受賞者5名&特別賞
【LEEリノベ大賞】全14名分のリノベーションを一挙公開!使いやすい間取り、DIY…家族のぴったりを叶えた素敵な家
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LEE編集部
2025.02.23
Renovation Award
動線、収納、素材感…
受賞者5名&特別賞9名分発表!
私たちの“ぴったり”をかなえた【LEEリノベ大賞】

「LEEリノベ大賞」の受賞者が決定! 家づくりのヒント満載の審査会アフタートークから、グランプリ&準グランプリ、LEE編集部 特別賞までの素敵なお家、14件分を一挙公開します!
room tour
LEEチャンネルでグランプリルームツアー動画公開中!
- Index
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- 受賞者5名&特別賞9名分発表!
私たちの“ぴったり”をかなえた【LEEリノベ大賞】 - LEEチャンネルでグランプリルームツアー動画公開中!
- 【LEEリノベ大賞 グランプリ】上農順子さん:中古マンション(築40年)101㎡
- 光と風が心地いい、開放的な玄関。土間をゆったり広くとって、家族でフレキシブルに使える空間に
- 【LEEリノベ大賞 準グランプリ】下山祥子さん:中古マンション(築33年)70㎡
- 準グランプリ ルームツアー動画公開中!
- 大きな空間をゆるやかに仕切り、家族それぞれの居場所を作って。天然素材も心地よさのカギ
- 【LEEリノベ大賞 石井佳苗賞】高藤万葉さん:中古マンション(築55年)35㎡
- 35㎡ワンルームに“箱”を配置。小さな空間に心地よさを生むのは、床から数センチの浮遊感
- 【LEEリノベ大賞 Emi賞】まつだ あいさん:中古マンション(築26年)74㎡
- 廊下の幅を広くとり壁一面に収納家具を並べて念願の図書スペースを実現!
- 【LEEリノベ大賞 編集長賞】藤原愛生さん:戸建て(築6年)66㎡
- 新築戸建てを一部DIY。階段下とクローゼットを家族のオリジナルな空間に
- 【LEEリノベ大賞 LEE編集部 特別賞】
- 【LEEリノベ大賞】受賞者決定!“いいリノベーション”の条件とは?
- あわせて読みたい
- 受賞者5名&特別賞9名分発表!
「LEEリノベ大賞」たくさんご応募いただきました!
’23年の「LEEキッチン大賞」に続くインテリア公募として、’24年6〜9月にWebとInstagram上で募集し、総勢162件ものご応募が! 編集部による一次審査を通過した37軒を、審査員3名で最終審査し、受賞者5名を決定しました。
審査員はLEEでおなじみの3人!

石井佳苗さん
インテリアスタイリスト
本誌をはじめとする雑誌、書籍、イベント、広告など多岐にわたって活躍中のインテリアスタイリスト。〝自分らしい住まいのかたちを見つける〞ことを伝え続ける。好評のオンラインレッスン(www.heimalesson.com)は今年で6年目に。

Emiさん
整理収納アドバイザー
大学卒業後、大手通販会社にてインテリア収納用品企画を担当。2012年に独立し、「家族の〝ちょうどいい〞暮らし」をコンセプトに、オリジナルグッズやウェアを扱う「OURHOME」を主宰。インスタグラム(emi.ourhome)

喜多佳子
LEE編集長
No.1
【LEEリノベ大賞 グランプリ】上農順子さん:中古マンション(築40年)101㎡
みごとグランプリに輝いたのは、築40年の中古マンションをリノベーションしたという上農順子さんです。家族で使えるフリースペースがある空間と、開放的な玄関が印象的なお宅を拝見!

「川遊びが大好きだった子どもたち。ぬれたまま帰ってきて、ベランダに直行できるように動線を考えました。今は、釣りやアウトドアの準備、片づけをする場所としても活躍中です」
上農さんファミリー

- 家族構成:4人(妻、夫、16歳長男、14歳長女、小型犬1匹)
- 間取り変更:4LDK→3LDK+クローゼット
- 費用:約800万円
- リノベ会社:サンリフォーム(https://sunreform.jp)
手仕事作家として、かごや雑貨を制作している順子さん。その作業のほか、家族みんなが釣り、料理、音楽、読書など、それぞれの〝好きなこと〞を楽しめる空間づくりを目指したそう!
上農さん宅の間取り図Before→After

