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【料理研究家・小林まさみさん、小林まさるさんインタビュー】93歳の義父が調理アシスタント! ケンカしつつも尊重できる、良好な関係の秘訣とは?

2026.08.14 更新日:2026.08.17

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料理研究家 小林まさみさん、まさるさん対談

LEEを始め、数多くの雑誌やテレビ番組で活躍を続け、著書も好評な料理研究家の小林まさみさん。そして、まさみさんの義父で、定年後の70歳から調理アシスタントをつとめ、自身もシニア料理家として人気を集める小林まさるさん。

共著『年金暮らしのお助けレシピ ねんきんごはん』(内外出版社)も重版を重ね、その絶妙なコンビネーションが注目されますが、あらためて、おふたりのように良好な嫁舅関係を築く秘訣とは? まさみさんのキャリアチェンジ、まさるさんがアシスタントになったきっかけ、共著の制作裏話など、おふたりのこれまでについてじっくりお話を伺いました。

料理研究家小林まさみさん

料理が苦手な人にも寄り添うレシピが人気

小林まさみ

MASAMI KOBAYASHI

料理研究家

会社勤めをしながら調理師学校で学び、料理研究家、フードコーディネーターのアシスタントをつとめ、その後独立。現在は料理教室、数々の雑誌、『キューピー3分クッキング』などのテレビ番組で活躍するほか、企業のレシピ開発、イベントなどでも活動中。新刊に『ちょい漬け』(技術評論社)、『レシピの行間を読むレシピ』(成美堂出版)。その他著書多数。

料理研究家 小林まさるさん ポートレート

93歳。シニア料理研究家。

小林まさる

MASARU KOBAYASHI

料理研究家

料理研究家の小林まさみさんの義父で、定年後70歳から調理アシスタントをつとめる。シニア料理家としても活動中。著書に『92歳、小林まさるの脳トレスープ』(Gakken)、『人生は、棚からぼたもち!86歳・料理研究家の老後を楽しく味わう30のコツ』(東洋経済新報社)など。YouTubeチャンネルを開設したのは88歳から。

結婚後に調理師学校へ。最初は、お父さんよりも料理が下手でした

料理研究家 小林まさみさん&義父の小林まさるさん お茶をいれながら談笑しているところ

まさみさんは、一度会社員を経験してから、料理研究家を志したと伺いました。思いきったキャリアチェンジをしたきっかけや、経緯を教えてください。

まさみ もともと会社員をしていて25歳で結婚し、結婚の半年後に、調理師学校に通い始めました。短大が家政科だったので料理も洋裁もやっていたのですが、私は縫い物が好きで就職後も会社帰りに習っていたんですね。こういった好きなことを仕事にできたらいいなと思いつつ、洋裁はなかなか難しそうだなと。料理なら仕事につながるイメージができたし、作るのも食べるのも好きだったので、きちんと習って料理研究家になろう、とある時心に決めました。ただ、当時はまだ全然料理ができなかったんですけどね。

まさる 俺は昔から料理をしてたから、最初は俺より下手だったよな(笑)。息子が結婚して一緒に暮らそうと言ってくれて、半年ほどでまさみちゃんが料理の学校に通うと言ったときは、正直「何考えてるんだ?」と思ったね。でも、この人は一度決めたらあとには引かないと見ていて感じたから、すぐに「思いきってやれ!」という気持ちになった。

まさみ 夫にもお父さん(まさるさん)にもまったく相談しないで、決めてから報告したんですよね。学校は働きながら1年半通って、何のツテもなかったので、在学中に雑誌で見つけた料理家の先生に直接連絡して料理を教えてもらったり、たまたま料理人と結婚した友達にテレビで活躍するフードコーディネーターさんを紹介してもらったり。調理師学校の同級生と比べたら、もう若くなかったので”焦り”が原動力でしたね。あれこれ動いたら、話した人たちが力になってくれて。少しずつテレビの料理番組のアシスタントの仕事をもらえるようになり、平野レミさんのところでも長くお手伝いをさせてもらいました。



70歳のときに、まさるさんが「俺がやるよ」とアシスタントに名乗り出た

料理研究家 小林まさみさん まさるさん 対談・談笑しているところ

そこから、まさるさんがまさみさんのアシスタントとして働くことになったのは、いつ頃でしょうか?

