お互いをいたわるためにはどうすれば?
【夫婦で考える「更年期」】男女の違いから、生活習慣、コミュニケーションのコツまで。支えあいながら乗り越えるためには?
2024.09.04
女性はもちろん、最近では男性の更年期症状にも注目が。体調も気持ちも浮き沈みが激しいこの時期に、お互いをいたわるためにはどうすれば? 夫婦一緒に、更年期について考えてみましょう。
教えてくれたのは
佐々木春明さん
HARUAKI SASAKI
昭和大学藤が丘病院 泌尿器科教授
男性更年期症状に詳しく、数多くの男性の診療を担当。世界男性更年期障害学会ほか、国際学会にも多数参加。監修に『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』(主婦の友社)。メディア出演や講演活動も多数。
更年期は夫婦で生活を見直し、これからの人生を考える準備期間です
男性更年期外来で診療を行い、更年期症状に悩む男性の相談に乗っている佐々木さん。患者数は、近年増えているそうです。
「もともと潜在的な患者はたくさんいたと思うのですが、最近はメディアで取り上げられることが増え、『このつらさは男性更年期症状かもしれない』と多くの男性が受診するようになりました。また、『夫が以前よりも怒りっぽくなった』などと妻が異変に気づいて、受診をすすめるケースも。ストレスが原因で男性ホルモンの量が急激に減ると更年期症状が出るので、過度なストレス社会も患者数増加の要因になっています」(佐々木春明さん)
閉経を迎える女性はもちろん、男性でも自覚することが少なくない更年期症状。だからこそ、夫婦で支え合いながら乗り越えてほしい、と佐々木さんは言います。
「男女それぞれのホルモンの減少が更年期症状を引き起こしますが、食事や睡眠、運動などの生活習慣も影響があります。特に男性はストレスが主な原因なので、これまで無理をしすぎていないか、仕事や家庭環境、休息の取り方などを見直すきっかけになるはず。症状が重いとしんどい時期ではあるけれど、更年期は人生の折り返し地点であり、今後の人生を考える準備期間ととらえてみて。夫婦がお互いを理解し、いたわり合うことで、二人の関係性をアップデートするチャンスでもあるのです」(佐々木春明さん)
モヤモヤエピソード集
これってもしかして更年期?
更年期が始まる前後の世代のLEE読者。これも症状? そのせいで家族ともすれ違いが……。実感エピソードを聞きました。
Episode
1
#30代で、もう更年期!?
- 38歳ぐらいからちょっとしたことでイライラしやすくなって、不機嫌を言葉や態度に出してしまう場面が増えた。PMSなのか、更年期の始まりなのか判断がつかないのですが……。
LEE100人隊 No.009 emyさん
- 30代後半になり、今後の人生への不安をクヨクヨ悩んで悶々とした気持ちで過ごす日がある。普段は気にならない、他人のSNSの投稿に敏感になることも。
LEEメンバー スイーツさん
Episode
2
#夫につらさを理解してもらえない…
- 私がイライラしているせいもあるのか、夫もイライラすることが昔より多くなった。前はもっと穏やかだったのに、ささいなことでも機嫌が悪くなるので、それに気を使うのも疲れる。
LEEメンバー ふきのとうさん
- とにかく倦怠感がひどく、なんとか家事をこなしても、途中で泣きたくなるほどつらいことが。家事を代わりにやってほしいけれど、夫は気づかない様子。
LEEメンバー うにさん
- 夫は正論を言いたいタイプなので、話を聞いてほしいだけのときも諭されるのがしんどい。最近は夫の少しの言動も気にさわって正直、鼻歌にもイライラ……。
LEE100人隊 No.018 キッキさん
Episode
3
#子どもの反抗期・思春期と重なって
- 子どもが思春期で感情の起伏が激しく、頻繁に親子ゲンカ。ちょっとしたことに対して「なぜそんなこと言うの?」「なぜ今そんなことをするの?」と否定的に受け止めて、イライラしたり落ち込んだりすることが増えた。
LEEメンバー さりーさん
- いわゆるギャングエイジに差しかかった息子。反抗的な態度に、そこまでヒステリックにならなくても……と自分でも思うほど声を荒げてしまい、毎日のように自己嫌悪。
LEE100人隊 No.007 もりおさん
Episode
4
#夫も男性更年期?