元は暗かった玄関にガラスの引き戸や室内窓をつけ、日差しを取り込めるように。玄関からベランダまではモルタルでひと続きにして、マンションには珍しい土間を実現。
光と風が心地いい、開放的な玄関。土間をゆったり広くとって、家族でフレキシブルに使える空間に
16年前に中古マンションを購入。当初は元の間取りのまま、工夫をして暮らしていたという上農さん。
「子どもたちが小さい頃は、楽しく遊べることが最優先だったんです。私が集めてきた輸入玩具を広げたり、お絵描きをしたり。そんなにぎやかな家も気に入っていたんですが、2人が小学生になる頃には落ち着いた空間も必要だと感じ始めて。細かい部分が経年劣化してきたこともあり、7年住みながら膨らませてきた、理想のイメージを形にすることにしました」
目指したのは、「暮らしに寄り添う、進化する住まい」。それを実現するカギとなったのが、子ども部屋を固定しないという選択でした。
「洋室が2つあった場所を、フリースペースに。部屋ではなく機能を独立させ、一人で集中したいときに誰もが使える空間にしました。今は〝家族のアトリエ〟として、私の作業場、子どもたちの勉強スペース、友達を招く場所……いろいろな役割を果たしてくれています。間にあった壁は引き込み戸に変更。個室が2つ必要になったら、閉めて空間を区切ることもできます」
その周りを囲むのは、玄関から続く土間。審査員のEmiさんが「家族の好きなものを大切にされているのが伝わってくる」、喜多編集長が「考え抜かれた素晴らしい動線!」と絶賛したポイントです。
「実は、土間のリノベは予算の都合で一度断念したものの、諦めきれず1年半後に実行したんです。家族の趣味や生活が変わっても、それに応じて便利に使えるので、本当に作ってよかったと実感!」
もう一つ、上農さんがリノベで叶えたかったのが、収納の充実。
「以前の悩みは収納が使いづらかったこと。また、リビング横の和室も、暗くてエアコンもつけられず持て余していたんです。そこで、思いきって和室を丸ごと収納スペースに。衣類や寝具など、収納したいものを全部書き出し、どこにどうしまうか綿密に計画しました」
そしてできたのが、出入口が3つあるファミリークローゼット。
「子どもたちは、よくかくれんぼをしていましたね(笑)。家族のものはすべてここに収まるので、リビングがすっきりしたのがうれしい! 間取りも収納も、暮らしの変化や子どもの成長に合わせて、柔軟に対応できる家になりました」
上農順子さん
1.2 ミニマムな洗面台と飾り棚があるトイレ

1.洗面台はミニマムなタイプを選び、玄関ホールに移動。家族が入浴中でも、気兼ねなく使えるのがいいところ。
2.キッチン、バス、トイレなど、まだ使える設備はそのまま利用し、キッチンの作業台やトイレの飾り棚は家族の好みのものに。
土間 & FREE SPACE
3.土間は、壁一面をオープン収納に

3.「靴やアウター、工具や防災用品、家族の趣味の道具などを置いています。棚板の位置を変えられる可動棚は、ここをはじめ、家中で採用」
土間 & FREE SPACE
4.土間の奥には、釣りやアウトドアに使うアイテムを

「ウェアやツールが汚れたりぬれたりしていても、そのまま入れます。今は夫と長男の基地状態(笑)」
土間 & FREE SPACE
5.家族が代わるがわる使うフリースペース

順子さんのかご編みなどの手仕事もこの空間で。
「子どもたちも、ここに来ると落ち着くみたい。今のところ、個室はいらないそうです」
LDK
6.すっきりしながらも温かみのあるリビング

子どもたちが小さい頃に遊んでいた輸入玩具が映えるように、天井や壁紙は白に。
「リノベ後に犬を迎えることになり、床にはタイルカーペットを。想定外でしたが、冬場暖かいというメリットも」
LDK
7.キッチンとつながっているリビングダイニング

キッチンとダイニングを隔てていたカウンターを撤去し、背面に作業台を造作。リビングから冷蔵庫が見えないように壁も新設した。
「作業台は、下に家電やゴミ箱がぴったり収まるように設計。奥行きが広いので、家族とゆったり料理できます」
LDK
8.リビングと和室の間には引き込み戸が

「昼間はオープンにしているので、1つの空間に見えます。夜は閉めて、和室を寝室に。今は、帰宅の遅い夫はフリースペースのベッドで寝ています」
FAMILY CLOSET
9.リビングからファミリークローゼットへの入口

「手前には、子どもたちの棚を1列ずつ。扉のない個人ロッカーのイメージで、通学鞄や教科書などをそれぞれが管理できるように。リビング学習するので出し入れしやすい位置にありますが、散らかっても来客時は引き戸を閉めればスッキリします」
FAMILY CLOSET
10.衣類は人別に収納