まさみ 7年ほどアシスタントを続けていた頃に、調理師学校でお世話になった先生から引き継いでいたウェブのおやつの連載を本にまとめる、という話が持ち上がり、それと同じ版元で丼の本も出すことになって。自分の本を2冊出版できることになったんです。

まさる あれは俺が70歳のときだな。「本を作るのにアシスタントがもうひとり必要だけど誰もいない。どうしよう」と言うもんだから「そんなの俺がやってやるよ!」って。ちょっとお酒も入ってたから、勢いよく口走っちゃったのが運の尽きだったね(笑)

まさみ その前から、テレビの仕事で餃子を100個ほど家で仕込んでいるときに、見かねたお父さんが、ちゃぶ台でキャベツのみじん切りをやってくれたりしていたんですよね。

まさる 朝から晩まで料理して、パソコンの前で一生懸命何かやってるからさ。頑張ってる様子を見てたから、アシスタントはもちろん、「掃除から洗濯から、家のことも俺が全部やってやる!」って。今でも朝から床を拭いて、買い物に行って、犬の散歩もやってるよ。

まさみ すごく助かっていますね。

読者の声を聞いていると、LEE世代でも「家事は女性がするもの」と思う男性も多いようです。93歳のまさるさんの柔軟な考え方には、頭が下がります。

まさみ お父さんが、仕事の現場にいる若い人たちと普通に楽しく話して、偉ぶらずに接しているところは、私もすごいなと思います。1日中アシスタントの仕事で座れなくても、絶対に疲れたって言わないし、そうなると周りのスタッフも弱音を吐けないよねと。みんなのいいお手本にもなってくれて、ありがたいですね。

まさる 年取るとさ、「今の若いものはなってない」なんて言葉をよく使うよね。俺は、この言葉が大っ嫌いなんだよ。みんな俺たちよりずっとちゃんとやってるし、若いからって下に見ることないんだ。人と接するときに年齢はあんまり関係ないし、必要なら年寄りが若い人の補佐をすればいいんだよね。俺はずっとそう思ってるよ。

ケンカしてお父さんが家出。公園でお酒を飲んで寝ていたことも!

小林まさるさん、まさみさん対談

お互い尊敬し合い、サポートし合える関係性が素敵ですね!

まさみ そう言ってもらえることが多いのですが、面倒なこともありますよ。玄関が開けっぱなしだったとか、水が出しっぱなしだったとか言うと、すぐケンカになって、お父さんが家出してしまうことも(笑)

まさる あとは、料理に口出しされるとケンカになるな。「白菜は冬が旬だから、夏発売の本では主役に使わない方がいい」なんて言うからさ、「今はスーパーで買える」って、言い争いになるんだよ。それでたまに出ていっちゃうんだ。

まさみ いつもは朝に家を出て、デパ地下をぐるっとまわったらお昼過ぎには帰ってくるのに、ある時15時になっても帰宅しないことがあったんです。犬の散歩がてら近所を見に行ったら、公園の芝生でお父さんが大の字で寝ていて。あわてて起こして連れ帰りました(笑)。

まさる 昼から飲みに行ったり、適当に長距離バスに乗ってそのバスの目的地で温泉でも入ってこようか! なんて思ったこともあったな(笑)。

90歳になってから、ちょっとだけ肩が上がりづらいことがあって、これが四十肩かと思ったぐらい

料理研究家小林まさみさん、まさるさん、愛犬

家出をしたり、お酒も嗜んだり……まさるさんの元気ぶりには驚くばかりです。あらためて健康の秘訣はありますか?

まさる 70歳すぎに少しだけ疲れを感じたこともあったんだけど、一晩よく寝ればなんてことない。痛いところもないしね。90歳になってから、ちょっとだけ肩が上がりづらいことがあって、これが四十肩かと思ったぐらいだよ(笑)。ひとつだけ続けているのは、お風呂で毎日軽い体操をすること。わざわざ運動しようと思っても三日坊主だから、絶対毎日やることは何だろうと思ったら、お風呂に入ることだなと。お風呂のついでならできるかなと思って、35歳ぐらいからずっと続けてる。お風呂で体が温まっているときだと痛くもないし、手を上げたり伸ばしたり、毎日10分ぐらいはやってるよ。

まさみ お年寄りのフレイル予防で、「栄養」「運動」「社会参加」の3つを生活にとり入れることが大切だとあるんです。お父さんはアシスタントの仕事や家事を担うことで、駅まで25分歩いて買い物に行ったり、現場でみんなと話したりして、自然とこれができていたんだなと。気づけば、体にいいことばかりしていたんだなと思いますね。

本を作るときも、レシピ出しや試作はそれぞれで考えて発表します

小林まさみさん、まさるさん共著本
「ねんきんごはん 年金暮らしのお助けレシピ」(内外出版社)書影

共著『年金暮らしのお助けレシピ ねんきんごはん』も好評ですが、共著の場合はどのように制作を進めるのでしょうか?

