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神社参拝のお作法

七五三に御朱印帳……みんなの疑問に回答!/神社参拝のお作法【第3回】

  • 高見澤恵美

2016.10.19

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神社3回目イラスト

池袋氷川神社の宮司さんに伺う、神社参拝のマナー第3回(第1回第2回もぜひご覧ください)。今回は、七五三についての疑問や、読者の皆さまからの質問にお答えいただきました!

七五三、三歳のお祝いは女の子だけのものにあらず!?

高見澤 神社でのお作法、第1回、第2回では、気になる参拝マナーについて伺いました。今回は、時期的にも気になっている読者の方が多かった七五三の話題からです。我が子は今2歳なのですが、男の子なので、5歳のお祝いは随分先なんですが……。

宮司 地域で多少の違いはあるとは思いますが、3歳の七五三は、もともと性別関係なく祝うものなんですよ。当社でももちろん、3歳の男の子の儀式も行っていますよ。

高見澤 え……!?  七五三ネタ、しょっぱなから驚きです。

宮司 3歳のお祝いは、「髪置きの儀」といって、男の子、女の子共に祝うものなんです。というのも、昔は3歳まで、丈夫な髪が生えてきますようにと髪を剃っていたんですね。それが、3歳のお兄さん、お姉さんになって初めて、髪を伸ばせるようになります。その成長の過程を、神様に見ていただく儀式が「髪置きの儀」なんです。

高見澤 3歳は女の子だけのものと完全に勘違いしていました……。女の子の場合は、3歳でも被布(ひふ)や帯、ドレスなどを選んでお祝いしたり写真を撮ったりして、華やかだなぁなどと思っていましたし。あ、七五三の服装について、何か決まりはあるのでしょうか?

宮司 服装で迷ったら、七五三の意味について考えていただくとよいでしょうね。例えば、七歳の女の子は、「帯解きの儀」といって、一人前の女性として、つらくて苦しいはずの帯もつけられるような大人になりました、と神様にご報告するものなんですよ。そういった、儀式の本来の意味を考えると、先程高見澤さんがおっしゃった、“3歳での帯”はまだ早いんですね。

高見澤 あ、それで3歳の女の子の伝統的スタイルでは、帯はなしで上から被布(ひふ)を着るんですね! では、男の子の場合はどうでしょうか?

宮司 男の子の5歳のお祝いは、「袴着の儀」といいます。5歳までは袴はつけずに着流しで過ごすのですが、5歳になると、刀もつけられて大人になった証である、袴を履けるようになるんですね。それを、「おかげさまでこんな成長しました」と神様にみていただく儀式が、「袴着の儀」なんですよ。

高見澤 ということは、男の子も、3歳のお祝いでは袴を履かずに、着流しというのが、本来の服装なんですね。

宮司 ええ。ただ、すべて揃えるのではなく、今は晴れ着でしたらいいとは思いますね。スーツやドレスでも構いません。「これだけ立派に成長しました」ということを神様に見せていただければと思います。

お宮参りや七五三の「初穂料」、渡すタイミングのタブーとは!?

高見澤 七五三に限らず、お宮参りでも渡す「初穂料」ですが、持参する際のマナーや、渡すタイミングについて教えていただけますか?

宮司 大社では、「初穂料(お金)」をそのまま受付に出せばよいという場合もありますが、まちまちではありますよね。当社では、お祝いの熨斗袋に「初穂料」と書いて、お子さんの名前を書いてご持参いただきます。「初穂料」は受付に出すものではなく、神様にお供えするためのもの。一家の主の方に、直接神様にお供えいただくので、むき出しではやはり神様に失礼と考え、必ず包んでいただいてますね。また、渡すタイミングについてですが、どちらの神社でも、帰りに「初穂料」を渡すというのはまずあり得ません。

高見澤 帰り際がダメな理由はなんでしょうか?

宮司 「初穂料」は神様にお供えするものであって、神様への“お支払い”ではないためです。ですから、当社に限らず、到着したら「どちらでお納めしたらよろしいでしょうか?」と一言お聞きになるとよいでしょうね。

読者からの質問①「神社参拝に好ましい時間帯は?」

高見澤 次は、読者より寄せられた神社参拝の疑問について伺っていきます。まず、七五三でも普段の参拝でも、神社に伺う際によい時間帯、NGな時間帯はあるのでしょうか? という質問です。

宮司 神社参拝では、基本的に「NO GOOD」というものはありません。ただ、どの時間帯がより「吉」なのか、ということはお伝えできます。私たちと同じく神様も、日が上がっていくうちは力が強く、午後から夜にかけては徐々に休みに入っていきます。ですから、せっかく参拝されるのであれば、日の高い午前中が吉です。ただ、夜は凶ということではありません。

お祝いごとやお宮参り、七五三などで参拝する場合は、やはり午前中がおすすめです。午後ですと、「ついで」に神社へお参りしようか、という意味合いにもなってしまいますので。遅くとも、13時くらいまでには参拝されるほうが吉ですね。

高見澤 これから七五三で参拝されるという方は、ぜひ参考にしていただきたいですね。そういえば、10月は“神無月(かんなづき)”とも呼びますが、10月に七五三の参拝に行ってもよいものでしょうか? 行ってみたら神様がいなかった……なんてことは!?

