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藤原千秋

「ムリしない、なんてムリ?!」な私たちに、「省電力モード」のススメ

  • 藤原千秋

2017.04.23

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「新年度」の疲れが、じわじわ

新年度、新学期が始まって3週間が経ちました。みなさんパワー状況はいかがですか? ばりばりですか? 私……は正直に言うと、チョット、疲れてます。

正確には、まさに昨日。1年ぶりくらいのすさまじい頭痛(MRIでは異常なし、緊張性頭痛と思われます)に見舞われ、「疲れ」を自覚したところ。いささか軽く見積もり過ぎていたようです。

「疲れ」って、目に見えませんよね。他人の「疲れ」も、その人の顔色が真っ青で苦い表情をしているくらい分かりやすいならともかく、ムリにでもニコニコしていたら、気づくべくもありません。

そして他人のそれがわからないのは仕方のないこととして、じつは自分自身の「疲れ」というのも、なかなか自覚できないものだったりします。

「疲れ」。客観的数値で表されるわけでもない。感覚値でしかない。「疲れた」というのも自己申告でしかないので、「大丈夫」と思って(言って)しまえば、それまでなんです。

「過負荷」で、フリーズ

でも、変なアプリをいれたスマホのように、その負荷はあるとき極まって、突然にフリーズしてしまう……。

おでこにバッテリー残9%なんて表示されれば「ピンチ!」ってすぐ分かるのに。人間がそういうシステムではない以上、どうやってほどほどのところで切り上げるか、「疲れ」を解くか、って、かなり大事な「生きる知恵」なんだと思います。

自分自身との付き合いがもともと密だったり、失敗〜学習の末に「ああやってこうやっていなす」という方法が確立していてすら、新しい環境に置かれると、「今までのアレ」がうまく機能しないことだって、多々あるもの。

他人からの気晴らしアドバイスがあんまり入ってこないのも、個人差なので仕方がありません。Aさんはクッタクタになるまでテニスをすればスッキリするかも知れませんが、Bさんが20年ぶりのテニスで大怪我をしても仕方がなく、Cさんは豪華絢爛な舞台を観てリフレッシュできますが、Dさんにとってはその3時間半が苦痛でしかないというのもあり得る話なわけです。

無理しない、なんてムリ?!

変なアプリではありませんが、私の場合は今年の3月頭から4月にかけて、例年にない作業「三女の新入学準備の諸作業」がいつもの仕事や家事に加えて乗ってきており、まあまあ「きっついなー」という自覚がないわけではありませんでした。

じつは過去、長女次女の新入学後に揃って「過負荷」の代償的に身体を壊し(肺炎など)、相当気をつけているつもりではいたのですが、それでも無理が重なっていたのだと思います。

というわけで、この疲労感を解くには、一にも二にも「無理しない」!……ムリしなければ、いいんですよね。簡単単純。みなさんも、ムリしないようにしてくださいね〜!


『自衛隊メンタル教官が教える、心の疲れをとる技術』(下園壮太著/¥760/朝日新書)

と、ここで「ムリしない、って言ってムリが止められれば誰も困らないでしょ!!!」「ムリするな、なんてムリ!」と反応してしまった人は、すでに「ムリが来ている状態」かも知れない、と説くのが、下園壮太さんの『自衛隊メンタル教官が教える、心の疲れをとる技術』

えっ、と一瞬ギョッとしてしまいますが、じつは大事故や大災害とあれば、私たちの想像の及ぶ限りを超えた過酷な状況下で、長期的に支援活動を行わなければいけない自衛隊のメンタルヘルスを支える「技術」の第一段階は、本書によれば、まさにあの「疲れ」、「疲労」の知覚、自覚なのだそうです。



「動的ストレスケア」に注意

人は、「自分は疲れている」と思うより、「疲れてなんかいない」と思ったほうが、元気が出る。(例の麻痺システムによる)快感だ。〜1章 ムリしすぎて潰れないために より〜

これ、身に覚えがありすぎて、ドキッとしてしまいませんか。

けっこうきわきわなのに、「まだ大丈夫!」「もう少し頑張らなきゃ!」「ここで休むのは怠け!」……と自分で自分を叱咤、鼓舞して、結果、ムリをしてしまう……。

とくに子育て中の私に刺さったのは、この「ムリをしている兆候」には、「子どものしつけに悩む」「イライラしてよく叱ってしまう」というような「子どものせいにしているあれこれ」が含まれているという指摘だったりしました。

ともあれ、「ムリしている」と自覚できるところには至った場合、まずどうしたらいいのでしょう。

詳細は本書を読んでいただくとして、ざっくりといえば、

何よりも「睡眠を確保すること」

それから「動的ストレスケアを控えること」だそう。

溜まっているムリが体の中から抜けるまで、動くことでより体が疲れてしまうことは避けたほうがいいということです。機械だって動かし過ぎたらオーバーヒートします。モーターが焼けきってしまうことだってあります。

「ママ業」を長くしていると、世間からの期待も過剰だし、情報による重圧も相当だし、PTAだのなんだのもう勘弁してくださいと思ってしまうことが多々あります。

そんななか「疲れ」を自覚できたときくらいは、自分自身をエコ運用、「省電力モード」において動かす、努力をする。これって「怠け」や「ずぼら」というより「生きる知恵」そのものだと思うのです。みなさんの考えもぜひ聞かせてください。

 

メールはこちらから:kurashi@lee.hpplus.jp

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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