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私のウェルネスを探して/能登屋英里さんインタビュー後編

【能登屋英里さん】「夫が自分に興味を持ってくれない」「会話が成立しない」と悩む人へ。あなたは夫に興味を持っていますか?

  • LEE編集部

2025.06.15

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能登屋英里さん

引き続き、能登屋英里さんに話を聞きます。能登屋さんの自宅は、築50年越えのヴィンテージマンションの角部屋です。日当たりと風通しが良く眺めも良好。取材した日は晴天で、爽やかな初夏の風がそよそよと吹き込んでいました。「家を快適に保つためのコツは?」と聞くと、「寝る前に夫が掃除機をかけています」と能登屋さん。快適な暮らしには、家族の協力が欠かせないようです。

後半では、能登屋さんがファッションやインテリアに興味を持ち、ディスプレイの仕事に就くようになったきっかけや海外での経験を経て知った強みについて聞きます。またフリーランス同士の夫と良好な関係を保つ会話のコツや、今が一番“心地良い”というウェルネスな生き方について聞きます。(この記事は全2回の第2回目です。第1回を読む

フリースブーム翌年のユニクロに入社、「広い世界でディプレイを学びたい」と留学を決意

能登屋さんは、3人きょうだいの真ん中に生まれ、両親と5人家族で育ちました。父親は13歳の時に他界、母は仕事が忙しかったため能登屋さんが家事をすることが多く、家の手伝いを積極的にする自立した子に育ったといいます。

能登屋英里さん

「弟は10歳下、母が忙しかったので弟の面倒は私が見ていました。料理も簡単なものは自分で作っていたように思います。自分で好きなレシピをまとめて、レシピ集を作ったり。それがおいしかったかどうかは分かりませんが、母がとても喜んでくれ“ありがとう”と言ってくれたのを今でも覚えています。父がいないけれど毎日忙しく、悩んだり悲しんだりしている暇がなかったように思います」

ファッションやインテリアに興味が出てきたのは高校生の頃。大学は芸術大学のファッションデザインコースに進学します。大学卒業後はアパレル業界を目指し、(株)ユニクロに入社。ユニクロでは本部の専門職が希望でしたが、一般職からスタートしました。

能登屋英里さん

「当時のユニクロはフリースブームの翌年。一般職で入社し店長も務めながら、採用や人材育成、在庫・売り場管理といったすべてをこなしました。中でも一番好きだったのが、売り場のディスプレイを作る仕事でした。入社3年目でVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)に配属に。そこでしばらく続けるつもりでしたが、ディスプレイの仕事を続けるためは“もっとスキルが必要なのでは”と思い、もっと広い世界を見たい・ディプレイを学びたいと留学を決意しました」

午前中は語学学校、午後はユニクロニューヨーク店でインターンシップ、週に一度夜はディスプレイの学校へ

ユニクロを退職し、留学のため単身ニューヨークへ。ファッション工科大学(FIT)で学ぶ予定が英語力が足らず、昼間のコースに入れず夜間のファッションディスプレイコースで学ぶことになります。

「言語の壁は高く、英語で何を話しているのかまったく分からず(笑)。同じクラスにいた日本人のハーフの子に教えてもらいながら授業を受けました。ユニクロ ソーホー ニューヨーク店のディスプレイチームのマネージャーと日本のユニクロで勤務していた時代から親交があったため、昼間はお店でインターンシップをさせてもらうことに。お給料はもらえませんでしたが、そこでニューヨークらしいディスプレイ術、感性などを学ばせてもらいました」

能登屋英里さん

そこで役に立ったのは、日本で培ってきた細かな管理能力でした。現地のスタッフは管理が苦手な人が多く、能登屋さんの能力が重宝され、午前中は語学学校、午後はユニクロインターンシップ、週に一度夜はディスプレイの学校(FIT)へ通う生活が1年ほど続きました。当初は現地採用してもらう予定だったのですが、諸事情で白紙に。就労ビザが下りないので帰国を余儀なくされました。そんな時、以前一緒に働いていた上司がユニクロフランスへ海外赴任が決まり「一緒に働かないか」と声をかけてもらい、次はパリで働くことに。

ユニクロのパリ オペラ店のディスプレイチームへ。日本で鍛えられた管理能力が役に立つ

「フランスにはワーキングホリーデービザを使い、ユニクロ パリ オペラ店のディスプレイチームのアシスタントマネージャーとして採用してもらいました。ここでも現地スタッフは管理が苦手で、日本で鍛えられた管理能力が役に立ちました。オペラ店はオープンから売れに売れて、売り場づくりから在庫管理、MDまでこなし、ありとあらゆることをやりました。一方パリではスリに3回も遭ってしまって、自分がぼんやりしていたのも悪かったのですがすごくショックで。年齢も30歳間近になり、そろそろ結婚したいと思い、1年ほど働いた後日本に帰国することにしました」