- 声を荒げて子どもたちを叱ることが増えた。昔はあんなふうに怒ったりしなかったなぁと思うことも。ずっと私が叱る担当だったので、夫には穏やかでいてほしい。
LEEメンバー ざきさん
- 終わったことにいつまでもこだわり、時間がたっても文句を言っているのを聞いて夫も頑固になったな、更年期かなと思うことが。
LEEメンバー おっとり母さん
- 以前は、休みの日はどこかへ行こう!と計画して、積極的に動いてくれていたけれど、最近は「車の運転はしたくない」「疲れることはやりたくない」などと言うようになった。
LEEメンバー ぷりんさん
Episode
5
#更年期のせいでセックスレス…
- 男性更年期のせいか明らかに性欲がなくなっていて、セックスレスになった。
LEEメンバー おパンさん
- 40代で夫がED(勃起障害)になり、そのままセックスレスに。私は夫婦のコミュニケーションとしてスキンシップだけでもしたいけれど、そういう気になれないようで難しい。
LEEメンバー wakameさん
性別で症状の違いも
知っておきたい男女別・更年期の基礎知識
女性と男性、それぞれの更年期のメカニズムを専門家が解説。お互いに“正しく知る”ことが、夫婦で理解し合う第一歩に!
・女性更年期
教えてくれたのは
中村名律子さん
NATSUKO NAKAMURA
千葉大学医学部附属病院 産科・婦人科
周産期、女性ヘルスケアの2つの専門医資格を持ち、大学病院にて研究と診療を行う。更年期症状にも詳しく、相談を受けることも多い。
●加齢による女性ホルモン(エストロゲン)分泌量の減少
年齢とともに体内の女性ホルモンは減っていくものの、40代以降では乱高下が激しく、自律神経の乱れを引き起こし、更年期症状につながる。60歳前に落ち着くことがほとんど。
閉経前後の10年間が女性更年期。ホルモンの乱高下で自律神経に乱れが
あらためて女性更年期の定義は?
「一般的に、閉経前後の10年間を指します。年齢とともにエストロゲンなどの女性ホルモン量は少しずつ減っていくのですが、更年期になると上がったり下がったりすることが増え、変化の大きさから自律神経が乱れて、更年期症状が。発汗やほてりなどのホットフラッシュ、イライラ、落ち込み、また手足のこわばりや関節の痛みを感じる人も。閉経しないと更年期がいつ始まったかはわからないのですが、月経不順になったり、月経がだらだらと長く続いたりといった変化が、更年期スタートのサインに。見逃さないようにして、つらい更年期症状を感じたら我慢せずに婦人科の受診を」(中村名律子さん)
どの程度の症状があったら受診すべきか、悩むところですが……。
「生活に支障をきたすほどの“更年期障害”はもちろん、以下のSMIスコアでセルフチェックをすると受診の目安に。受診するとホルモン量を測る検査のほか、更年期と似た症状の甲状腺の病気などもまとめて検査します。女性ホルモンの数値が低ければ、ぜひホルモン補充療法の検討を。更年期症状の改善に効果があり、老年期に起こりやすい骨粗鬆症や動脈硬化、また性交時に腟が痛くなる萎縮性腟炎などの予防にもなり、メリットが大きいと思います」(中村名律子さん)
Point
- 閉経(平均年齢は50.5歳)の前後5年間ずつ、約10年が女性更年期
- 女性ホルモン(エストロゲン)が乱高下しながら減少する時期
- 月経不順、だらだら続くなど、月経の変化が更年期スタートのサインに
●女性更年期に出やすい症状チェックリスト(SMIスコア)
女性更年期の代表的な症状をチェックできて、医療機関でも問診に使われるSMIスコア。各項目の症状の度合いを無〜強でチェックして、合計点数を計算。以下の診断結果を受診の参考に。
・0~25点
上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。
・26~50点
食事、運動、生活スタイルに注意をはらい、無理をしないようにしましょう。
・51~65点
医師に診察してもらい、生活改善、カウンセリング、薬物療法を受けましょう。
・66~80点
半年以上の長期計画にもとづく治療が必要です。
・81~100点
各科で精密検査を受け、更年期障害のみである場合は専門医での長期的な治療が必要です。
できる対策は?