「ロールスクリーンをつけ、目隠しもできるようにしています。サイズの基準にしたのは、無印良品の収納用品」
FAMILY CLOSET
11.家族の好きな本やボードゲームもここに

「本棚(写真左)のみ既製品。これをぴったり収めることが、クローゼット設計の出発点でした」
FAMILY CLOSET
12.寝具などがぴったりと収納できるよう設計

寝具や季節用品など、かさばるものの定位置も確保。
FAMILY CLOSET
13.ノートに細かく書き込んだ収納計画

「収納計画は細部までミリ単位で。『やりすぎかも?』と思いましたが、結果、大正解でした!」
審査員3人のコメント
玄関まわりが開放的で家全体も広々見えています

石井佳苗さん
「玄関〜土間をモルタルでつなげたことで、開放感と土足でベランダまで行ける実用性を兼備。家全体の回遊動線も◎」
家族の趣味や好きなものを尊重し合っているのが素敵

Emiさん
「家族それぞれの趣味や動線をしっかり反映した、間取りと収納に感心! 変化に対応できる可動棚もいいですね」
自分たちの暮らしに最適な動線が考え抜かれている!

LEE編集長 喜多佳子
「ベランダへ続く土間、玄関にすぐ洗面台、一目瞭然の収納棚……家族の需要に正直な設計こそリノベの醍醐味」
No.2!
【LEEリノベ大賞 準グランプリ】下山祥子さん:中古マンション(築33年)70㎡
準グランプリに輝いたのは、築33年の中古マンションをリノベーションしたという下山祥子さんです。4LDKを2LDKに間取り変更し、個室にこだわらない間取りを実現。
room tour
準グランプリ ルームツアー動画公開中!
下山さんファミリー

- 家族構成 : 4人(妻、夫、16歳長男〈県外在住〉、14歳次男)
- 間取り変更:4LDK→2LDK
- 費用 : 約1300万円
- リノベ会社 : 野村建設(www.clasico-nomura.jp) 担当建築家 本田恭平さん
イラストの仕事をしつつ、書店での勤務もこなす祥子さん。昨年、リノベ当初の予想より早く、長男が独立。個室にこだわらない間取りにしたことは、やはり正解だったと感じたそう。
下山さん宅の間取り図Before→After

個室といえるのは、現在息子さんの寝室となっているスペースと和室のみ。とはいえ、うまく視線を遮れる間取りなので、2部屋とも引き戸はほぼオープンに。断熱性と見た目を考え、マンションの玄関ドアの内側に、もうひとつ扉をつけている。
大きな空間をゆるやかに仕切り、家族それぞれの居場所を作って。天然素材も心地よさのカギ
下山家がマンションを購入し、リノベに踏み切ったのは、息子さんたちが小学校高学年になった頃。
「何年後かにはきっと、子どもが独立する。今からあえて息子たちに小さな個室を作ることは、むしろ将来の暮らしにくさにつながると考えました。そこで取り入れたのは、ひとつの空間をゆるやかに仕切る方法。閉じた空間をできるだけ作らず、少し居場所を変えることで、ほかの部屋からの視線をさりげなく遮れる間取りを考えました」
プライバシーが欲しいときも、家族となんとなくつながりたいときも、少し居場所を変えれば万事OK。いつでもほどよい距離感を保てるという絶妙な配置です。
ちなみに、心地よさのこだわりは機能面にも。下山家のリノベにおける重要なテーマは、断熱。
「前の家が寒かったので、冬場の暖かさを重視して断熱機能には費用を惜しみませんでした。すると、ほかを削らざるを得なくなって、その分工夫を凝らしました。例えば、造り付け家具は、引き出しや扉をつけるとコストがかさむので、最小限のオープンスタイルに」
その最たるアイデアが、Emiさんはじめ審査員が「いいアイデア!」と一致した、有孔ボード張りの壁収納。棚を作るより断然ローコストで、使い勝手も見た目も上々。全体に敷いたカーペットも、とっておきのウールはLDだけに。滞在時間の短い玄関と洗面所は、手頃なタイルカーペットを自分たちで張りました。DIYといえば、石井さんが「天井の質感にまで手を抜かない姿勢が素敵」と評価したヒノキの天井は、柿渋を家族総出でペイント。喜多編集長が「これぞ“家族”で叶えたリノベ」と感激したポイントです。
「何もかも思いどおりとはいかないからこそ、話し合いを重ねました。今までの暮らしを振り返り、これからの形を想像しながら家族の空間を作り上げていく。その過程は大変でしたが、私たちにとっては、とても楽しい時間でした」
下山祥子さん
LIVING & DINING
1.天井を広く見せるためにひと工夫しているダイニング