まさみ 基本的にはそれぞれで考えます。「私とお父さんの担当が半々で」「ここのテーマだけはまさるさんに」などと毎回編集さんからの要望があるので、それに合わせて、各々が撮影までにレシピを考えたり、試作を作ったりしていきます。

まさる 俺は料理の仕事を始めた時から、思いついたことやアイデアをノートに書きためてるんだ。もう18冊になるね。それを見るとすぐに本で紹介する料理も思い浮かぶね。

まさみ お父さんは目分量で料理をしていたから、最初は計量スプーンも使えなかったので、試作や分量出しを一緒にやっていたのですが、お父さんにも計り方を覚えてもらって。今はひとりでやって、それぞれで編集さんにレシピを発表します。たまに、被っちゃうこともあったりするのですが、あまり気にせずお互い自由にやっていますね。

あらためて、今回の本の特徴やおすすめのポイントを教えてください。

まさみ 年金世代の人たちは、他にもやりたいことがあったり、料理自体が負担に感じたりすることも増える中で、健康のためにはやっぱり食べることは大切で。昔のように手をかけるのではなくて、目先を変えて楽しく簡単に料理をしましょう、というこれまでにない提案ができた本だなと思っています。例えば、カレールーの料理は今まであまり紹介してこなかったのですが、手軽さを追求して使ってみたりと、自分の中で新たな挑戦もできました。

まさる お金がかからない料理が多いのもいいね。年金ってそこまで多くもらっている人は、ほとんどいないから。限られたお金の中でどう作るか、よく考えられている本だと思います。

小林まさみさん、まさるさん共著本 「ねんきんごはん 年金暮らしのお助けレシピ」(内外出版社)書影

内外出版社

年金暮らしのお助けレシピ  ねんきんごはん

食材の値上げの心配や、献立を考える手間もあるけれど、高齢者にとって食事は安くて簡単であればいいというわけではありません。そこで、おいしくて「健康」を考えたレシピを、人気料理研究家の小林まさみさんと義父のまさるさんが提案します。93歳のまさるさんが、年金世代の気持ちに寄り添い、考えます。

価格¥1,650(本体¥1500+税)

まさみさんの作り手に寄り添うレシピ。好評の「まさる漬け」も。

まさみさんの著書『ちょい漬け』、『レシピの行間を読むレシピ』もとても惹かれるタイトルですね。

料理研究家小林まさみさん書籍「レシピの行間を読むレシピ」「ちょい漬け」
小林まさみさんの著書。
(左)『料理がもっとおいしくなる レシピの行間を読むレシピ』(成美堂出版)
(右)『ちょい漬け ~サクッと作れて、ピタッと食べきる!』(技術評論社)

まさみ 『レシピの行間を読むレシピ』は、私が料理教室で教えている細かい部分を文字にしてほしいと言われて。定番料理をイチから丁寧に解説しているので、長く手元に置いてもらえる本になったんじゃないかなと感じています。『ちょい漬け』はその名の通り、ちょっと漬けて食べ切れるレシピが満載。ぜひ気軽に作ってみてください。

まさる 『ちょい漬け』には、撮影のスタッフさんたちに出したらウケた、とうがらしを漬けた「まさる漬け」も載ってるよ。お袋が育てたとうがらしが大量にあったから、悪くなる前にどうにかしようと、高校生のときから作ってるものなんだ。うまいから食べてみてほしいね。

Column1

小林まさるさんの料理ノートは今、18冊目。

料理研究家小林まさるさんの料理ノート
小林まさるさんの料理ノート

最新のものは18冊目になるという、まさるさんの料理ノート。表紙に大きく”コンビーフ”と書いてあるので、理由をたずねると「よく使うのにすぐに名前を忘れちゃうから、見えるところに書いておくんだ」

Column2

小林まさみさんが手際よくふるまってくれた、だしそうめん、まさるさん特製みょうが漬け、唐揚げ

小林まさみさん だしそうめん、ミョウガ漬け、唐揚げ
料理研究家小林まさみさん、料理を器によそう手元

撮影時にまさみさんがふるまってくれた、薬味たっぷりのだし風そうめん、唐揚げと、まさるさんお手製のみょうがとキャベツのお漬物。夏にぴったりのメニューで、スタッフ一同、お箸が止まりませんでした!

Staff Credit

撮影/馬場わかな 取材・文/野々山 幸(TAPE)

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