【その疲れ、「血糖値」が原因でした】食後に眠くなるのは満腹のせいじゃない!糖尿病専門医に聞く「血糖値スパイク」とは?
2026.08.20 更新日:2026.09.10
LEEヘルス保存版
“疲れにくい”を実現する新習慣とテクニック
めざしたいのは「体力おばけ」なカラダ!
「疲れが取れない」「いつもだるい」といった体の悩みを抱えがちなLEE世代。フットワーク軽く行動できる元気を取り戻したい。でも今からじゃ無理でしょ? ……いえいえ、そんなことはありません。実は、疲れ知らずの体力って、ちょっとした新習慣で手に入るんです。
私の食習慣は大丈夫?
その疲れ、「血糖値」が原因でした!
\LEE100人隊も悩んでる!/
もしかしてこの疲れや不調、血糖値が原因かも?
1日の中で疲れや倦怠感を感じるタイミングを聞いたところ、多く挙がったのが「食後」。仕事や家事にも支障が出ている人も多数……。
昼食を食べてしばらくすると、眠気がひどくなってしまうのが悩みです。食べ物が胃にもたれやすくなってきた気がします。
No.031 acchaさん
甘いものを食べたい欲が、我慢できないほど強烈になってしまうことがたまにあります。1日を通してあまり食べていないのに、翌日朝体重を量ると増えているときがあり、とても悲しいです…。
No.059 サンさん

夜の食事は気をつけていますが、1日の疲れからか、食後に動けなくなってしまうことが多いです。また、朝の食欲があまり湧かず、どうしてもパンとコーヒーといった簡単なもので済ませてしまうのも悩みです。
No.086 かぼすさん
食事の後に強い眠気を感じることがあり、ひどいときは起きていられず、そのまま寝てしまうことがあります。特に昼食後や夕食後に起こることが多く、気づいたら眠ってしまっているような感覚です。生活リズムや食事内容が関係しているのか気になっています。
No.050 むらゆかさん

食後に眠くなるのは、満腹になってホッとしたから……じゃない! 血糖値をコントロールして、眠気やダルさと無縁の体に。
「血糖値」が安定しないと、疲れやすい体になります

牧田善二さん
AGE牧田クリニック院長
糖尿病・合併症治療・アンチエイジング専門医。40年以上にわたり、延べ20万人以上の患者を診察してきた血糖値のプロ。血糖値や体の糖化、腎臓病治療などに関する著書多数。
血糖値とは、血中のブドウ糖の濃度のこと。食事の後などに眠気やダルさで動けなくなるのは、血糖値が大きく関係しているそう。
「まず、血糖値と疲れの関係から見てみましょう。私たち人間を含め、すべての生物は細胞内でATPというエネルギー物質を作り出し、それを生命活動に充てています。ATPの主な材料はブドウ糖であり、生きるうえで欠かせない物質です。ブドウ糖を摂取すると、血糖値が上昇→膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌される→ブドウ糖が全身の細胞に取り込まれる→血糖値が下がる、という現象が起こります。これがゆるやかであれば問題はないのですが、パンやごはんなどの炭水化物や、甘い飲み物、お菓子などブドウ糖が多く含まれているものをいきなり大量に摂取すると、血糖値が一気に上昇し、上がった分だけ一気に下がります。この血糖値の急上昇・急降下が食後の疲れやダルさを引き起こす正体=『血糖値スパイク』という状態です。でも甘いものを食べると心が満たされて元気になる、という人もいるでしょう。しかしそれは糖質を脳が『ごぼうびだ』と認識し、一時的にハイになっただけ。本当の意味で疲れが消えてなくなったのではありません。むしろ繰り返すほどその習慣から抜け出せなくなり、疲れのスパイラルを招く恐れがあります。
とはいえ、炭水化物やおやつなど糖質を含むものすべてをNGにする必要はありません。食品の選び方や食べ方で、血糖値を適正に“コントロール”できればいいのです」
食後のダルさの大きな要因!
↓
「血糖値スパイク」ってなんですか?
血糖値がバーンと上がり、その後ドーンと下がる──「血糖値スパイク」を起こさないことが食後もテキパキ動ける体になる近道!
食事と生活習慣による血糖値の乱高下。それが血糖値スパイクです