ダイニングのぬくもりと上質感をぐっと引き上げているのは、漆喰塗りの天井をはじめとした天然素材の質感。照明を小さなペンダントライト1つに絞って天井を広く見せることで、空間の開放感もアップ。
LIVING & DINING
2.造作家具は扉や引き出しをつけずにコストダウン

「手持ちの無印良品の引き出しが収まるよう設計。中央にだけ扉をつけ、掃除機や日用品のストックなど見せたくないものをしまっています」
LIVING & DINING
3.4.自然光が入る玄関とワークスペース

3.暗かった玄関は、靴箱背面の壁を抜くことで窓からの自然光が入るように。家の顔なので、絵や雑貨類を飾り、印象を明るく。
4.ダイニングの一角は祥子さんのワークスペース。
「以前は食卓として使っていたアルテックのテーブルが、きっちり入る幅にしました。和室との仕切りになるクローゼットとデスクの奥行きを揃えることで、三方が壁に囲まれ、ダイニングと同じ空間ながら集中できるコーナーに」
LIVING & DINING
5.ヒノキを張り、さりげなく区切るアイデア

食事とくつろぎの場を分けるため、ダイニングとリビングは斜めの位置関係に。天井も、ダイニングは漆喰、キッチン〜リビングには柿渋を塗ったヒノキを張り、さりげなく区切る。リビングに面する和室は夫婦の寝室。クローゼット上に隙間を作ることで、ダイニングまで光が回るよう計算。
LIVING & DINING
6.堀田カーペットのウール絨毯が心地いい

床の心地よさをアップするために選んだのは、堀田カーペットのウール絨毯。
KITCHEN
7.キッチンは手前の棚や奥のゴミ箱も、枠だけ作ってもらいコストダウン

限られたスペースでも食器洗いや作業しやすい秘訣は、壁付けした長い水きりラック。
WASHROOM
7.室内干しスペースをうまく活用

室内干し用のバーは突っ張り棒を使って何度もシミュレーション。結果、十字の形がベストだった。来客時は、ここがコートの仮置き場にもなる。
SHARE SPACE
8.家族の共有スペースはここ。有孔ボードでバッグを掛けたり

下の息子さんのベッドがある部屋は、家族の共有スペース。宿題や読書をして過ごす。
「壁の一面を有孔ボードにし、フックを掛けてバッグなどの収納兼ディスプレイコーナーに」
SHARE SPACE
9.部屋角の大きな窓の前に内窓をつけることで断熱性をアップ


玄関へつながる内窓外側は、アウトドアグッズなどを置く土間として活用。光を遮らないよう棚などは置かず、ぶら下げ収納に。
審査員3人のコメント
天井や床の質感にまで手を抜かない姿勢がいい!

石井佳苗さん
「壁や天井に漆喰を、ヒノキ材に柿渋を塗った素材へのこだわりが◎。照明使いも工夫されているから、夜の雰囲気も素敵なはず」
下山家らしい個性が光る収納が素晴らしいです

Emiさん
「家族にとって何が必要かを、しっかり把握しているからこその収納。手持ちの引き出しなどを上手に活用するワザも見習いたい」
家自体が思い出になる、まさに家族のリノベ

LEE編集長 喜多佳子
「いつも視界に入る木材に、みんなで柿渋を塗ることで忘れられない思い出に。『家族で家を作る』という意識が素晴らしい」
No.3!
【LEEリノベ大賞 石井佳苗賞】高藤万葉さん:中古マンション(築55年)35㎡
「石井佳苗賞」を受賞したのは、築55年の中古マンションをリノベーションした高藤万葉さんです。35㎡の小さな空間に、暮らしの機能を入れ込んだアイデアを拝見!
高藤さん夫妻

- 家族構成 : 2人(妻、夫)
- 間取り変更:2DK→ワンルーム
- 費用 : 約1000万円
- リノベ会社 : TOASt(https://www.to-ast.jp/)
2019年、夫の小滝健司さんとともに建築事務所「TOASt」設立。設計を手がけた「タンバリンハウス」が2024年度グッドデザイン賞を獲得するなど注目を浴びる。YouTubeチャンネル『somo somo|建築家夫婦の日常』で動画も配信中。
高藤さん宅の間取り図Before→After


