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動物たちが見た世界を通して、“生きる”ことを見つめられる

小学校高学年の読書にも!『動物哲学物語 ナイス実存』(著・ドリアン助川さん)は哲学初心者におすすめの一冊

  • 藤本こずみ

2026.07.12

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動物×哲学の物語シリーズ、第2作!

『動物哲学物語 ナイス実存』を棚に置いた画像

動物たちの生態を描いた物語を通して古今東西の哲学に触れられる、ドリアン助川さんの『動物哲学物語』シリーズ。

話題となった前作の『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』から約3年、第2作となる『動物哲学物語 ナイス実存』が発売されました。

今回は、実際に読んでみて感じた本書のおすすめポイントと、著者であるドリアン助川さんが登壇されたイベントの模様をご紹介したいと思います。

世界的ベストセラー『あん』の著者でもある、ドリアン助川さん

ドリアン助川さん
どりあん・すけがわ●作家、歌手。明治学院大学国際学部教授。1962年、東京都生まれ。1990年、バンド「叫ぶ詩人の会」を結成。解散後、執筆活動を開始。小説『あん』(ポプラ文庫)、『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』(集英社インターナショナル)など著書多数。

作家、歌手として活躍されているドリアン助川さん。2013年に出版した小説『あん』は、26言語に翻訳され、世界的ベストセラーに。河瀬直美監督によって映画化もされ、高い評価を受けました。
近年は、ポッドキャスト『ドリアン助川 ECHO WORDS』でも、言葉をテーマにした番組を配信されています。

そんなドリアン助川さんが描く、動物の生態に哲学のひとさじを加えた短編集が、『動物哲学物語』。

哲学、なのに難しくない

大自然を生きる動物が主人公の20篇

今作『動物哲学物語 ナイス実存』の舞台は、オーストラリア大陸と、中国、朝鮮半島、台湾、インド、モンゴル、ヒマラヤなどのアジア。

そこに棲む動物たちの物語が、ユング、プラトン、ブッダといった哲学者や思想家の考え方を織り込みながら展開していきます。

“哲学”や”思想”というと、「難しそう」という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。でも、この物語の主人公は、大自然に生きる動物たち。彼らの日常やつぶやきが、柔らかくユーモラスに描かれるので、スッと物語の中に入っていけるのが魅力!

収録されているのは、20篇。主人公は、コアラの男の子や、タスマニアデビルの女の子、ジャイアントパンダの少年に、インドサイの少年……。物語の冒頭には、それぞれの動物についての解説が添えられていて、彼らを取り巻く世界へと導かれます。巻頭、そして各話に掲載されている、銅版画家・溝上幾久子さんによる作品も素敵。

銅版画家・溝上幾久子さんによる作品

動物たちの目線で、時に温かく、時に切なく語られる物語。家族や仲間を思う気持ちに共感したり、自分と向き合う様子に感情移入したり。物語の世界に浸って読み進めるうちに、彼らの葛藤や選択から、「実存」「幸福」「居場所」といったテーマが見えてきます。

そして読後は、自分の中に新しい視点が芽生え、深い余韻に包まれる感覚に。生まれた場所で、誰かを愛したり悩みを抱えたりしながら一生懸命に生きている動物たちの姿を通して、「なぜ生きるのか?」「どう生きるのか?」と考えるきっかけを与えてもらえる1冊です。

創作の背景や作品の世界に触れる

イベントではドリアン助川さんによる朗読も!

本書の発売直後には、NHK文化センター梅田教室で、ドリアン助川さんが登壇するイベントも開催されました。

イベントに登壇するドリアン助川さん

このイベントは、ドリアン助川さんの講演と朗読によって、作品世界に迫るという内容。

印象的だったのは、“創造”についてのお話です。ご自身の活動を振り返り、詩とパンクロックを融合させた「叫ぶ詩人の会」、ハンセン病問題と和菓子をテーマにした小説『あん』、動物と哲学を組み合わせた『動物哲学物語』、など、「組み合わせからの創造」を行ってきた、と考察。さらに、組み合わせた“素材”に、自分の”意思”が加わった時、そこに”固有の閃き”が訪れる、とも。

ドリアン助川さんの場合は、社会問題に対する心の姿勢や、生きることの意味を問う哲学を加えたことが、活動や作品につながったそう。『動物哲学物語』も、だからこそ、心に響く奥行きのある物語になっているのだな、と実感。ドリアン助川さんの創作の背景や作品の世界を知ることができた、学びの多い時間でした。

そして、イベント中にはドリアン助川さんによる朗読も!

朗読するドリアン助川さん

この日は『動物哲学物語 ナイス実存』から、インドサイの少年が主人公の『菩提樹の下で』が取り上げられたのですが、著者による朗読、そしてドリアン助川さんの心地よい声の力もあり、一度読んだ物語にもぐっと引き込まれてしまいました。

そうそう、ドリアン助川さんは『朗読ダイエット』という著書も出されているとあって、「朗読は美容にも効果的!」との話題も。こちらもとても興味深かったです。



夏休みの読書にもおすすめ

『動物哲学物語 ナイス実存』は、優しく豊かな表現にあふれた、読みやすい短編集なので、動物好きの子どもと一緒に物語を楽しんだり感想を話したりするのにもぴったり。小学校高学年くらいになると、自分で読むこともできそうです。私も、小2の娘の前で読み聞かせのように朗読してみようかな、小6の息子には夏休みの読書タイムにおすすめしてみようかな、と思っています。

動物たちの物語を味わいながら、“生きること”を見つめられる『動物哲学物語 ナイス実存』。大人の一人時間に、親子のお家時間に、手に取ってみてはいかがでしょうか。

書籍情報

『動物哲学物語 ナイス実存』ドリアン助川・著 2200円 集英社インターナショナル

藤本こずみ Kozumi Fujimoto

ライター

1979年、兵庫県生まれ。雑誌やWEBで、インタビュー、ライフスタイル、占いなどの記事を執筆。趣味は、テレビドラマ鑑賞&リラクゼーションスポット巡り。夫、長男、長女との4人暮らし。兵庫・東京の二拠点生活に挑戦中。

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