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ありがたい! でも時々しんどい「母親との距離感」

母親ともっといい関係を築くためには?参考にしたい母娘ケーススタディ

  • LEE編集部

2021.12.30

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もっといい関係を築くための母娘ケーススタディ

母親との距離感に関する「あるある」なお悩みに、メンタルアップマネージャの大野萌子さんからアドバイスをもらいました。「うちも似たようなことが!」と思う人は参考にして。

この記事は2021年6月7日発売LEE7月号の再掲載です。

教えてくれたのは

メンタルアップマネージャ 大野萌子さん

メンタルアップマネージャ 大野萌子さん

一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事。官公庁、企業での研修・講演を多く行う。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)など。
Instagram:moe_oono
Twitter:moeko_oono

娘が母親のカウンセラーになる必要はありません!

今、母親との距離感に悩んでしまう背景には、子どもの頃から積み重ねられた親子関係にも原因がある、と大野さん。

「母親の言うとおりにしないといけない、母親の意見を聞かないといけないという思い込みがあるのではないでしょうか? もう独立した大人なのですから、そこから解放されていいんです」(大野萌子さん)

母親の愚痴を聞くなど、頼られたら対応しなくてはいけないというのも思い込みである可能性が。

「親子だからやって当然ではありません。子どもが母親のカウンセラーになる必要はないんです。自分自身が苦しいなら、なおのこと。親の頼みを断ること、距離をとることに罪悪感を抱かないで!」(大野萌子さん)

CASE1
大人になった今も“母のお墨付き”を求めてしまう
(yuyukoさん、母70歳)

結婚前はかなり密な関係で、いざこざも多かった母と私ですが、結婚後は実家から少し距離のある場所に住むことで密すぎる関係を回避。それでも子育てで相談するのは、夫よりも母。夫と話し合って決めたことも、母から何か言われると途端に不安に。

自分の家庭のことは自分たちで決めていきたいのに、どうしても母のお墨付きが欲しくなってしまう自分がイヤに。母と夫の仲がよくないので、次女の出産後は母に頼らず自分たちだけでなんとかすることになり、とても不安です。

お母さんどう思う? ふむ。

先生からのアドバイス▶︎

子育ての主役は自分と夫! 母親への精神的な依存を自覚して

「典型的な共依存関係なのでは? まずは母親に依存している自分に気づくことが第一歩。子どもを育てるのはお母さんではなく、自分と夫なのですから、自分たちで決めたことに自信を持ってください。ただ、子育ては手が必要なので、物理的にお母さんに頼るのは当然。そこは割り切ってOKです」(大野萌子さん)



CASE2
愛も感じるけど、孫にも過干渉が止まらない!
(はるかいなさん・34歳、母60歳)

今も週に1度は一緒に買い物に行き、1時間程度電話をする関係。孫も大事にしてくれるのはうれしいのですが、干渉が激しく、孫のためにと勝手に教材を買ってきたり、習い事を契約したりも。

家に来るとカレンダーをチェックして、自分の手帳にわが家の予定を記入し、それに合わせて家を訪問するようになったので、カレンダーを母が入らない部屋に移動しました。予定を聞かれたときは、何もない日も「来週は毎日忙しくて……」と伝えて会う回数は減らしました。

来週の土曜は運動会ね! OK~

先生からのアドバイス▶︎

母親の介入は極力避ける作戦で自分がしたい子育てを目指しましょう

「カレンダーを移動したり、予定を曖昧にしたりして会う回数を減らすのは正解だと思います。おそらく優秀なお母さんだったのでしょうが、母が正しすぎると子どもは萎縮してしまいます。“いい母親像”も時代とともに変わっていきますし、自分の母親をモデルにする必要はありません。自分らしい子育てを」(大野萌子さん)

CASE3
価値観は合わないけど、いなくなるのは寂しい
(みみさん・40歳)

幼い頃から褒められた記憶はなく、価値観を押しつけてくる母が昔から苦手。たまに会ったときも育児についてあれこれ言われて泣いてしまったことも。ただ、母が今いなくなったら寂しいし、嫌いなままなのは悲しいです。距離をとりながらもうまくやっていけたらと思うのですが……。

手作りしたけど食べる? あんたの作るんは口に合わへんわ

先生からのアドバイス▶︎

母親に固執せず、夫や子どもとの関係を築くことで愛情を得て

「子ども時代に得られなかった愛情や承認を取り戻したい気持ちがあると思いますが、それを今から母親に求めるのは難しいでしょう。夫や子どもとの家庭を大切にすることにエネルギーを向けてみてください。そこから承認や愛情を得ることで気持ちが満たされれば、母親との関係も変わってくるのでは?」(大野萌子さん)

CASE4
子育てや夫のことで口出しされても強く言えず…
(ミニミニさん・37歳、母63歳)

子育てを母に手伝ってもらっています。母に何事も連絡・相談して、頼ってもいるので、逆に私たち家族の行動に口を出されることも。遠出をすると「まだ小さい子がいるのにかわいそう」と言われるので、内緒で出かけることもありました。

以前、出産時に自宅に手伝いに来てもらったところ、夫があまりにも家事育児に参加しないことと、生活様式が違いすぎることに母が怒ってしまい、それ以来母が夫に対して否定的に。私も話し相手が母だけになり、依存度が増してしまっています。

だいたいLEE太郎さんは生活習慣がなってないわ! グチグチ…

先生からのアドバイス▶︎

娘の夫が低評価なのは、距離感が近い母娘ではよくあることと割り切りを

「母と娘の距離が近いと、娘の夫に対してはどうしても評価が厳しくなりがち。実は母親世代のカウンセリングでも“義理の息子と折り合いが悪い”という相談は多いんです。でも家庭の主体はあくまで夫婦。夫も尊重してほしいこと、息子ではなく他人であることを母親には理解してもらいましょう」(大野萌子さん)

CASE5
恩返しを強く求められてうんざり
(あけさん・32歳、母62歳)

結婚して実家を出てから、母に頼られることが増えました。育ててもらった恩返しとして、できることはしてあげたいものの、お願い事があまりにも頻繁で、こちらの都合を考えてくれないときも。母親自身が自分の親には何でもしてあげるタイプだったので、同じことを私にも求めているようです。口ぐせのように「育ててあげた」と言われるので恩着せがましさも。

母親も年齢を重ねてストレスに弱くなったり、疲れやすくなったりしているので、あまり突き放さないように気をつけながら付き合っています。

次は病院! そのあとはスーパーも行ってね~! 育ててあげたもんね~♪

先生からのアドバイス▶︎

子どもを育てるのはある意味親の責任。無理して恩返ししなくていい

「親は“育ててあげた”と言うかもしれませんが、本来子どもを養育するのは親として当然のことですからね。むしろ“育てさせてあげた”と思っていいのかも(笑)。できることはしてあげればいいですが、できないことは無理をしなくていいのです。そしてできないことに罪悪感を持つ必要もありません」(大野萌子さん)


イラストレーション/黒猫まな子 取材・原文/古川はる香
この記事は2021年6月7日発売LEE7月号『ありがたい! でも時々しんどい「母親との距離感」』の再掲載です。

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