ホルモン補充療法(HRT)
エストロゲン剤とプロゲステロン剤を組み合わせるのが一般的。皮膚から吸収する貼り薬や塗り薬は内臓への負担が少なく副作用が出にくく、飲み薬は手軽で薬の増減がしやすい。主治医と相談して、症状に合ったものを。
漢方薬
女性更年期の治療でよく処方されるのは「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」などの漢方。継続することで、自律神経の乱れからくるイライラや不安、また便秘などの長年抱える症状が改善するケースもあります。
エクオール配合のサプリメント
大豆イソフラボンが腸内細菌で分解されることでできるエクオール。体内でエストロゲンに似た働きをして、更年期症状改善の助けに。大豆製品からもとれるが、体内でエクオールを作れる女性は約半数といわれるので、市販のサプリメントで補うのが○。
・男性更年期
教えてくれたのは
佐々木春明さん
HARUAKI SASAKI
昭和大学藤が丘病院 泌尿器科教授
男性更年期症状に詳しく、数多くの男性の診療を担当。世界男性更年期障害学会ほか、国際学会にも多数参加。監修に『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』(主婦の友社)。メディア出演や講演活動も多数。
●加齢による男性ホルモン(テストステロン)分泌量の減少
20歳頃をピークに、通常は点線のようにゆるやかに減っていくテストステロン。長時間労働や仕事でのプレッシャー、睡眠不足などでストレスを感じると急減して、更年期症状が。
ストレスで男性ホルモンが急減。目安の時期がないのでわかりにくい
男性更年期はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?
「男性ホルモンである“テストステロン”は20歳ぐらいをピークに減少していきます。変化がゆるやかなのでそのまま症状がなく経過することが多いのですが、強くストレスを感じるとテストステロンの量が急激に減り、心身に不調が。女性の更年期は閉経前後と期間が決まっていますが、男性は過度なストレスにより30代でも60代でも、年齢に関係なく症状が出るのでわかりにくい。うつ病などと勘違いする人もいます。症状としては、中途覚醒のような睡眠にまつわるものや、イライラ、疲れやすい、以前より記憶力が落ちるといったケースも。さらに性欲も減退し、特に性行為の途中で続けられなくなり男性が自信を失い、セックスレスになってしまう夫婦もいます」(佐々木春明さん)
少しでも気になる症状があれば、ぜひ泌尿器科の受診を。
「できれば、男性更年期外来がある医療機関を選んで。“日本メンズヘルス医学会”のサイトで調べることができます。受診すると、原因となるストレスを知るために、時間をかけて問診と、原因に合わせた生活指導を。また、血液検査で男性ホルモン量を確認し、数値が低ければ、テストステロン補充療法をすすめます」(佐々木春明さん)
Point
- 一般的には、男性ホルモン(テストステロン)は徐々に減少するため症状の出方もゆるやか
- ストレスの影響でテストステロンが急減すると、症状が強く出る
- 早いと30代から始まり、50~60代まで続くケースも
●男性更年期に出やすい症状チェックリスト(AMSスコア)
更年期症状の程度を判断するのに活用できるAMSスコア。それぞれの症状を感じる度合いをなし(1)〜非常に重い(5)から選び、合計得点が50点以上の場合は医療機関の受診を。
・17~26点
男性更年期症状はなし
・27~36点
軽度
・37~49点
中等度
・50点以上
重症
できる対策は?
テストステロン補充療法(TRT)
2〜4週間に一度通院し、合成テストステロンの筋肉注射を投与。注射に抵抗がある場合は、テストステロン配合の塗り薬も。3カ月ほどで更年期症状が改善し、治療を終了する人がほとんど。副作用もあるので、方法や期間は主治医とよく相談しましょう。
漢方薬
ホルモン値は基準値以上でも、更年期症状が出ている場合などに使われるのが漢方。男性更年期の治療でよく処方されるのは「補中益気湯」「当帰芍薬散」「八味地黄丸」など。テストステロン補充療法のような即効性はないものの、継続することでじわじわと不調を改善。
サプリメント
コエンザイムQ10やロイヤルゼリーには、テストステロン値を上昇させる可能性があるという研究結果が。また更年期症状の中でもEDやセックスレスの悩みには、バイアグラやシトルリン、レスベラトロールなどのサプリの活用も。いずれも主治医に相談を。
もしも自分や夫に更年期症状が出たら…
イライラや不調と、二人でどう向き合う?