血糖値の乱高下が疲れを招くのは、そのとき体が一時的に『エネルギー不足』の状態に陥っているから。
「エネルギー源である糖質をとっているのに不足?と不思議な気がするかもしれませんね。しくみを説明しましょう。血糖値は上昇幅が大きいほど下降幅も大きくなるため、一気に上がった後は大きく下がって一時的に低血糖状態=エネルギー不足の状態に。食後に強い眠気や倦怠感に襲われて動けなくなってしまう人は、これが起きています。そして、血糖値が大きく下がるとアドレナリンが分泌されて強い空腹感を感じ、イライラしてまた糖質の多いものが欲しくなる。するとまた血糖値がバーンと跳ね上がって……という負のスパイラルに陥ります。糖質をとると脳からドーパミンというホルモンが出て快感をもたらすため、繰り返すうちに『もっと糖質が欲しい』と中毒症状に。疲れを感じるとすぐ甘いものを食べたりや缶コーヒーを飲みたくなる人は、すでにこの状態。私たち人間の体のしくみは狩猟時代から変わっていないのに、その頃と比べて現代は糖質が身の回りにあふれている。簡単に手に入るがゆえに、“中毒”になりやすいのです。健康診断の血液検査で血糖値が『異常なし』の人でも、それは検査時にたまたま正常範囲内だっただけかも。食後や間食後など、1日のいろいろなタイミングで測ってみると、血糖値が糖尿病の域にまで達している人は、LEE世代にも珍しくありません。
血糖値をコントロールするには、糖質の量や糖の吸収速度などを考慮して食べ物や食べ方を選びます。カロリーに注目する一般的なダイエットとはやや異なる点もあり、意外に感じることがあるかもしれませんが、慣れれば簡単。続ければ疲れにくさを実感できるので、ぜひ習慣化してほしいと思います」
食後の血糖値の動き

血糖値が乱れると、こんな悪影響が…
1 眠気と疲れで、体がヘトヘトに
「エネルギー不足だと動けなくなったり頭の回転が鈍ったり、眠くなる人は多いでしょう。血糖値スパイクが起きているときには、体の中でこれと同じことが起きています。缶コーヒーや栄養ドリンクなどでシャキッとした気になっても、また血糖値の乱高下を招くだけ。この繰り返しで、眠気や疲れの連鎖から抜け出せなくなってしまうのです」
2 メンタルにも悪影響あり
「血糖値の急上昇からの急降下が起きると、アドレナリンというホルモンが分泌されます。それによってイライラや不安感が強くなることがわかっています。アドレナリンは交感神経を優位な状態にするため、自律神経のバランスが悪化。常に興奮して張り詰めた状態になるため、睡眠の質も低下します。それが続くとうつの引き金にも」
3 太りやすく痩せにくい体になる
「食べ物に含まれる糖質は生命活動のためのエネルギーになりますが、使われずに余った糖質は、インスリンの働きによって中性脂肪として体に蓄えられます。血糖値が乱高下することで空腹感を覚え、糖質の多いものをたくさんとることは、脂肪をため込む機会を増やすことに。その結果太りやすく、痩せにくい体質になっていきます」
4 生活習慣病のリスクがアップ
「エネルギーとして使い切れず余った糖は、体の中のたんぱく質と結びつきます(糖化)。するとAGEという、いわばコゲのような有害物質が作られます。これが体の細胞にくっつくと細胞に炎症が起き(酸化)、機能が低下。糖化と酸化は、糖尿病、その合併症である腎臓病、動脈硬化、がんなどさまざまな生活習慣病のリスクを高めるのです」
Staff Credit
イラストレーション/せかち 取材・文/遊佐信子
こちらは2026年LEE7月号(6/5発売)「めざしたいのは「体力おばけ」なカラダ!」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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