中古をリノベ?土地を買って新築?それとも分譲?
こだわりのリノベマンションから賃貸にお引っ越し「理想の家に出会うため、今は暮らしの実験中です」本多さおりさん
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@homeLEE 私らしく建てる、心地よく暮らす
2026.10.07
譲れる、譲れないの見極めがもっと大事に
住宅費高騰時代に私たちは家をどう考える?

不動産価値や資材、人件費が上がり続け、さらに金利の上昇も……。今、住宅を手に入れるのに厳しい時代です。自分たちが満足できる住まい方を模索し、選んだ方々を取材し、さらに住宅のプロにも意見を伺いました。物価が上がり続けるなか、私たちが住まい選びで大切にするべきことを、一緒に考えてみませんか?

広々として、陽当たりのよい本多さおりさん宅のリビングダイニング。「賃貸でも植物や家具を取り入れて好みのインテリアを楽しんだり、動線を工夫したりしています。今までの暮らしで学んだことを生かしながら、自分らしく暮らせることがわかりました」
整理収納コンサルタント 本多さおりさんが
こだわりのリノベマンションから賃貸の戸建てに引っ越した理由は?
今年の2月、フルリノベーションをした持ち家のマンションから、近所の賃貸戸建てに引っ越した本多さん。必要に応じて軽やかに住まいを替えてきた本多さんの住み替え計画について、たっぷりお話を聞きました。
子どもの成長に合わせて住み替えを決意。理想の家に出会うため、今は暮らしの実験中です

成長してきた子どもと親が互いに快適に暮らせる家へ
本多さんが今の賃貸戸建てに引っ越したのは、今年2月のことでした。前の家は、フルリノベーションを施した持ち家のマンション。家事動線がよく、好みにぴったりの設えで、窓から見える緑が美しい部屋でした。
ではなぜ、購入してから6年という短期間で売り、今の家に移ったのでしょうか。
「前の家は、子どもたちが1歳と3歳のときに購入しました。育児が大変な時期を、家事をラクにしてくれるあの家にどれだけ助けられたかわかりません。ただ、子どもたちが保育園児から小学生になって帰宅が早まると、家で仕事がしにくくなりました。学童はどうしても合わず、子どもが在宅する中で仕事に集中するのは難しい。それにもう数年すれば、個室が必要になるかもしれない。個室がなく、フロアをぐるっと回遊できる一室空間の間取りは、幼児育児と家事には最適でしたが、『今』に合う家ではなくなってきたんです」


明るく広い、お気に入りの対面型キッチン

加えて、実は入居当初から『音の問題』に悩んできた本多さん。階下の方から子どもの足音に対する苦情が重なり、どれだけマットを敷いても床下リフォームをしても解決には至りませんでした。もちろん子どもに言って聞かせはしますが、限界があります。この出来事で「次は絶対に戸建て」という住まいの条件が生まれたのです。
ただ、マンションの購入が失敗だったとは本多さんは考えていません。
「購入した当初から、『10年後もこの家に住んでいるかはわからない』と考えていました。数年後の状況もわからないのに、10年後がわかるはずがありません。わからない未来より、そのときそのときで自分たちの『今』に合う家を考えたいと思っています」
棚で仕切ってリラックススペースを作る

中古をリノベ? 土地を買って新築? それとも分譲?
「今の最適」に合わせた戸建てを見つけるため、本多さんはマンションに住みながら近所の中古物件を探し続けていました。中古物件を探した理由は、手頃であることと、前のマンションでお世話になった建築士の長澤徹さんに再びリノベをお願いしたい気持ちがあったからです。
けれど、なかなかいい物件は見つかりませんでした。内見に行ってみると薄暗かったり、リフォーム済みだったり、高額すぎたり。
そんな折、長澤さんからこんな話を聞きました。「木造住宅の寿命は一般的に50年前後。安価だからと古い物件をリノベしても、長く住めない可能性がある」と。築浅だけれど高額な中古物件を内見した直後だったこともあり、「築浅の中古も新築もそれほど変わらない金額なら、新築で長澤さんにお願いしたい!」と新たな理想が頭をもたげてきたのです。
置きたいものが多い洗面所は空中を活用

ところが。土地もなかなか見つかりません。不動産会社に相談をし、長澤さんにもアンテナを張ってもらいましたが、ほとんど「売地」が出ないのです。
というのも、住み替えで何より譲れないのは「環境変化にセンシティブなわが子を転校させない」こと。学区という限られた域内で、土地を見つける必要がありました。しかも、このエリアは人気があり地価が高い! たまに手の届く価格の「売地」情報が出ても、見に行ってみると本当に小さな土地。周りを建物にぐるりと囲まれていたり、路地の奥で駐車が難しかったり、斜めだったり……。
一度、そのような条件に合わない、ある土地で二階建て一軒家を建てた場合のコストを、長澤さんに算出していただいたそう。
「土地代、資材、建築費、ローンなど詳しく出していただいたら、想定していたよりずっと高かったんです! 長澤さんによると、6年前にリノベをした頃より、資材はおよそ1.5倍の値段になっているそう。なるほど、このエリアで自分たちに買えるのはそういう土地だけなんだ、と厳しい現実がハッキリ見えてきました」
2階の寝室には、何も置かない

家に大金をかけていい! ガラッと変化した価値観
厳しい条件ながらも、いつ「これは買いだ」という出物があるかはわかりません。住んでいるマンションを売って資金を準備し、近所の賃貸に住むことに。これが、今回の引っ越しの経緯です。
「よかったのは、購入費とリノベ費の合計額でマンションを売れたこと。この6年間の家賃がほぼかからなかった計算になります。それに、希望する間取りでなくても、家族に合わせて家事動線を組み立てたり、1階と2階を使い分けるイメージができたりと、賃貸戸建てに住む経験にはメリットもたくさん。予算に合わせて分譲を視野に入れる心構えもできました。ただ、毎月の家賃がもったいないので、なるべく早く持ち家を見つけたいと思っています」
団欒によい、丸いダイニングテーブル

この6年で、本多さんの住まいに対する価値観はガラリと変わりました。以前は「大きな借金は人生の重荷。住まいにお金をかけず、その分家族でたくさん出かけたい」という考えで、駅から遠く理想よりも狭い、手頃な中古マンションを購入しました。
今となっては、子どもたちは親と出かけたがりません。同時に住まいにおける「育児と仕事を分けて両立できる」「子どもの個室が持てる」「階下から音の苦情がない」ことの重要度が、ものすごい勢いで上昇したのでした。
「そのためなら大きな借金はいとわない!と夫婦で共通認識ができました。物価高も相まって、今の8千万円は、以前の6千万円くらいの価値に感じています。物件を調べ続けているうち、自分の中での相場感が変わった。飲み込んだ、という感じです」
不動産会社に相談をし、どこまでローンが組めるのかも把握したという本多さん。最近、出物の土地を見つけたのに別の不動産会社に即金で買われてしまうという手痛い経験もしました。
「私たちが甘かったと知りました。次の土地があるのか、分譲や中古に縁があるのか、あきらめることなく探し続けたいと思っています」
今後も理想の家を探し続ける本多家から、目が離せません。
動線上に日用品を配置しやすいシェルフ

Staff Credit
撮影/林 ひろし 取材・文/矢島 史
こちらは2026年LEE10月号(9/7発売)「住宅費高騰時代に私たちは家をどう考える?」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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