学教育学部卒業後、会社員として働きながら書道を学び、師範資格を取得。2010年より書を通したデザイン・教育の活動に携わり、ふたりのお子さんを持つお母さんでもあります。

寧月さんの活動の根幹にあるのは、学生時代に仕事で不登校の子どもたちと関わったご経験。彼らが自分の中のエネルギーを出し切れずに悩んでいることを感じ、それぞれの子どもが自分らしく、どんな表現をしても認められるような絶対的に安心できる場があれば、より心穏やかに生きられるのではないだろうかと思うようになったといいます。そして、ご自身が書を学ばれていく中で、「日本の文化や書道には、人の心と体を健康にし、創造性を育む力がある!」と実感。ひとりひとりが、どんな時に一番自分らしくいられるのか、それを見つけるためのひとつの手段としても「書道」を捉え、子どもたちが、心安らかにのびのびと表現できる環境作りを目指されているそうです。

ひとりひとりが自分らしく楽しむ書道教室

お会いしてすぐに息子の心を掴んでくださった寧月さん。はじめましてのご挨拶もそこそこに、息子は自ら教室の準備をお手伝い!

小学生から大人の方まで生徒さんの年齢は幅広く、お父さんと息子さんで通われている方も!

こちらの教室では、「書の道は人それぞれ」という精神をベースに、自分が書きたい物を選んで書くことを重んじているといいます。各々のペースで書き始めながらも、寧月さんの周りにはすぐに子どもたちが集まり和気あいあい。

古典を書くことの大切さは伝えつつも、強制はしないそう。

初めて筆を手にした息子には、しばらく自由に書かせてくださいました。

筆が止まらない息子。

「じゃあ、太い線と細い線を書いてみよう!」と言われたあたりから、面白くなってきた様子。「鉛筆と違って、太さが変わるから面白い」と、試行錯誤を繰り返していました。

レッスンの間じゅう、先生に見てほしくてたまらず周囲をウロウロ…

そして、お手本をいただき真似して書くことにも挑戦!

お手本の文字は全て息子リクエスト。自分の名前と漢字の曜日を書きたかったらしいです。

古典の暗誦「花紅検定」、ワークショップ…様々な方法で子どもたちと向き合い、書の楽しさを伝えたい

レッスンの最後、お道具をしまった一人の女の子がノートを片手に先生のもとへ。そして、「枕草子」の一節を暗誦していました。

「清少納言さんは、いつの時間がいいって言ってる?」

古典の暗誦は、楽しみながら日本の文化に親しみ、その中で子どもたちの創造性を伸ばしていきたいと始められたそうで、小さい頃から古典を通じ、日常の中の四季折々の変化に意識を向けるなんて、とても素敵で貴重な時間だなと感じました。

みんなでその時期の「“をかし”=今で言う“いいね!”」を絵で表現する、なんて試みも。力作ぞろいとのことで、全部見てみたい!



自分自身とも他者とも、しっかり向き合える力が自然とついていく

私が今回お話を伺い最も心に残ったのが、「書は、自分自身と他者、両方と向き合う道だ」ということ。

「書道の基礎は、古典作品を真似て書く「臨書」です。臨書のお手本となる文字は、古いものだと紀元前後に、誰かが、誰かのため何かのために書き、その形が美しかったから、ずっと大切にされてきたもの。昔に生きた誰かが書いた、そんな伝統のある「他者」を横に置き、そこに自分を重ねて行きながら、世の中にたったひとつだけの文字を生み出す作業が「書道」で、小さな部屋にいながらにして、時空を超えて自分を遠くに連れて行ってくれます。

そうやって自分と他者と向き合う中で、少しずつ「自分ってなんだろう?」ということに気づき、『今を生きる自分』をまるごと受け入れられるようになっていくんじゃないかなと思っています。」

大人だけではなく、子どもたちも様々なストレスを抱える現代。
教養としてはもちろんですが、心を整え、「自分とも他人ともしっかりと向き合える力」を身につけるためにも、子どもたちが書に親しんでくれたらいいなと改めて感じた1日でした。

海外の方にも書を教えられるなど、これからも多方面での活躍が楽しみな寧月さん。私もまた、書を学びに伺いたいと思っています。どのメニューもおいしく、雰囲気抜群の古民家カフェ蓮月もおすすめです♪

書デザイナー 寧月 | 寧月 Official Website
大田区池上の古民家カフェ 蓮月

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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