ワンルームに、収納・キッチン・浴室・トイレなどの各機能を持つ箱をバランスをとって配置。天井にカーテンレールを長く這わせ、脱衣スペースや窓など隠したい場所を、必要なときだけ臨機応変に遮る仕組みも秀逸。
35㎡ワンルームに“箱”を配置。小さな空間に心地よさを生むのは、床から数センチの浮遊感
もともとは、築50年を超える団地のこぢんまりした2DK。抜ける壁は全部抜き、シンプルな箱に戻すことからスタートした高藤家。
「たった35㎡に暮らしの機能を申し分なく入れ込みつつ、ここまで気持ちいい空間を作るとは」と審査員の石井さんも驚いたリノベです。
夫婦ともに建築家である高藤さん。夫の小滝健司さんいわく、「大きなヒントになったのは、スケルトンにした際、目に入った玄関ドア。不思議な造形で、室内にポコッと箱みたいに出っ張っていたんです。『あ、これって“ドアの箱”だ』と気づき、大きな箱の中に小さな箱を配置するイメージがわき上がりました。壁や扉で区切るのではなく、“キッチンの機能を持つ箱”、“バスルームの機能を持つ箱”などをバランスよく置き、コーナーとして区切る方法です。また、箱の位置によって上手に視界を遮り、ワンルームでありながら、プライバシーを守る仕組みに。合板、セメント、ポリカーボネートと、箱の素材を替えることで空間にリズムをつけています」
さらに石井さんは、「それぞれの“箱”に脚をつけることで浮遊感を持たせているのも、開放感をアップする効果大」と評価。
「足元だけでなく、高さも天井まで届かないように仕上げ、上にも下にも視線が抜けることで、35㎡という実際以上の広さを感じられる工夫をしました」と高藤さん。
加えて、大切なのが色選び。「ダークな色は極力避け、合板も明るいものをセレクト。床も白い塩ビタイルにしました。ただ、味気なくならないよう、照明のコードは赤を選ぶなど、ポイントで色をきかせて個性を出しています」
この家の始まりとなった玄関ドアの色はピンク。ドラえもんの“どこでもドア”からのひらめきだというから、夢があります。
高藤万葉さん
LIVING & BATHROOM
1.ワンルームに、収納・キッチン・浴室・トイレなどの箱を配置

正面のグレーの箱は浴室。吸音&吸湿性のある木毛セメント板でできている。向かって右に並んだポリカーボネート製の箱はトイレのほか、見える状態にしたくない冷蔵庫や洗濯機なども収納。
「透け感ある素材を選び、大きさによる圧迫感を軽減しました」
KITCHEN
2.自由に動かせるシンク

窓は木枠風の二重サッシにして断熱性をアップ。
「キッチンはシンク左側の箱だけキャスター付きのワゴンにし、自由に動かせるように」
KITCHEN
3.サイズ感がちょうどいい収納棚

家電や普段使いの食器が出ていると一気に生活感が出るので、扉付きの箱に収納。
「そんなに頻繁に使うものではないですし、ストレスはありません。入れたいものの量やサイズを考え、無駄のないサイズで作りました」
TERRACE
4.眺めがいいベランダでゆっくりとお茶を飲んで

高藤さん夫妻がこの物件に惹かれたのは、眺望のよさ。それを楽しむためのスペースを、小さいながらベランダに作った。
「ここでお茶を飲むと、いい気分転換に。日当たりがいいので植物もどんどん育ちます」
WORKSPACE
5.ワークスペースはクローゼットで仕切って

ワークスペースを区切るのは奥行き80㎝のクローゼット。ダイニングと区切りたいときは、薄く軽やかな白いカーテンを引いて。
WORKSPACE
6.作業がはかどるワークスペース

小さなデスクの場合、悩むのがツールの収納。
「有孔ボードとフックを使えば解決。個室ではありませんが、三方が囲まれているので作業に集中できます」
LIVING & DINING
7.クローゼットは、無印良品の引き出しがぴったりと入る大きさに

ワークスペースの壁付け棚の背面はクローゼット。
「無印良品の引き出しがちょうど入る大きさに設計。スーツケースも入ります」
LIVING & BEDROOM
8.昼間はシングルベッド2台を重ねてソファに

日中や来客の際は、シングルベッド2台を重ねてソファとして活用。
WASHROOM
9.就寝時はベッドを2つ並べてダブルにするというアイデア

「独立した寝室を作るのは難しいので、この方法に。1つの空間を幾通りにも使えれば、小さな家でも心地よく暮らせます」。
ヘッドボードも、実は2つの細長い収納箱。
審査員のコメント
ワンルームが持つ可能性を最大限に引き出した空間!

