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飯田りえ

ポリ袋で手軽に作れる災害食調理法「パッククッキング」に親子で初挑戦!【東日本大震災から10年】

  • 飯田りえ

2021.03.26

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非常食だけでは…実際の災害時に対応できない!?

災害食 パッククッキングレシピ 体験写真

東日本大震災から10年。年々大きな自然災害が増えていく中で、防災に対する考え方や家庭での備え方も日々アップデートされています。家族を守る身としては、食事のことが気になりますが、ちなみに「非常食」と「災害食」の違いをご存知ですか?

明確な定義があるわけではありませんが、一般的に「非常食」と言うのは、あくまでも非常事態の短期的なもの。「食べられさえすればいい」という乾パンやインスタント食品だけでは、長期的な被災生活には対応できません。一方、「災害食」は、手に入りやすい食材で、できるだけ日常に近い食事のこと。常温保存ができる食材で作ることができ、日常食べている食事と大差なく美味しく食べられるもの。この「災害食」を意識して家庭では備えておきましょう、という考え方が主流となっています。缶詰、乾物、乾麺などを常備し、日常生活で消費しながら補充していく「備蓄」や「ローリングストック」もこの考え方。でも、水道や電気、ガスなどがライフラインが止まった時に、日常に近い食事なんて作れるのでしょうか…?  そこで注目されている調理法が「パッククッキング」です。

災害時にも調理できる「パッククッキング」に親子で初挑戦

パッククッキングとは、災害でライフラインが止まってしまった時でも、耐熱性のポリ袋とカセットコンロ、少量の水があれば作ることができる調理方法。普段の食品が使え、湯煎するだけなので水も再利用可能、さらにポリ袋のまま食器にのせれば洗い物も出ない…、とにかく災害時を想定してよく考えられた調理法なのです。

私は高校生の時に阪神淡路大震災で被災したので、ライフラインの停まった生活の大変さ、身をもって体験しています(こちらの記事も参照)。電気は即日復旧しましたが、ガスは1ヶ月、水道は3ヶ月も不通でした。給水者がくるとポリタンクを持って給水所に水を汲みにいき、カセットコンロやホットプレートで調理する日々でした。工夫もしましたが、流通が戻るまではレトルトや炊き出しに頼ることも多かったと思います。当時、この調理法を知っていたら…!

そんな中、親子で学べる災害食「パッククッキング」のオンライン講座が開催されるとのこと。出張シェフサービス「シェアダイン」主宰で、管理栄養士と調理師の免許を持ち、パッククッキング講師としても活動されている出張シェフakiさんが講師とのこと。7歳になる次男と参加しましたので、その時の様子をお伝えします。

手軽でカンタン!そして美味しい。普段にも使えそうなレシピ

パッククッキングに必須な道具、耐熱性のポリ袋(高密度ポリエチレン)を用意し、あとは乾物とめんつゆスタンバイ。この日は「ひじきと大豆の煮物」「高野豆腐と切り干し大根の煮物」の2品を作りながら、災害食についてあれこれ教えてもらいました。

材料を入れて湯煎だけ、ひじきってこんなに簡単だっけ?

ひじきは子どもたちも好きなのですが水に戻したり、お揚げを油抜きしたり、にんじん千切りして炒めて出汁をとって煮て、とすごい工程が多いので、極力避けてきました。それがなんと、乾物ひじきと茹で大豆を袋に入れ、好みの濃度の麺つゆを入れて湯煎するだけ(乾燥した刻み揚げもあったので一緒に投入)、なんて簡単…。

【ひじきと大豆の煮物】
材料●乾物ひじき、ドライパックの大豆、めんつゆ、水
①袋の中に大人の手で片手に乗る量(子どもなら二回分)のひじきと大豆を投入。
②(袋の中では蒸発しないので)麺つゆの味が濃くないか、味の確認をする。
③ビニールの中の空気を抜いて密閉。(お鍋のフチでビニールが溶けないよう注意)

切り干し大根と高野豆腐、久しぶりに食べたけど…美味しい

高野豆腐と切り干し大根も水に戻して下準備が必要だし面倒…、と思っていましたが、ひじき同様、袋に入れて麺つゆ入れて湯煎するだけ。最近の乾燥フードはよくできていて、切り干し大根以外の野菜も入っていて見た目もいい感じです。こんな簡単なら災害時だけでなくて、普段の時短料理で取り入れたいです。

【高野豆腐と切り干し大根の煮物】
①ひと握りの高野豆腐と切り干し大根、ひとつまみの椎茸を入れる。
②水を加えて味を整えためんつゆをひたひたに浸かるように。
③空気をしっかりのがして上の方で結んで密閉。
④沸騰したお湯の中に入れ、蓋をする(ポコポコ沸き立つぐらいの優しい沸騰)。15分ほど茹でると出来上がり。

なんて簡単なのでしょう。そしてなんて美味しいのでしょう。洗い物もないし、湯煎した水は再利用できるし…これなら日常にも、災害時も安心して作れそうです。

パッキングの際のポイントとして
・量の目安は、ポリ袋1/3ぐらい。全ての具材が収まるように入れること。
・しっかり空気を抜くために結び目の根元を最初に押さえてから、上に向かって空気を出しながらねじること。
・ポリ袋のまま器に乗せると器が汚れないので、結び目はなるべく上の方で結び、ポリ袋の面積を確保したままカットすること。



栄養もあってホッとできる、温かい食事で家族を守る

高野豆腐や大豆はタンパク源にもなるし、海藻や野菜の乾物は栄養も旨味も詰まって栄養満点。災害時とはいえ、レトルトなどの非常食だけでは炭水化物は採れても野菜が不足し、栄養も偏りってしまうので、乾物はありがたい存在ですね。それに、温かいものは心を落ち着かせてくれますし、何よりもだしの味がホッとします。また、子どもと一緒に楽しく作ることで、不安な気持ちも和らぎ「家族みんなで乗り切ろう!」と団結できそうです。

最後に、akiさんからアドバイスがありました。
「ほかにも常温で保存できる根菜やお米、豆腐や豆乳、牛乳、缶詰など普段からチェックして、日常に取り入れてストックしておきましょう。家族の量はどのぐらいか、どんな味がいいか、災害時にはどんなものが使えるか、いつものご飯作りに取り入れておくと、いざという時に体が動くので、家族を守るスキルとして試してみてくださいね」

阪神淡路大震災の時も冬で寒い中、余震も長く続き、とにかく不安いっぱいでした。そんな中、親戚が歩いて届けてくれた新鮮な食料や救援物資、各地でボランティアの方々が炊き出ししてくれた豚汁やおでんなどに、本当に救われました。だからこそ、こういう食事が一品でもあると、本当に気持ちが救われると思います。一度、作っておくと手軽さや手際がわかるので、体験してみてよかったです。皆さんもぜひ、これを機会にパッククッキングトライしてみてください。

シェアダインでは災害食のクッキング体験できる防災プラン「いざという時のために、自分と家族を守る!災害食体験プラン」もあるので、気になる方はシェアダインHPからお申し込みを。

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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