"必要なのは、ほどよい距離感"
心が軽くなる「親・兄弟姉妹との距離感」のヒント。OURHOME Emiさんの実体験からアドバイス
2024.12.29
遠慮がなかったり、うまく話せなかったり……近いからこそ難しい!
時にしんどい「親・兄弟姉妹との距離感」
長い間、一緒に暮らしてきた実の家族だからこそ、ちょうどいい距離感って難しいもの。いっそもう連絡をとらなくても!とすっぱり割り切れないのも、また家族ゆえ。このモヤモヤを、まずはみんなでシェア。そして、いい方向に向かうための手がかりを探ります。
経験者の言葉だからこそ、納得感あり!
ちょっと心が軽くなる「親・兄弟姉妹との距離感」のヒント
心の底には愛情があるからなおのこと、実の家族は難しい! 家族に深くかかわってきたEmiさんに、実体験からのアドバイスをいただきました。
INTERVIEW
実の親・兄弟姉妹でも、“レーン”を踏み越えないように
OURHOME Emiさん
OURHOME Emiさん
整理収納アドバイザー
「家族の“ちょうどいい”暮らし」をコンセプトに、オリジナルグッズやウェアを扱う「OURHOME」を主宰。実家の片付けの体験を綴った著書『親に寄り添う、実家のちょうどいい片づけ』(白夜書房)も話題となる。
家族と自分が心地よく暮らせる空間をサポートする、OURHOME主宰のEmiさん。現在、夫と中学生の双子のお子さんとの4人暮らしです。
「私の家は、両親と2歳下の弟との4人家族でした。両親とも自営業で忙しく、父はしっかりした、時に厳しい人。ここぞという大きな決断をするときなどは必ず父に報告しますし、その際に『お父さん、どう思うかな?』とちょっと緊張するところはありますね。普段はまったく、構えたりはしないんですけれど」
基本はとても仲のいい一家。ただ、ちょっとピリッとした空気が流れたタイミングがありました。それは、27歳でEmiさんが双子を出産したときのこと。
「産後、里帰りをしたのですが、そのときの私は、全面的に育児をサポートしてもらえるものだと信じ込んでいたんですね。私は両親の子どもであるわけだし、生まれてくるのは孫、しかも双子で大変でしたから。ところが実際に里帰りしてみたら、両親とも月曜から土曜まで仕事があって、私がそのときに期待していたようなサポートは受けられなかったんです。親には親の生活があるわけだから、今考えれば当然のことなんですけど、当時はそのことが理解できなかった。両親からしたら、里帰りといっても『ちょっと手伝ってあげよう』くらいの感覚で受け入れたんだと思います」
いつもなら冷静に理解できるところが、産後のナーバスな時期だったことで、Emiさんはつい感情的になってしまったそう。珍しく、このときは大げんか。もっと長く里帰りをする予定だったのですが、1カ月後には夫のいる自宅に戻ることを決意します。
「でもこれが、結果的にはすごくよかったと思っています。何より、私と夫と子どもたちという、自分たちの家族でやっていくという覚悟が芽生えたし、時間をうまく配分して、暮らしをコントロールすることもできるようになりましたし。さらには、自分自身の子どもに対するスタンスをつかむきっかけにもなりました。今となっては、ちょうどいい距離感でいてくれた両親に感謝しています」
干渉しているのは、実はお互いさまかも
家族との適度な距離感を、Emiさんは100メートル走に例えます。家族は並んで走ってはいるけれど、それぞれが自分自身のレーンを走っているイメージ。
「100メートル走って、それぞれのレーンから外れてしまうと失格になりますよね。他のレーンに踏み込んではいけない。でも、血のつながっている家族だと、気を許している関係だからこそ、それを踏み越えてしまいがちなんですよね」
もっと速く!とレーンをまたいで手を引っ張ったり、転んだところを、無理に助け起こそうとしたり。
「子どもは子どもでどんなに小さくても、それぞれのレーンを走っています。それと同じように忘れてはいけないのは、私たちの親も自分のレーンを走っているということ。お互いに適度な距離をとって干渉しすぎないという感覚を、里帰りのときは、私のほうが忘れてしまっていたのだと思います」
Emiさんの仕事のひとつである、“片付け”に関するアドバイス。実家の片付けに関する相談も受けることも多いそう。
「私たちの世代は、『親が平気でレーンを越えて干渉してくる』と不満を漏らしがちなのですが、“実家の片付け”に関しては、自分のほうがレーンを越えて、親に干渉しているケースも多いですね。『実家を片付けてほしい』というのは、親の生活に口を出すこと。親世代は私たちとは違う時代に育っていて、私たちとは違う価値観を持っているわけです。いくら血がつながっている家族だからといっても、そこを無視して自分たちの感覚で『ものを減らすべき』と強制するのはちょっと違うのかもしれないな、と思っているんです。実家の片付けを頼むのなら、『何かあったときに私が大変だから片付けて』という『私が』のメッセージではなく、片付けることで親自身の生活がどうプラスに向かうのかを、提案という形で伝えるほうがいいと思います」
ちなみにEmiさん自身も実家の片付けに関しては、気づいたことがいろいろとあったそう。