石井佳苗さん
「ワンルームという大きな箱の中に、収納や浴室などの機能を持つ独立した〝小さな箱〞を配置するというアイデアに、リノベの可能性を感じました。箱の素材選びも個性があっていいですね」
No.4!
【LEEリノベ大賞 Emi賞】まつだ あいさん:中古マンション(築26年)74㎡
「Emi賞」を受賞したのは、築26年の中古マンションをリノベーションしたまつだ あいさんです。図書館のような廊下が素敵なお家をさっそく拝見!
まつだ あいさんファミリー

- 家族構成:4人(妻、夫、5歳長男、2歳長女)
- 間取り変更:3LDK→2LDK
- 費用:約1500万円(*現在の価格に調整しています)
- リノベ会社:リノベる。(https://renoveru.jp)
整理収納アドバイザーのあいさんと、イラストレーターの夫。ともに会社員だった2人暮らしの頃から、独立して子育て中の現在まで、暮らしの変化に応じて家の使い方もアップデート。
まつださん宅の間取り図Before→After

一般的な3LDKの間取りから、大幅にレイアウトを変更。廊下を端にとり、玄関からリビングが見えない作りにしたことで、ワクワク感を演出。バスルーム周辺は、クローゼット→寝室→洗面所の回遊動線に。子どもたちがかくれんぼをすることも。
廊下の幅を広くとり壁一面に収納家具を並べて念願の図書スペースを実現!
まつださんがマイホーム購入とリノベを決意したのは、20代の頃。
「当時は夫婦2人暮らし。ともに会社員で、家には寝に帰るだけの生活でした。夫が独立を希望していたので、自然に囲まれた場所で、仕事とプライベートを両立できる家を手に入れたいと考えたんです」
読書好きの2人が望んだのは、図書館のような空間。審査員のEmiさんにも、「廊下のユニークな活用法!」と評価されました。
「廊下の壁一面に収納家具を並べて、図書スペースに。通り道に好きなものが並んだ、一石二鳥の空間です。好きな書店の内装を参考に、ダークトーンにしたことで、落ち着いた雰囲気になりました」
また、自宅が仕事場でもある夫が作業に集中できる環境づくりも、大事なテーマだったと言います。
「入居直後は、玄関土間を夫のワークスペースに。靴を履くことで、オンオフの切り替えができるのがよかったそうです。子育てが始まったのを機に、ワークスペースをリビング奥に移動。窓からは森が見え、季節ごとに風景が移ろいでいく気持ちのいいコーナーです。さらに夫婦でフリーランスになってからは、キッチン横に私のPCスペースも作りました。家族みんなが同じ空間でお互いの気配を感じながら、自分の仕事や遊びに取り組める家になったと思います」
リノベから8年、働き方や家族構成が変わるたびに、空間の使い方を工夫してきた、まつださん宅。
「図書スペースは、今は子どもたちのおもちゃも並ぶ、いい遊び場に。土間は、ベビーカーやぬれた雨傘を置くのにも重宝していますが、いずれは息子の部屋にする予定。2カ所から出入りできるようにした寝室は、分割して片方を娘の部屋にと考え中。『ホームパーティをしたい』という私の希望で採用したオープンキッチンでは、想像以上に多くの人との時間を過ごすことができています。これからも、その時々の自分たちらしい暮らしを楽しんでいきたいですね」
まつだ あいさん
1.図書館のような廊下が素敵!

夫婦共通の趣味は読書。図書館のような空間を作るのが夢だったそう。工事の段階で廊下に段差ができることがわかったものの、一部をスロープにして、そこに表面加工した床材を使うことで、より個性的で愛着のわく空間に。
「今では、夫の一番のお気に入り。足裏にも心地よく、来客時に注目していただくことも多いポイントです」
2.洗面室に入ると、右からバスルーム、寝室、トイレのドアが並ぶ

「夜はここで、入浴→歯磨き→トイレを済ませて寝室へ。ほぼ移動することなく寝る準備が完了」
3.玄関横にあった6畳の洋室を3.5畳の土間に

「以前は夫のワークスペースでしたが、今は書類を置くほか、子どもがキッズバイクに乗ったりして遊ぶこともできるフリー空間に」
4.玄関側の廊下から寝室への入口には、ウォークスルークローゼットを

「帰宅したら上着をしまい、寝室から洗面所へ抜けて、手洗いうがい。回遊動線を生かして、スムーズにリビングへ入ることができます」
KITCHEN
5.キッチンは、Instagamで一目惚れしたPanasonicのもの

「人を招いておもてなしできる空間にしたくて、対面作業が可能なオープンタイプを選びました。背面には棚板をつけ、その一角を私のPCスペースに。家事の途中でちょっと作業をするにも便利な場所です。夫のワークスペースの対角線上にあるので、距離感もちょうどいいな、って」
KITCHEN
6.キッチン奥にはパントリーを設置

