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映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』シングルマザーとして大奮闘のブリジットに感動&大号泣!他3本

2025.04.11

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イラスト 折田千鶴子さん

Navigator

折田千鶴子さん

映画ライター

『ブリジット・ジョーンズの日記』第1作は2001年。24年前の自分を思い出し、成長のなさにため息!

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』
©2025 Universal Pictures

シングルマザーとして大奮闘のブリジットに感動&大号泣!

あのキュートなお騒がせ女子、ブリジットが帰ってきた! ウキウキ小躍りしながら、いや待てよ、アラフィフになっても“あの調子”だったら、さすがにイタいのでは……と期待と心配が半々に。さてその答えは——まさか、このシリーズでこんなに泣かされるとは! もちろんレネー・ゼルウィガーをはじめ、主要キャストは皆続投なのもうれしい!

前作となる第3作『〜ダメな私の最後のモテ期』では、40代に突入したブリジットが2人の男性(パトリック・デンプシー演じる富豪と、コリン・ファース演じる元カレのマーク)と関係を持ち妊娠。どちらの子かわからぬまま男の子を出産し、真の愛に気づいてマークと結婚した。あれから約10年。ブリジットは2人の子のママとして、幸せに暮らしている——と思いきや、最愛のマークが4年前に亡くなっていたことがわかってくる。立ち直れないまま子育てに忙殺され、ボサボサヘアでパジャマに上着を羽織って小学校へ送りに行く姿は、確かに浮いている……。そんな姿を見かねた旧友らの助言や支えによって、ついにブリジットは仕事に復帰することに。ようやく以前のような生気を取り戻したブリジットにやってくるのは、もちろん“新しい恋”の予感! 公園で自分と子どもを救ってくれた29歳の年下青年といい雰囲気になり……。

何より本シリーズのファンを歓喜させるのは、ヒュー・グラント扮するクズ男のダニエルが、オヤジになっても相変わらず女性を口説きまくっていること。コンプラなんかどこ吹く風と、恥ずかしげもなく人前でセクシーな囁きをする冒頭から噴き出してしまう。さらにブリジットの記憶としてマーク役コリン・ファースもたびたび登場、悪友たちも総出演で気分は大盛り上がり。とはいえ誰もがうらやむ肉体美バリバリの美青年と恋に落ちるとは、さすがに現実離れしすぎでは……と鼻白みかける。ところが、そこからの展開が白眉!

何も悲しいのはブリジットだけじゃない。父を亡くしたことを受け入れられずにいる長男ビリーが、苦しみや悲しみをどう乗り越えていくか。そこに本作の真価がある! 自分以上に悲しむ母には相談できない。その気持ちを汲むのが、今や純粋な親友として時折シッターを引き受けるダニエルや、厳しいだけの印象だったビリーの担任教師(初参加のキウェテル・イジョフォー)。対照的な2人のからめ方が、人とのつながりの温かさや大切さを感じさせてうまい。終盤、ビリーがありったけの思いを込める“あるシーン”には、もはや嗚咽を漏らさずにいられない。長き友情のありがたさも、親との関係もリアルに心に刺さる。幼い娘のキャラも最高だ。そしてやっぱり、イギリスっぽさがたまらない。さて恋の行方は——。相変わらずジタバタしているけれど、持ち前のポジティブさで人生を切り拓く姿に、「ありがとう、ブリジット。一緒に年を取ることができてうれしいよ」なんて(多分アラフォー以降)声をかけたくなるのだ。

4月11日より全国ロードショー

公式サイト

『終わりの鳥』

『終わりの鳥』
©DEATH ON A TUESDAY LLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/
BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024

話題のスタジオ“A24”が放つ奇想天外で心を打つ母と娘の物語

病に侵された15歳のチューズデーの元に、巨大な一羽の鳥が舞い降りる。命の終わりを告げる「デス」という名のしゃべったり踊ったりする変幻自在の鳥を、彼女は怖がりもせず受け入れるが、母親ゾラは断固拒絶。娘を死なせるものかと、デスに対しとんでもない暴挙に出る。どこか達観して運命に身を任せる娘(デスと一緒にラップを歌ったり!)に反し、母の暴挙は観ていて思わず引くほど。でもその心も痛いほどわかる! 終盤さらに予想を超えた展開に驚くが、その果てに待つ〝優しさと希望〞に感涙を免れ得ない。このテーマにして絶妙にユーモラスな語り口が、力強い人生讃歌となって胸を深く打つ。

全国公開中

公式サイト



『メイデン』

『メイデン』
©2022 FF Films and Medium Density Fibreboard Films.

この世とあの世の隙間に落ちた悲しくも美しい不思議な青春映画

カナダ・カルガリーの郊外に住む高校生のカイルとコルトンは、悪ふざけしながら気ままに時間を過ごす親友だ。しかしある日、禁止された線路に入り込んだカイルは帰らぬ人に。一方、同じ高校に通う少女ホイットニーは、好きなことがズレ始めた親友から〝仲よし終了〞を宣言される。予期せず親友を失った少年少女の呆然、やり場のない怒りや悲しみは、一体どこへ向かうのか――。中盤で主人公がスイッチしたその先で、やがて一つの物語へとつながっていく不思議は、なぜかあの世とこの世の境界が消えたように悲嘆や怒りをフッと解放し、詩的な感傷となって観る者の後ろ髪を引く。

4月19日より全国順次公開予定

公式サイト

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配信 CINEMA & DRAMA

『ビューティフル・シングス:人生にボサノヴァを』

『ビューティフル・シングス:人生にボサノヴァを』

女の友情に乾杯! エンパワメント痛快作

ボサノヴァを浴びたい。そんな気分のとき、最高にリラックスできる&気分をアゲてくれる快作。’50年代、サンパウロの裕福な家の令嬢マリアは夫に裏切られ、レストラン開業資金まで持ち逃げされる。絶望するも、リオデジャネイロでボサノヴァに魅了され、再会した旧友や知り合った仲間とミュージッククラブを開くことを決意する。〝女は劣っている〞マチズモ文化の中、女同士の友情を武器にビジネスに乗り出したマリアの奮闘に熱くなる! 新たな恋の予感、ファッション、ボサノヴァほか音楽もたっぷりで心が潤う。

Netflixシリーズ『ビューティフル・シングス:人生にボサノヴァを』独占配信中

公式サイ

※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。


Staff Credit

イラストレーション/SAITOE
こちらは2025年LEE5月号(4/7発売)『カルチャーナビ」』に掲載の記事です。

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