帰国後は知人の紹介で、ハイブランドのアイテムを取り合うセレクトショップ・エストネーションのディスプレイチームに所属します。ディスプレイを世界で学び、さらにはファストブランドからハイブランドまでを手がけたことは貴重な経験になりました。日本と世界の価値観や働き方の違いを知れたことは、その後の能登屋さんの生き方にも大きく影響を与えています。

能登屋英里さん

「ニューヨークとパリで語学力とディスプレイ技術、コミュニケーション能力が鍛えられました。日本と海外では仕事の進め方が違っていて、日本では上司への確認が必要だった仕事が、海外では自分の意思決定で進められることが多かったです。仕事を任せられることで“自分らしく、自信を持って”仕事ができるようになりました。また海外だと良い意味で適当な部分も多く、日本での真面目すぎる働き方の良さと悪さに気づくきっかけにもなりました。仕事以上に家族やプライベートを大事にするスタンスを知れたことも良い経験です。自分の強みやできることが明確になり、どんな生き方がしたいかはっきりしたと思います」



夫婦共にフリーランス。仕事のことやそれ以外もよく話し合う良き相談相手

現在は英会話講師を務める夫Naokiさんと小学4年生の娘さんとの3人暮らし。娘さんは能登屋さんの姿を見て成長したせいか、片付ける&見せる収納も得意。以前は寝室に使っていた部屋が今は子ども部屋になり、娘さんらしいお気に入りのスペースを作り上げています。夫のNaokiさんは数年前にフリーランスになり、夫婦共にフリーランス。仕事のことやそれ以外もよく話し合う良き相談相手になっています。能登屋さんが子育てで悩みが少ないのは「夫のおかげ」と言います。

能登屋英里さん

「とにかく子どもへの声かけが上手なんです。つい“なんでやらないの?”“いつやるの?”“さっきこう言ったよね?”みたいな決めつけの言葉をかけてしまいがちなのですが、夫はまず肯定から入るんです。“よくできたね”“すごいよ”、もし子どもが“ちょっと休憩したい”と言うと、“じゃあ休憩しよう”“お菓子食べよう”と満足させてから次に進めます。夕食の時は、つい夫婦で会話が盛り上がってしまい、娘から“私の話も聞いて!”と言われるほど(笑)。家族が大切なのはもちろんですが、自分を優先して考えられるのは理解のある夫や娘のおかげでもあります」

能登屋さんの周りには、「夫が自分に興味を持ってくれない」「会話が成り立たない」と悩む人もいるとか。そんな人に伝えるのは「あなたは夫に興味を持っていますか?」という言葉だそうです。

Naokiさん 能登屋英里さん

「例えば、夫が専門的な仕事をしていたり自分と違う業種だったりする場合、聞いても分からないから話を聞かないという人もいるかもしれません。だけど自分が相手に興味を持たない限り、相手も自分に興味を持ってくれないんですよ。まずは夫、相手に興味を持つこと。自分からいろいろ聞くことが大事だと思います。私たち夫婦はお互いにフリーランスだから会話が合うというのもありますが、何より夫が私のことを応援してくれるのがありがたいんです。一番近くにいる人が応援してくれるのは本当に嬉しいですよね」

今が自分にとって一番居心地の良い働き方、生き方ができている

家族やサロンの仲間に支えられ、興味のあることや新しいことにどんどん挑戦する能登屋さん。人との出会いや縁、タイミングを大切に仕事を続けてきた結果、自分が好きなことややりたいことが明確になり、今が自分にとって一番居心地の良い働き方、生き方ができていると言います。

「会社員をしていた時代は、“定型にはまらないといけない”と思い込み、人と比べることも多かったです。ファッション業界にいると、おしゃれな人が多くて見劣りし“私なんか”と思ってしまうこともありました。今はそんな感情がなく、思い込みからも解放されとても健やかです。

能登屋英里さん

自分のダメなところや嫌なところも含めて“自分”として受け入れる。人って、自分のことほど分からなくて、自分を認めることができない人も多いんです。私もフリーランスになる時、迷って悩みましたから。そうやって悩んで足踏みしている人の手助けをしてあげたいです。整理収納って、暮らし方や外見的なところかと思いきや、実は心や内面につながっているのかも。家や暮らしにつながる心の整理や片付け、それも私ができるお手伝いなのかなと思います」

My wellness journey

能登屋英里さんに聞きました

心と体のウェルネスのためにしていること

「もともとストレスを溜めにくいカラッとした性格ですが、嫌なことがあっても“何かのシグナルかな”“気づかせてくれたのかも”と考えて、ポジティブに変換するようにしています。仕事でもプライベートでも、気が合った人とは境界を作らずに関係性を深めるようにしています。人とつながること、おしゃべりする時間がストレス発散になるんですよね。会話は自分の循環にもなります」

能登屋英里さん

インタビュー前編はこちらから読めます

Staff Credit

撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
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