「3LDKから2LDKにして部屋数を減らした分、廊下やキッチンの空間は広くとることができて大満足!」
KITCHEN
7.食洗機の真後ろには無印良品の家具を

「洗い終わった食器を、一歩も動かずしまうことができるので片づけがラクです」
LIVING & WORKSPACE
8.キッチン前面の収納には、リビングで使う日用品のストックなどを

「今は1カ所が息子のおもちゃコーナーに」
LIVING &WORKSPACE
9.リビング奥の窓ぎわが、夫のワークスペース

「リビングからガジェット類が見えないように、DIYでカーテンをつけて、空間をゆるやかに分けました」
審査員のコメント
図書館のような廊下に家族の個性が表れています

Emiさん
「廊下に、〝家族の好きなものを置く場所〞という意味を持たせているのが素敵。カーテンでゆるく区切った仕事場も◎。限られた空間でのマイスペースの作り方がいいですね」
No.5!
【LEEリノベ大賞 編集長賞】藤原愛生さん:戸建て(築6年)66㎡
「編集長賞」を受賞したのは、新築の戸建てを一部DIYして、家族のオリジナルな空間を作った藤原愛生さんです。リビングの主役となった、ミニライブラリーが印象的なお家をさっそく拝見!
藤原愛生さんファミリー

- 家族構成:3人(妻、夫、12歳娘)
- 間取り:変更なし
- DIY費用:ミニライブラリー/約5万円、WIC/約3万円
整理収納アドバイザーの愛生さん。6年前に戸建てを新築し、DIYで手を加えながら暮らす。家族全員、読書好き。コーヒーを飲みながらリビングで本を読む時間が、至福のひとときだそう。
藤原さん宅の間取り図Before→After

Before


階段下もクローゼットも、出入口は新築時に選んだアーチ開口。空っぽで寂しい印象だった階段下は、ミニライブラリーになると一躍リビングの主役に! クローゼットは、新築時に両サイドに棚を造作。しっかりと造られていた分、まっさらの状態に解体するまでがいちばん大変だったとか。
新築戸建てを一部DIY。階段下とクローゼットを家族のオリジナルな空間に
6年前に戸建てを新築した藤原さん。〝アンティークブックカフェ〟をテーマに家づくりを楽しみ、こだわりの住まいが完成! ところが、暮らし始めると小さなモヤモヤが生まれてきたと言います。
「ホッとできる空間にしたいと思っていたのに、なぜか落ち着かない……。理由を考えてみたところ、物が少なくガランとしているから、借り暮らしのような感覚になっているのかも、と気がついたんです」
そこで取りかかったのが、うまく活用できずにいた場所のDIY。
「まず着目したのが、入居から4年間、空洞のままだった階段下。ここを、ワクワクするような空間にしたいと考え、ミニライブラリーを提案してみると、夫も娘も大賛成! すぐに材料を購入、トントン拍子に作業が進みました。家族の好きな本やアルバムを並べて、一緒に読書をしたり思い出を振り返ったり。リビングでの家族の時間と会話が増えましたね」
昨年は、寝室のクローゼットも思いきって大改造したそうです。
「両サイドに造作した棚は、左右に収納スペースが分かれ、使いにくかったんです。そこで、壁一面に棚板を集約。すると、一目で物を把握でき、管理がぐっとラクに。DIYで〝自分たちの居場所〟を造り上げることで、私たちのオリジナルな心安らぐ家になりました」
藤原愛生さん
1.リビングには、1畳ほどのミニライブラリーが

ミニライブラリーは、イラストを描いたりマスキングテープで壁に印をつけたりして設計。

「リビングから見える場所なので、余白を大切に。家族の小物を飾るスペースもできてよかったです。インテリアになじむよう、棚板は無垢のものを選んで塗装。ブラケットも好みのものを求めて、遠方の製作所まで足を延ばしました」
CLOSET
2.寝室のクローゼット。ウィリアム・モリスの壁紙をバックに、必要なものをすっきりと

「正面には備蓄品を。ストックが並んでいるのを見ると安心するんです」
CLOSET
3.クローゼットの左側は洋服コーナー

「レールやパイプブラケットを組み合わせて、すべてハンガー収納できるように。壁の凹凸を避けたりレールを垂直につけたりするのは難しかったですが、なんとか理想の形に!」
LIVING
4.休日はリビングで団らん