宮司 10月は“神無月(かんなづき)”と書きますが、この「無」は「の」という意味で、“神無月”=神の月、神を祀る月という意味となります。同様に“水無月(みなづき)”と呼ばれる6月も、水の月、田畑に水をはる月という意味になります。ですから、“神無月”は、神様のいらっしゃらない月ではありませんよ。

高見澤 それなら10月の七五三も大丈夫そうですね。安心しました!



読者からの質問②「神社で子供の写真を撮ってもよいですか?」

高見澤 お宮参りに七五三、新年の参拝……どれも子連れにとっては記念すべきことばかりで、写真におさめたいという親御さんが多いと思います。写真撮影で気をつけるべきことはありますか?

宮司 神社によっては境内では撮影禁止というところもありますので、それぞれの神社に従うのが基本です。社殿内は基本的には撮影はできませんが、当社では、お祝いごとのご祈祷の後などに、正中(中央)をはずして、お写真を撮ることはあります。記録写真で誰かに伝えたいというのは、決して悪いことではないと思っておりますので。

高見澤 柔軟なところもあれば、そうでないところもあるのですね。写真をSNSにアップしたり、親戚に見せるためにと、参拝時もとにかく常にスマホを片手にシャッターチャンスを狙う……というケースもありそうですが。

宮司 間違えてはいけないのは順番です。まずは、いちばんにお参りをすること。撮影をなさる場合は、その次! と心得ていただくとよいでしょうね。

読者からの質問③「御朱印をいただく際のマナーは?」

高見澤 妊娠、出産を通して神社へ足を運ぶ機会が増えたことがきっかけで、御朱印帳を持参して御朱印を集めるようになったというママさんも多くいらっしゃいます。何か注意点はありますか?

宮司 大きな神社ですと、御朱印を書く専門の方がいたりしますが、小さな神社ですと、忙しい日は御朱印を書いて差し上げるのが難しい日もあります。それは前提としてお願いしたいものです。それと、せっかくであれば、1ページ目と2ページ目はお伊勢さん(伊勢神宮)でいただくとよいですね。日本の総氏神さまは伊勢神宮ですので。

高見澤 伊勢にすぐに行けない場合、1、2ページ目は伊勢神宮用にあけておき、3ページ目から他の神社の御朱印をもらう、という感じでもよいでしょうか?

宮司 ええ、できればそうされるとよいですよ。

読者からの質問④「神社境内の小さな社にもお参りは必要?」

高見澤 4つ目の質問は、本殿以外の小さな社についてです。メインの本殿だけ参拝すればよいのか、他の小さな社にもきちんとお参りすべきなのか、という疑問が寄せられています。

宮司 小さな社をお末社(まっしゃ)というのですが、そちらにも必ず参拝されたほうがよいでしょうね。当社の場合、氷川神社の主祭神は須佐之男命ですけれども、八柱(やはしら)、八人の神様が境内にはいらっしゃいます。学問の神様、商売繁盛の神様、病気を治す神様など……すべてが境内に祀られているんですよ。せっかくお参りにいらしたら、素通りではもったいないです。

高見澤 変な質問ですが、すべてのお末社にもお賽銭を用意して参拝したほうがいいのですか?

宮司 お賽銭は、必ずしも必要というわけではないんですよ。五円玉がよいなど、いろいろな説もあるようですが、すべて参拝される方のお気持ちと思っています。

読者からの質問⑤「子供が“ギャン泣き”しそうで、参拝をためらいます」

高見澤 「神社の境内で子供が泣き出したり、騒ぎ出すことも。どこまで許されますか?」という質問もきています。これ、分かりますね。特に神殿前での参拝中に号泣されると、いたたまれないものがあります……。

宮司 これは仕方ないことですよね。神社に限らず、どこかに食事に行って、お子さんが泣き出して慌てるという経験もあろうとは思うんですが、それを神様が「うるさい!」とお怒りになることはなかろうと思いますね。問題なのは、泣くということより、騒ぐことです。というのも、神社はお祝いごとだけではないんですね。病気の方、心の病の人、お子さんが欲しい方だったり、災いの多い方だったり、あらゆる方々が祈りを捧げにいらっしゃる場所なわけです。ですから、感覚としては病院に近いですよね。病院で騒ぐのがよくないのと同じで、境内でボール投げやかけっこというのは、なるべく気をつけたいものですね。

高見澤 病院と一緒……なるほど、分かりやすいですね。

宮司 とはいえ、みなさん、「間違ったことをしちゃいけない」という気持ちで参拝されていたら、ストレスを感じるのではないでしょうか?

高見澤 今はマナーが気になる時代ですし、親としてきちんとしたいという思いもあります。

宮司 もし間違ってしまっても、神様に対して「失礼しました」という気持ちが持っていればよい、という気もいたします。

高見澤 そういっていただけると気持ちが楽になります。今回、いろいろな疑問が解決して、これからは不安なく参拝できるような気がします。ありがとうございました!

池袋氷川神社(東京都豊島区)

神社3回目氷川神社

「武蔵野国一ノ宮」の氷川神社(埼玉県さいたま市)と同系の御祭神をおまつりする神社で、旧「池袋村」の氏神さま。境内には富士山の溶岩で築造された「池袋富士塚」があり、全国からも参拝客が訪れる。毎年七月一日には「お山開き」が行われる。

イラストレーション/烏山ミライ

高見澤恵美 Emi Takamizawa

LEEwebエディター・ライター

1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。

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