佐々木はる菜

映画から生みだされるお菓子“cineca”・物語を纏った、おいしい芸術作品の秘密【前編】

映画などを題材に物語性のある素敵なお菓子を生みだす“cineca(チネカ)”。
今回は、おいしいお菓子でありながら、まるで芸術作品と呼びたくなるような美しさを持つcinecaの魅力を前後編の2本立てでお送りします。後編では、主宰される土谷みおさんにインタビュー!ひとつひとつが物語を纏った、美しく不思議なお菓子ができるまでの秘密を伺います。

目と心と頭で愉しむ、物語が詰まった不思議なお菓子

最初に私がcinecaと出会ったのは美術館のミュージアムショップでした。当時行われていた展覧会に合わせて作られた、人気作品のひとつ「palette きょうをいろどる ジンジャークッキー」を目にし、その美しさと、有名な画家の作品に囲まれていても存在感を放っていた独特の雰囲気に目が離せなくなりました。

フランスの女流画家の生涯を描いた映画「セラフィーヌの庭」(2008)をモチーフに生まれた作品。茶の沈んだ色合いと照り具合は、まるで本物の木でできたパレットのような質感。独特の風合いをだすため、細かな材料まで工夫を重ねられているそう。

cinecaの魅力は、作品に触れるだけであたかも1本の映画を観たかのような、日常とは違う世界へといざなわれるような気持ちにさせてもらえることだと感じています。
作品自体の美しさはもちろんですが、cinecaをディレクションされている土谷さんが紡ぎ出す文章もまた素敵で、それぞれのお菓子が元となった映画からどんな風にインスピレーションを得てできたものなのかというエピソードや、メディアで執筆されている映画とお菓子にまつわるコラムなども、物語を読むように楽しんでいます。

例えばこちらは、花やハーブを閉じ込めた「herbarium (ハーバリウム) -甘い標本-」という砂糖菓子。

フランスの古都を舞台に、ひとりの青年がかつて出会った美しい女性の面影を追い求めて想い出の街をさまようというストーリーの映画「シルビアのいる街で」(2007年)から生まれた作品。シンプルですが洗練されたパッケージも印象的で、それぞれの花言葉が添えられています。

映画「シルビアのいる街で」は、主人公の男性が過去に想いを寄せていた“シルビア”らしき女性をカフェでガラス越しに見つけるところから物語が動き出すように感じたと土谷さんは言います。その物語の始まりとなるガラス越しに見たシルビアのいる情景をお菓子に落とし込むことで生まれたのがherbariumだそうです。男性の記憶の中で封じられたシルビアを花に、記憶を封じる様を飴に見立て、飴の中に花を封じたお菓子。

私はもともと映画や物語が好きでしたが、特に大人になってからは日々慌ただしく、そういった作品をゆっくりと楽しむ余裕をなくしてしまい常々そのことを残念に思っていました。そのせいもあるのか、cinecaが映画をもとに創りだす独自の世界観や、そこから伝わってくる物語への愛に触れられることが、とても貴重に感じられます。特に私にとってherbariumの美しさとエピソードは、この映画を観るきっかけになるほど印象的でした。

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