「娘は、1畳ほどのミニライブラリーにすっぽり入って読書していることも(笑)」
LIVING
5.リビングには名古屋モザイクのタイルを

新築時にタイルは自ら選び抜いたそう。
「キッチン前面は名古屋モザイクのもの」
LIVING
6.アンティークのタイルが素敵な洗面台

「洗面台はネットで探したアンティークのタイル。配色や配置にもこだわりました」
審査員のコメント
住み慣れた家でも、DIYでまだよくできる!とわかる好例

編集長 喜多佳子
「生かしきれなかった空間に棚板をつけるだけで、家族の過ごし方やできることが広がるというのが発見でした。設計図を描いたり材料を選んだりと、DIYの過程を楽しむ姿勢も見習いたい!」
まだまだ素敵なリノベーションがたくさん!
【LEEリノベ大賞 LEE編集部 特別賞】
大賞・各賞の受賞者以外にも、暮らしやすさと〝好き〞を追求したリノベ宅が、たくさん寄せられました。一次審査を通過された中から9名に特別賞を贈ります。
01
LEE編集部 特別賞
家具や雑貨が映えるシンプル上手賞
norikoさん

「好きな雑貨やアートが映えるよう、極力シンプルな白い箱にした」という潔さに拍手!
「その分、壁は漆喰にして、本棚と窓辺の飾り棚を造作しました。キッチンに開口部を作ったことで、料理中も家族と会話しやすく」
02
LEE編集部 特別賞
思いきった玄関ホールの広さが勝因で賞
mickmick_greenさん

広々した玄関ホールが、審査会でも好評。
「リビングまで視界が抜けるよう、ヘリンボーンの床材をつなげたのがこだわり。仕切りを兼ねた造作のオープン棚には、リビング側にテレビを収めつつ、好きな雑貨類を飾れる場に」
03
LEE編集部 特別賞
まるでカフェ!?な空間で賞
ruu_home._さん

アンティークの家具と木枠の室内窓が調和したリビングは、カフェのよう!
「一番の希望だったヘリンボーンの無垢材を生かし、ほかは白基調で開放感ある空間に。家が好きすぎて、出不精になっているほどです(笑)」
04
LEE編集部 特別賞
LDKの抜け感でとびきり広々!賞
長谷由美子さん

「必要のない壁や扉をなくすことで、玄関や廊下の幅をぐっと拡大。来客も入った瞬間、抜け感に感動してくれます」。
床は上張り、自分でプランニングするなどして75㎡・3LDKフルリノベで700万円という点も驚き!
05
LEE編集部 特別賞
水辺のように仲間が集うで賞
studio MAU 土田未優さん

床下が深い団地1階という条件を生かし、既存の床より掘り下げたリビングが個性的!
「願ったとおり、家族や友人の〝たまり場〞になっています。塗装など仲間と一緒にセルフビルドしたことで、愛着がわく仕上がりに」
06
LEE編集部 特別賞
築36年の実家が生まれ変わったで賞
ari__home12 さん

義両親と6人暮らしするため、実家の戸建てをフルリノベ。審査でも好評だった眺望のいいウッドデッキのテラスは「BBQや映画鑑賞もできて、キャンプ気分が味わえるセカンドリビングとして家族が集っています」
07
LEE編集部 特別賞
和室が大活躍の空間に変身!で賞
c__room23さん

「活用できていなかった和室の壁を取り払い、室内干しスペースとたっぷりの床下収納、カウンターまで盛り込んだ小上がりにチェンジ」。
自分たちに必要な機能を凝縮したオリジナルコーナーは、リノベならでは!
08
LEE編集部 特別賞
間取り不変の低価格リノベ賞
haru___home._さん

間取りを変えないことでコストカットした点にも評価が集中。
「代わりに壁紙や床材にこだわりました。さらに、和室を洋室にし、クリアなパーテーションで仕切ることで、憧れの韓国インテリアテイストを実現!」
09
LEE編集部 特別賞
子どもがいてもミニマルで賞
rn_____.vさん

「LDKをひと続きの広い空間にしたことで、子どもと並んで料理ができるようになり、おもちゃを存分に広げられるようにもなりました」。
スタイリッシュでいて、家族の気配を感じながら過ごせる空間が素敵!
After talk
審査会アフタートークはこちら!
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Staff Credit
撮影/メグミ(上農さん宅、高藤さん宅、まつださん宅) 柳 香穂(審査員) 宮濱祐美子(下山さん宅) 仲尾知泰(藤原さん宅) 間取り図製作/前田優子 取材・原文/福山雅美(審査員トーク分、下山さん分) 藤本幸授美(上農さん分、まつださん分、藤原さん) 本誌編集部
※商品価格は消費税込みの総額表示(2025年3月号現在)です。
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