いざ夫婦で更年期の不調を感じたら、どうすれば? コミュニケーションのコツを専門家に教えてもらいました。
夫婦コミュニケーションのポイント3
Point
1
お互いのつらい状況を理解して、きつい声かけはしない
更年期は男女どちらにとってもセンシティブで、気持ちが落ち込みがちな時期。本当のつらさは本人にしかわからないと理解したうえで、たとえ寝ていて家事ができなくても、無神経な言葉などをかけないこと。とても難しいのですが、お互いのありのままを受け止めることが大切です。(中村名律子さん)
Point
2
几帳面な男性ほど症状が出やすい。夫婦で上手にストレス解消を
ストレスが要因である男性更年期の症状は、几帳面な男性ほど出やすいという傾向があります。まじめな人ほど手を抜くのが苦手で、不満をため込んでしまうことが多いからです。一人ではなかなか発散ができないので、夫婦で楽しめる趣味などを見つけて一緒にストレス解消を。(佐々木春明さん)
Point
3
夫婦でこれからの長い人生を考える準備期間ととらえる
人生100年時代で、更年期以降の人生がまだまだ長い人が大半。更年期はこれまでの生活スタイル、睡眠、食事、運動習慣などを見直すチャンスです。更年期症状と向き合いながら、頑張ってきた心と体に今一度意識を向け、夫婦がお互いにいたわり、ケアできるように心がけてみて。(佐々木春明さん)
夫婦で乗り越えるためのQ&A
いつまで夫の更年期が続くのか不安。男性は閉経がないから、どう判断すべきか…
ホルモン量が低い数値で安定すれば、終わりは来る
ホルモンが急激に減って、変化が大きいときに更年期症状を感じるので、ホルモン量が低いまま安定して、それに体が慣れれば症状はおさまります。テストステロン補充療法をすすめるのは、体内のホルモン濃度を人工的に調整して、最終的にホルモン量をソフトランディングさせるためなんです。必ず終わりは来るので、安心してください。(佐々木春明さん)
体を動かすことは更年期対策にもいいと聞きました。夫と一緒に筋トレをしてもOK?
激しすぎる運動は、テストステロン量を減らしてしまう
実は激しすぎる筋トレなどは、テストステロンの量を減らしてしまうという報告があります。不調改善のために運動することは大切ですが、ウォーキングや軽いジョギングなどがおすすめ。夫婦で一緒にウォーキングや、休日に出かけて歩きながらショッピングをするぐらいがちょうどいいと思います。(佐々木春明さん)
ここ数年、育児と仕事で忙しく夫と二人の時間がほとんどありません。会話も少ないのですが、更年期を無事に乗り越えられる?
更年期前にお互いを理解しサポートできる体制を作りたい
まずは夫婦のどちらも、いつ更年期症状で心身に不調が起きてもおかしくないと理解しておくこと。これまではすれ違いだった生活でも、家事や育児の分担など少しずつ見直し、サポートし合える体制を整えたいですね。ともに過ごす時間が増えれば、お互いの更年期症状に気づいたり、声かけが受診のきっかけになったりと、早期の改善にもつながります。(佐々木春明さん)
子どもの受験や反抗期と更年期が重なりそうで心配です
家族中心ではなく、できるだけ自分に目を向けて
女性が更年期を迎える40〜50代は、タイミング的に子どもの思春期や夫の昇進など、家族の変化も大きい時期。家族の言動に影響を受けたり、振り回されたりしがちですが、更年期になったら今まで以上に“自分軸”を意識してみて。可能な限り、自分の体調や気持ちを優先して行動すると、イライラや落ち込みを少しは感じにくくなるかもしれません。(中村名律子さん)
夫婦で乗り越えた今、
更年期を振り返ってのリアルアドバイス
長い付き合いの夫婦だからこそ、いたわり合いが難しい部分も。すでに更年期を終えた先輩読者の、リアルな体験談と心得を聞きました。
更年期には必ず終わりが来る! その時期のイライラは適度に聞き流して
さくらさん
LEEメンバー
63歳。家族構成は67歳の夫、30代の息子が2人。50歳頃から更年期症状を感じ始め、約10年間続いたそう。夫は60代前半に更年期のような症状が。
温厚だった夫が頑固で短気に! 日常のささいなやりとりが大変
50代に入ってから、更年期症状を感じ始めたというさくらさん。特に、ホットフラッシュが起きるようになり、はっきりと自覚したと言います。
「突然体が熱くなり、特に顔から上に滝のような汗をかくようになりました。夜中でも、冷房が効いた部屋でも止まらなくて、急な変化に当時は驚きましたね。また、ちょうどその頃、夫の仕事の都合でアメリカに住んでいたのですが、毎日のように入れていた英会話のレッスンや習い事に行くのがだんだんと面倒になって。前日はやる気でも、朝起きると出かけたくない、動きたくないと思うことが増えました。
当時高校生で、アメリカの慣れない環境でストレスを感じていた次男とぶつかることも多く、反抗期でもあったのでとにかく言葉遣いが悪くイライラ。私がつい『ちゃんと宿題やったの?』『もっと早くやればいいのに』などと口うるさく言ってしまい、息子が怒って足元にあるものを蹴飛ばす……なんて激しいやりとりもありました」
一方で夫は、60代にさしかかった頃、更年期と思われる症状が。
「夫は帰国してからで、日本でのハードな仕事や、環境の変化、会食の多さなどにストレスを感じたよう。もともと温厚で、私と息子のケンカをフォローしてくれていたぐらいなのに、当時はいつもイライラして、頑固にもなりました。困ったのは、とにかく“待てない”こと。『新聞を取って』と言われて私がほかの用事ですぐに取れないと『早く!』と短気に怒って。私が『あなたのほうが近いじゃない』なんて言うものなら反発し、頑として自分は動かないという態度を取っていたこともありました。ささいなやりとりですが、日常のことなので大変で、その時期はしんどかったですね」
流したり、笑い話に変えたり。たまにはやさしい声をかけて
夫婦に更年期症状が出たときに、どのようなことを意識していたのでしょうか?
