LIFE

新型コロナ緊急特集

罹患者がひと目で分かるシステムも…上海の読者が「新型コロナウイルス流行」に感じたリアルとは?

  • 高見澤恵美

2020.04.05

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【30代・40代】海外で暮らすLEE世代の一般女性は「新型コロナウイルスの流行拡大」に何を感じているの?(1・中国<上海>編)

新型コロナウイルスの流行が、私たちの暮らしに変化をもたらしています。海外に生活の拠点を置くLEE読者は、どのような日々を過ごしているのでしょうか? 第1回は、上海で暮らしていた読者のリアルな体験談をお届けします。

■年代:30代
■職業:主婦
■場所:中国(上海)
■夫の海外赴任に帯同

(※4月3日《日本時間PM2時まで》の、読者への取材による内容です)

夫は上海に残り、子どもと一時帰国することを決意

ーー新型コロナウイルスの流行拡大は、生活にどのような影響を与えましたか?

「ニュースでも新型コロナウイルスのことは知っていましたが、正直1月中旬頃までは対岸の火事のように傍観していました。しかし春節直前に武漢が封鎖され、初めて新型コロナの脅威を感じるように。春節中はもともと予定していた日本への旅行に行きましたが、その間に上海でも危険レベルがどんどん上がり、小学校の休校や帯同家族の一時帰国などが次々と要請されるように。仕事のため上海に残る夫としばらく離れ離れで生活する覚悟をし、母子で一時帰国を決めました」

QRコードで管理され、自宅の外に出られない自粛生活

ーー上海では自粛生活を経験しましたか?

「私は春節後すぐに一時帰国したので経験していませんが、上海に残った夫は外食できずに食べ物に困り、1か月ほど毎日レトルトカレーや白米のみで過ごしました(今はちゃんと食べられてるようです)。

また、少し前に日本から上海に戻った友人の話を聞くと、自粛期間中(2週間)は玄関のドアにセンサーがつけられたり、携帯に付随するQRコードで行動を管理され、マンションの外に出られない措置をされたそうです。1日1回、マンション守衛の方がゴミを出してくれたり、出前で頼んだものを届けてくれたようです」



転入を断る日本の学校も

ーー日本への帰国はいつ?

「会社からの帯同家族緊急一時帰国要請を受けて1月末に帰国しました」

ーー帰国後は、どのような苦労がありましたか?

「2週間のホテル待機をした後、実家近くのマンスリーマンションへ入居。子どもは上海の小学校から日本の小学校へ『弾力的な転入』をするように要請を受け、2月中旬から実家近くの小学校へ通うもわずか2週間でこちらも休校に(泣)。

幸い通った小学校は皆優しい方たちばかりでしたが、上海ママ友たちの中には『上海(中国)から来た』と分かると小学校側から断られたり……という話も聞きました。

3月末に上海へ戻る予定でしたが、先日外国人の入国が全面禁止となり(ビザも失効)、またしばらく帰れなくなりました。

そんな中、マンスリーマンションの契約も切れ、再び引っ越すことに……。上海の学校の再開目処も立たず(日本もですが)、さらなる長期戦を覚悟しています」

ーー現在の上海の状況は?

「夫によると、マスクはまだ入手困難だそうですが、なぜかアルコールジェルは手に入るそうです。学校はローカルも含めどこも再開しておりません。

しかしながら街のレストランや娯楽施設などは徐々に再開し始め、活気を取り戻しつつあるようです」

ーー新型コロナウイルス対策で、日本と上海ではどのような点が異なると感じますか?

「中国は共産主義の国だからか、いきなり物事を決行するのでびっくりしますが、数ヶ月経った今は、新型コロナウイルスの終息に向けてはこれくらいの強引さが必要なのかな……とも思います。実際、上海に関してはだいぶ日常が戻りつつあります。

個人情報はダダ漏れな気はしますが、地下鉄やタクシーに乗る際に車内にあるQRコードをスキャンして登録をすると、自分の身の回りで起きた罹患者がひと目で分かるシステムはよいと思います」

ーー上海の新型コロナウイルス対策で心配なことは?

「上海にある日本企業はこの一件で大赤字になり、会社命令で一時帰国している方に対してそのまま本帰国を要請する可能性が高いという噂を聞きました」

帰国後、友人への忠告をスルーされ……

ーー日本に戻って感じたことは?

「武漢へ封鎖や上海での厳戒態勢を経験していたので、一時帰国した直後はそのギャップに驚きました。

日本でも少なからず患者が出始めていた頃だったので、ちょうど1か月前の上海と重ねてしまう部分が多くて。友人に『もうすぐ日本も武漢のようになるよ!』と忠告するもスルーされたり……。

桜が咲き始めた頃、近くを通りかかった時に宴会をする若者たちの姿を見ていたので、ここ最近の患者数の増加に関しては、やっぱりなと思ってしまいます」


次回はシンガポール在住読者の声をお届けします。

高見澤恵美 Emi Takamizawa

LEEwebエディター・ライター

1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。

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