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LIFE

古川はる香

子育てママが幸せになる「ロコワーキング」ーー「はたらく」と「くらす」をつなげる働き方を

  • 古川はる香

2017.12.04

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はじめまして。今回より『暮らしのヒント』ライターに加えていただきました古川はる香です。

ミーハーな性質は母になっても変わらず。5歳女児を育てながら、あちこちにアンテナを張って気になる情報をキャッチしています。

 

私が子育てを通じて意識するようになったのが、「地域とのつながり」。

例えば、わが子が小学生になってから、ひとりで街を歩いているときに、声をかけてくれる方、気にかけてくれる方がたくさんいたら、私も子どもも安心できるはず。

つまりは、「同じ地域に住んで、同じように子育てをしている方はもちろん、子育て世代ではない方ともつながることで、自分自身も自分の子どももハッピーになれるのでは?」と思うようになりました。

娘の小学校入学に向けて、「地域とのつながり」を増やしたい思っていた矢先に、ママ友から教えてもらったのが、NPO法人代官山ひまわりが行っている「Loco-working(ロコワーキング)」事業。

地域のママたちとつながれるなど子育てママにはうれしいポイントがいっぱいという「Loco-working」事業について、代官山ひまわり代表の森田由紀さんにおうかがいしてきました。

 

「Loco-working」事業とは

 

「Loco-working」とは、「Loco」=地元と「Coworking」=コワーキングをつなげた造語。

地域で発生するお仕事を、その地域に住む「地元」の人たちが請け負うもの。

ひとつのお仕事をひとりが全責任を持って請け負うのではなく、何名かのLoco-workerで協働しながら進めていくので、時間に限りがある子育て中のママも自分の生活を大切にしながら働くことが可能です。

森田由紀さんが代表を務める代官山ひまわりでは、2013年から「Loco-working」事業を開始しました。

 

ロコワーカー 森田由紀さん

NPO法人代官山ひまわり代表・森田由紀さん。2児の母でもある。

 

「第2子の出産をきっかけに代官山に転居したときに、昔からの住民と私のように新しく転居してきた住民との間に隔たりがあり、新住民の居場所がないと感じて。ママ友を集めて育児サークルを作ったんです」

森田さんには、同じ子育てママが集まれる「居場所」を作るだけではなく、「子育てをキャリアにしたい」「ライフステージに合わせた働き方をもっと自由に選択できるようにしたい」という思いが。

そんな思いを実現させるため、起業を決意。NPO法人代官山ひまわりを立ち上げ、「Loco-working」事業を実行に移していきます。

 

「Loco-working」のクライアントは、代官山ひまわりの活動の中心である渋谷区内の企業がほとんど。「Loco-worker」として登録し、実際に仕事を行うのも、多くが渋谷区に住む子育て中のママたち。現在140名ほどが登録し、依頼された業務を行っています。

業務内容はといえば、商業施設の店舗を紹介するブログ記事作成や、アンケート入力などのデータ入力、イベントの企画運営、商品のモニタリングなど多種多様!

「Loco-workingは人材派遣業ではありません。いただいた仕事ごとにLoco-workerさんに発信して募集を行い、手を挙げてくれたLoco-workerさんたちでチームを作って行います。子育て中のため、ひとりで請け負うには時間的に難しい仕事でも、数名で力を合わせることで完遂が可能に。もし子どもが熱を出して、身動きがとれなくなった人がいたとしても、ほかのLoco-workerさんでカバーしあえるんです」

 

ロコワーキング ミーティング

定期的にミーティングを行いながら、業務を進めていく。

地域に家族や友達もおらず、子育てするママが孤立してしまうのは最近よく聞く社会問題ですが、Loco-workerとして働くことが、「仲間」と「居場所」づくりになるのだとか。

「Loco-workerさん同士で子育てについての悩みを相談しあうことも多いです。赤ちゃんから小学生、社会人までいろいろな世代のお子さんを持つママがいるので、先輩ママがアドバイスをくれることも。地域の子育て情報交換もできます」

 

Loco-worker同士のつながりは、いわゆる「ママ友」とはまた違うと森田さんは言います。

「子どもをきっかけに仲良くなる幼稚園や保育園、小学校のママ友とは違い、仕事を通じて知り合った”仕事仲間”です。”○○ちゃんのママ”としてではなく本人同士のつながりだからこそ、子どもが成長して園や学校を卒業しても切れることなく、ずっとお互いの人生を応援しあえる仲間になっていくんです」

ロコワーキング ランチ会

ミーティングの流れでランチ会が開催されることも。世代を超えたママどうしのつながりが。

 

地域で生活する「ママ」だからできる仕事がある

「子育てしながら働く」と聞いても、「これというスキルがあるわけでもない私が役に立つことなんてあるのかな?」と考えてしまうママもいるかもしれません。

「“子育てしている”ってそれだけでも大きな価値だと思うんです。子育てしてるからこそ見えるもの、わかるものもたくさんある。妊娠・出産をきっかけに仕事を辞める方や、キャリアを見直す方もいますが、“私たちがそれぞれに持っているもの、そのものが価値である”ということ、そしてフルタイム以外の働き方もあるんだということを、Loco-workingを通じて、もっと広めていければと思っています」

 

クライアントが地域の企業ということで、オフィスや店舗に出向いての業務も、通勤時間が短いのはうれしいところ。移動手段が自転車や徒歩というLoco-workerさんも多いそう。

「クライアントにとって、Loco-workerさんは、仕事を依頼するワーカーであると同時に、企業やサービスのユーザーでもあるんです。だからこそ地域を知っている人、実際に利用する人の目線を伝えることができます。店舗のブログ作成などは、まさにユーザー目線が活かされるお仕事ですね。Loco-workerさんの働きによって、地域企業のサービス内容がよくなれば、ユーザーとしても使いやすくなります。そして、Loco-workerさんにとっても、地域に愛着を持つきっかけになるはずです」

「はたらく」と「くらす」をつなげて、「地域」で働くことから街への愛着や誇りが生まれ、よりよい「まちづくり」が叶えられる。「Loco-working」事業は、地域で暮らす人、働く人、訪れる人、みんなを幸せにするのかもしれません。

「代官山ひまわり以外にも、Loco-working事業を進めている団体はありますので、そちらに参加されてもいいと思いますし、渋谷にお住いの方以外の方でも代官山ひまわりにLoco-workerとして登録していただくことは可能です。もしほかの地域でLoco-workingをやってみたいという方がいたら、お知恵も貸しますよ!」

 

「代官山ひまわり」ホームページ

http://dhimawari.info/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古川はる香 Haruka Furukawa

ライター

1976年、大阪府生まれ。雑誌・Web等でライフスタイル、カルチャー、インタビュー記事を執筆。現在のライフテーマは保活と子どもの学び、地域のネットワークづくり。家族は夫と6歳の娘。

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