「まずは、『今は更年期なんだ』としっかり自覚することが大切かなと。私は、母や2歳上の姉に更年期でホットフラッシュが起きていて、その様子を見たり聞いたりしていたので、心構えができていた気がします。夫は世代もあるのかもしれませんが、『あなたも更年期じゃない?』と言っても、なかなか認めてくれなくて。症状が出る前に自分の体に起こりうることを把握しておくだけで全然違うので、男性更年期についてももっと広まり、夫婦ともに理解できるといいと思います」
また、お互いがイライラしているときは、そっとしておくのが賢明だとも。
「お互いに、相手の怒りを正面から受け止めてしまうとしんどいはず。相手がイライラしているときには『はいはい』と返事だけして、基本的には聞き流して。とぼけたフリをして話題をガラッと変えて笑い話にしたりして、怒りから意識をそらすようにしたこともありました。たまに、『おいしいものを食べたら、少し落ち着くかもよ』などと気づかうような声をかけると、夫が自分の状態にハッと気づく様子も。私がつらいときには、夫が何を言うでもなくケーキを買ってきてくれて、癒されたりもしました。
そんな感じで流れに逆らわず、気張らずにその時期が過ぎて、お互いに60代半ばになった今、精神的な更年期症状はすっかり落ち着きました。ごくたまに、私のホットフラッシュが起きることはあるのですが、夫はもともとの温厚な性格に戻っています。更年期の症状は一定期間のことで、必ず終わりは来る。永遠に続くものではないと夫婦ともに肝に銘じておくと、更年期特有の感情に振り回されすぎずに済むのかもしれませんね」
読者エピソード集
更年期を夫婦円満に乗り越えるコツは?
- 私が夫の家事に文句を言ったりすると、夫もみるみる不機嫌に。夫婦の感情は連鎖すると感じるので、負の態度をそのままぶつけないことが大事だと悟った。
LEEメンバー とうこさん
- 可能であれば、それぞれに自分の部屋を持つ! パーソナルスペースがあるだけで、気持ちがラクに。
LEEメンバー ぴーこさん
- お互いに体調が悪いときは、遠慮せずに言える関係にしておくこと。私は更年期前から持病があったので、早い時期から相談する習慣があって、無理に家事をせずに済みました。
LEEメンバー さんでいさん
- 更年期前から趣味を兼ねた体力作りを始めた。夫は週3回のプールと週末のソフトボール、私は40代からヨガ&ピラティスを始めて、少しずつ不調が改善しました。
LEEメンバー mikaさん
- お互いにやりたいことをやれるように環境を整えた。夫はマラソンにハマっていたので、ランニングをする時間をできるだけ取るように。私が出かけたいときにも、夫は快く送り出してくれます。
LEEメンバー ざきさん
- お互い一緒に過ごすときは嫌なことは言わずにできるだけ楽しく話して、笑うこと。そして、定期的に別行動をして、自分だけの時間を作るのが円満の秘訣。
LEEメンバー ななたんさん
Staff Credit
イラストレーション/SAKIPON 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE8・9月合併号(7/5発売)「二人で考えませんか?「夫婦の更年期」」に掲載の記事です。
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