「私も、そんなにすんなりいったわけではなかったんですね。ただ、実家の片付けって親子のコミュニケーションの場なんだな、とは確信できたんです。自分自身が子どもに戻れるっていうか。なんだろう、家族にとって、すごくいい時間だったんですよね。もう1回、親子を構築できるというか。ひょっとすると、実家の片付けの場合、ゴールは“ものを減らす”ではないのかもしれないですよね。ケンカをしたり、話し合ったり、片付けがいいきっかけになってくれたな、とは感じています」
提案や意見は、相手にとってプラスになる表現で伝えるといいと思います
“提案”が受け入れられなくても、自分が否定されたわけではない
実の家族だからといって、甘えすぎないこと。何を言っても、干渉しても構わないのだと思わないこと。必要なのは、ほどよい距離感。
「距離をとる、それぞれのレーンを進む、というと、もしかしたら『家族なのに冷たいのでは』ととらえられるかもしれません。もちろん、求められているのならば手を差し出すし、アドバイスもするほうがいいんです。気をつけたいのは、家族であっても、求められていないアドバイスはしないこと。けっこうそれが、トラブルのもとになってしまうことが多いですから。また、せっかく親身になって相手のために考えたことが受け入れてもらえなくて、腹立たしくなることもあるかもしれません。でも、そこでがっかりすることはないんですよね。受け入れてもらえなかったのは、あくまでその提案。つい混同してしまいそうになるのですが、皆さん自身が否定されてしまったわけではないんですから。『それなら、こんなのはどう?』と、また次の提案をどんどんしていけばいい、と考えています。それも、相手のためにしているのに、ではなくて、自分がやりたいからやっているだけ、というマインドでできるといいんじゃないかなと思いますね」
LEE読者からの質問に答えてもらいました
子どもが熱を出したときに、看病を母にお願いすることがたまにあります。なるべく自分で看るように仕事の都合をつけますが、急なお迎えなるとつい頼ってしまうことも。親にお願いごとをするときに気をつけたほうがいいことは何でしょうか?(LEEメンバー tomoさん)
家族といえどもお金は用意。やり方を伝えておくことも大事
私も、夫の両親に子どもの面倒を見てもらうことがあります。そんなときに気をつけているのは、親子といえども対価として、お金をきちんと支払うこと。あとは、丸投げにしないことでしょうか。スケジュールを見える化して伝えるなど、スムーズに家事を進めてもらいやすいようにしっかり説明をしておくことを意識しています。
たまに帰省すると、実家のものの多さが気になり「もっとものを減らしたら?」「こんなにものを持っていてどうするの?」など言ってしまいます。母はこれでも厳選している、私がきつい、冷たいと。どう話すのがよいでしょうか。(LEEメンバー みーささん)
片付けることによるプラスを、相手の立場になって提案してみて
アドバイスは、相手のプラスになる面を伝えるようにしましょう。例えば、片付けに前向きになれるように「お母さんと同年代の人で、こんなにミニマムに暮らしている人がいるよ」と、素敵な暮らしを発信しているYouTubeや本をすすめるとか。あとは孫作戦。「おばあちゃんの家でいとこみんなで集まりたい!って言ってるから」なんて提案はどうでしょう?
母は私に対して気を使いすぎるところがあります。私が若い頃から何かと遠回しに詮索するようなものの言い方がイヤで、関係は悪くはないのですが、なんとなくイラッとして冷たくあしらってしまうことがあります。(LEEメンバー mickさん)
もしかしすると原因は、あなたの側にある可能性も
もしかするとですが、過去にmickさんが、お母さんに対してきつい言い方をしてしまったり、質問に対してシャットダウンするような受け答えをしてしまったりしたことがあったのかも、と思いました。その結果、ストレートに聞くことが怖くなってしまった可能性も。まずはご自身から、お母さんに対してオープンに接してみて、様子を見てはいかがでしょう?
父がしゃべることが大好きで、一度話し出したら止まりません。話を止めると、しょんぼりしてふさぎ込んでしまいます。うまく父のことを受け止めるには?(LEEメンバー ぺる子さん)
お父さんが充実して楽しめる場を、一緒に考えてみては
お父さんが楽しく過ごせる場所が増えると、いい方向にいくのかも。例えば、同年代が集まる公共の場所を探してみるなんてどうでしょう。 最近はファストフード店でもご年配の方が接客を楽しんでいらっしゃったりもしますよね。もし、あなたの提案が受け入れられなくても落ち込まないで。あなた自身が否定されたわけではないので、また次の提案を!
Staff Credit
撮影/柳 香穂 イラストレーション/Aikoberry 取材・原文/福山雅美 本誌編集部
こちらは2025年LEE1・2月合併号(12/6発売)「時にしんどい 親きょうだいとの距離感」に掲載の記事です。
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