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LIFE

私のウェルネスを探して/ゆりやんレトリィバァさんインタビュー前編

他人の目を気にし過ぎず、自分の評価は自分が決める。ゆりやんレトリィバァさん流「ほっとけ!」の精神

  • LEE編集部

2024.12.07

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ゆりやんレトリィバァさん

今回のゲストはお笑い芸人のゆりやんレトリィバァさんです。ゆりやんさんは大学4年時にNSC大阪校に入学、その後2017年に上方漫才コンテストで優勝、同年「女芸人No.1決定戦 THE W」でも優勝、2021年には「R-1グランプリ2021」で優勝しました。2019年にはアメリカの人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演し、話題を集めました。ゆりやんさんは今年12月から活動拠点をアメリカに移します。旅立つ直前、自身初の著書『じぶんBIG LOVE!♡♡♡〜ゆりやん体づくり本〜』(集英社)が出版されました。

前半ではダイエット本でも自己啓発本でもない“自分を大切にする本”を出版した理由と、リバウンドしない体づくり法について聞きます。また、トレーニング中から大切にしていた“人と比べない”“他人はほっとけ!”論とゆりやんさんらしい自信のつけ方を掘り下げます。

体重は気にしなくてもいい、自分の一番好きな姿・最高の状態であればいいことを伝えたい

『じぶんBIG LOVE!♡♡♡〜ゆりやん体づくり本〜』は、ゆりやんさんが数年かけて学んだ自分との向き合い方をまとめた一冊です。その主軸になっているのが、2019年から始めたトレーニング。トレーナーの岡部友さんとの出会いをきっかけに“食事8割、トレーニング2割”の考えのもと日々の食事や運動、美容で気をつけるポイントを写真付きで紹介しています。スタート時は110kgあった体重は65kgに、役作りで40kg増量するもトレーニングを続け、72kgに戻りました。

『じぶんBIG LOVE!♡♡♡〜ゆりやん体づくり本〜』

「よくある減量本・ダイエット本といえば、痩せればいい、痩せれば痩せるほどいい、細いことが正義とされています。私自身もそんな目に見えない“ダイエットの決まり”に縛られていましたが、2019年に(岡部)友さんと出会って変わりました。数字は気にしなくてもいい、自分の一番好きな姿・最高の状態であればいい。それを伝えたい、みんなにも知ってもらいたいと思ってこの本を作りました。“BIG LOVE”は、私がLINEの締めくくりに使う好きな言葉です。それをタイトルにも入れさせてもらいました」

減量は「何を食べてはいけない」「何を抜かないといけない」ではなく「何を摂るか」「どれくらい摂るか」

トレーニングや食事制限と考えると「我慢ばかりで辛そう」「大変だから続かない」と思う人も多いはず。しかしゆりやんさんは「トレーニングは結果につながるから辛くないんです」ときっぱり。一番苦労したのは食事だったと振り返ります。

「トレーニングは痛い・きつい・しんどい。でもそれは拷問じゃなく未来に続くことで、やればやるほど結果につながります。だからやめる必要も理由もないんです。私にとって一番の難関は食事だったと思います。それまではずっと不摂生、暴飲暴食、暴飲(ボウイン)グ・マイウェイでしたから。

ゆりやんレトリィバァさん

普通、減量というと“何を食べてはいけない”“何を抜かないといけない”がルールだと思っていましたが、友さんからは“何を摂るか”“どれくらい摂るか”を教わりました。“やってはいけない”ではなく“やる”行動の選択なので、ポジティブに自分からできるようになります。食事で何が必要か理解できれば、自分で選択肢を広げて応用できる。それは今までとはまったく違う感覚でした」

リバウンドしなかったのは、体づくりの構造を理解しポジティブな思考を身につけることができたから

トレーニングを始めてからは役作りで体重を増やしたことはあってもリバウンドはなし。その理由は、体づくりの構造を理解しポジティブな思考を身につけることができたから。食事やトレーニングを通じて“行動するほうが楽”“気持ち良くいられる”と体が理解すれば、自然と生活習慣として身に付いていったそうです。

「例えば“寒いから上着を着る”みたいに、自然な感覚で“昨日食べすぎたからこれくらいにしとこう”“気持ちがいいから運動しよう”と習慣化できれば、やめる理由がなくなります。とはいえ、どんなに体にいいものも食べすぎたら一緒だから、まずは食事を人並みの量にすること。腹八分目、炭水化物は1食握りこぶしひとつ分。それをコントロールするのが大変でした。

ゆりやんレトリィバァさん

あとは“こんなにやっているのになぜ変わらないんだろう”という停滞期はしんどかったですね。だけど、不思議と“止めよう”“もうええわ”とならなかった。そっちに行くと後で戻るがしんどいと分かっているから、自然とそういう選択ができたんだと思います」



女芸人ということで、心ないことを言われたり、体型をからかわれたりすることがあっても、傷ついていなかったのが病的だった

トレーニングと食事で生活を変えたことで、気持ちも少しずつ変化していきました。自分を大切にするポイントは、まず心を大切にすること。本の中では、芸人としてまわりから言われた言葉をこう振り返っています。

女芸人ということで、心ないことを言われたり、体型をからかわれたりすることがあっても、傷ついていなかったのが病的だったなって。もしかしたら以前の自分は、自虐に持っていって、自分の心を守っていたのかも。

『じぶんBIG LOVE!♡♡♡〜ゆりやん体づくり本〜』より引用

「心を大切にするって、“今日は気持ちを大切にするぞ”みたいにすぐできるものではないんです。まず運動し、食事で何を摂り入れるか考える。食べたもので体は作られるし、トレーニングで筋肉が作られます。“自分で体が作れる”“自分で良いところまで持っていける”と気づくようになるし、自分で一生懸命作ったものは大事にしますよね。そんな気持ちが少しずつ芽生えて、心を大切にできるようになったような気がします。昔に比べれば随分心を大切にできるようなったと思いますが、いまだに自分を下げてしまうことも。難しいですよね、心を大切にするって」

大事なのは人と比較しないこと。人と比べないようになって、自信が持てるようになった

もうひとつは、人と比較しないこと。人は置かれた環境や生まれ持ったもので比較し、自分を卑下してしまいがち。この教えは、トレーナーの岡部友さんが最初にゆりやんさんに伝えたことでした。

「例えば、きれいな女優さんに憧れるのは自由ですが、物理的にその人になれることはないんです。だけどトレーニングで頑張ったり、なりたい体に近づいて、自分で“めちゃ良い感じ”と思えるようになれば、人に関係なく自分の判断が“良い”と思えるようになります。そうすることで、少しずつ人と比べないようになるのかなと思います。

ゆりやんレトリィバァさん

私は人と比べないようになって、自信が持てるようになりました。街でくちびるをとんがらせて歩いたり、銭湯ではバーンと裸をさらして歩いたり。“どうぞ自由に見てください〜”って(笑)。友さんの考えに私のエキスをプラスするなら、自分を上にして比べるんならいいんじゃない? ですね。“私の方が髪が長い”とか“私の方がマジでイケてる”“私良いやん”とか。そういう逆の比べ方で自信を持てるようになるのもありだと思います」

他者の評価でなく、自分の評価は自分が決める。ゆりやん流「ほっとけ!」の精神

本の冒頭でゆりやんさんが語っているのは、「ほっとけ!」「人にどう思われてもいい」「関係あるか!」の精神。他人からの目を気にし過ぎてしまう今の時代に、この強さは必要な感覚とも言えます。他者の評価でなく自分の評価は自分が決める。それが心を大切にすることにつながります。

「もちろんSNSにアップする写真や文章は慎重にしていますし、田舎で誰もいない横断歩道を渡る時に赤信号で渡っている人がいたら“赤ですよ!”と注意します。そこは“ほっとけ”じゃないので安心してください(笑)。

ゆりやんレトリィバァさん

私が思うのは、“ほっとけ!”と言い返せるもの、芯があるものについては“ほっとけ!”“ここに来て言え!”と自信を持って言えるということです。“ゆりやんがダイエット?”“芸人が美容なんて言うな!”と言われても、これは“ほっとけ!”です(笑)。自信があることははっきり自信があると言いたい。自信があることを“自信がある”と言うのは、気持ちがいいんです」

アメリカに行っても自分に自信が持てることはブレずにやるしかないし、とりあえずやってやってやりまくる

2024年12月から活動拠点をアメリカに移すゆりやんさん。本の最後には、「ハリウッド大スターになる」「アカデミー賞受賞」「グラミー賞、エミー賞、受賞多数」「大量のコマーシャル」「自身のアパレルブランドが老舗大ブランドになる」など、たくさんのやりたいことを掲げています。“ほっとけ!”精神はアメリカンドリームを叶えるための推進力にもつながっていくはずです。

「アメリカに行ったら、もっと主張していかないといけないと勝手に思っています。大阪から東京に来た時、家賃が倍くらいになったんです。東京からアメリカに行く時は、さらに倍くらいになるのかな。だから“ほっとけ!”×2くらいですかね。こうやってはっきり言えるようになったのは、東京に来てからですね。

ゆりやんレトリィバァさん

女芸人でピン芸人、一人だから自分が行かないと進まないし、自分が戦わないと誰も戦ってくれない。最近はケンカも好きになって人と揉めることも慣れてきました。アメリカに行っても自分に自信が持てることはブレずにやるしかないし、とりあえずやってやってやりまくる。そして最後に願う。それだけです。皆様、お元気で!」

(後編につづく)

My wellness journey

私のウェルネスを探して

ゆりやんレトリィバァさんの年表

1990

奈良県生まれ、高校までを奈良で過ごす

2009

関西大学に入学。3年時までに単位を全て取得し、4年時にアルバイトで貯めたお金でNSC大阪校に入学

2013

NSC大阪校第35期を首席で卒業

2017

第47回NHK上方漫才コンテスト優勝。第1回「女芸人No.1決定戦 THE W」優勝

2019

アメリカの人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演

2020

ロサンゼルスに3カ月滞在

2021

「R-1グランプリ2021」優勝

2024

Netflixにて「極悪女王」が配信開始。11月 、 『じぶんBIG LOVE!♡♡♡〜ゆりやん体づくり本〜』(集英社)が発売

ゆりやんレトリィバァさん

Staff Credit

撮影/高村瑞穂 ヘアメイク/岡田知子 取材・文/武田由紀子

おしゃれも暮らしも自分らしく!

LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
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