その疲れやだるさ、しょうがないと思っていませんか?
夏こそ「自律神経」の整えどきです
夏になると、体がどよ〜んと重たく感じることありませんか? いわゆる夏バテは自律神経の乱れからきているのかも。自律神経をしっかり整えれば、蒸し暑い夏も怖くありません!
教えてくれたのは
姫野友美先生
TOMOMI HIMENO
⼼療内科医・医学博⼠
ひめのともみクリニック(東京・品川)院長。日本薬科大学教授。女性の立場に立った診療が多くの女性患者に支持される。『心療内科に行く前に食事を変えなさい』(青春出版社)ほか著書多数。
こんな不調感じてませんか?
食欲が出ない
蒸し暑くて眠れない
冷房の効いた部屋にいて体がだるい
わかっているようで、わかっていない。自律神経のことがよくわかる!
- そもそも自律神経って、何ですか?
- 自律神経が本当に整う「食事」「睡眠」「運動」とは?
- この健康法&ストレス発散法で整いますか?
- 自律神経が整う生活、2週間続けたらどうなった?
LEE100人隊に緊急アンケート!
夏の疲れ、感じていますか?
LEE100人隊に夏ならではの不調をリサーチ。夏が心身にとって特に厳しい季節であることが浮き彫りに。
1
夏になると調子を崩したり、バテたりしますか?
夏に不調が出る人の割合は9割以上。「季節を問わず」という人もいたけれど、ほとんどが夏特有の不調があると回答。冷房、暑さ、イベント等で生活リズムが乱れたりと、夏は多くの引き金が。
2
具体的にどんな不調や症状が起きますか?
ほとんどの人が、夏になるといくつもの不調を同時にかかえていることがわかる結果に。中には「選択肢の不調すべて」という大変な人も……。その他は耳鳴りや聞こえにくさ、喉の不調や鼻炎など。
私たち夏の不調に悩まされてます…
- 「冷房が効いている部屋に長時間いると、首から肩にかけて重たくなってきます。ひどくなると頭痛がしてくるので、鎮痛剤を飲んで耐えます」
No.018 キッキさん
- 「夏の暑さで食欲がなくなり、そうめんや冷たいものなど、同じものばかり食べてしまう。栄養が偏るとわかっているけど、なかなか食べられない」
No.060 みぃみさん
- 「暑い戸外とクーラーの効いた部屋の温度差に体がついてきません。食欲がなくなり特に夕方になるとどっと疲れが出て、1日もたないです」
No.045 CHIHARUさん
- 「冷房が効いた部屋に長くいたり冷たい飲み物を飲みすぎると、夕方から体調が悪化。頭痛薬が効かず光が眩しく感じ、暗室で横になるしかない」
No.054 さきさん
- 「ゲリラ雷雨がくる前など、気圧が変化するタイミングで後頚部のこり→生あくび→頭痛の3セットが必至。加えて猛烈な眠気を感じることもあります」
TB humさん
- 「旅行やイベントがあると翌日以降も疲れが長引きます。だるくて食欲もなくなるのに、ルーティン(家事など)を崩したくなくて無理してしまう」
No.087 ととさん
- 「水分不足でクラクラ、冷房の効きすぎで寒気が……。倦怠感もすごく、ストレッチなどしていますが時間がなくてできないと疲れがたまる一方」
No.100 ponyさん
- 「外の気温差で頭痛。冷房で脚が冷えてしまうと夕方以降むくみがひどくなり、痛みも出てくることが。着圧ソックスが欠かせません」
TB nahoさん
- 「エアコンの冷えからくる肩こり・腰痛・頭痛。あまりこりがひどいとマッサージに行きますが、自覚している以上に凝り固まっていて驚きます」
TB 季絵さん
- 「子どもたちの進級や入学など、忙しい春が終わると必ず肌荒れが発生。日焼け止めに帽子、メガネ、手袋など過度な日焼け予防も関係してる……?」
No.010 aminさん
3
夏の生活習慣で不調を招いているかもと思い当たることは?
- 「子どもが暑がるので冷房を入れっぱなしで寝るけれど、温度が低すぎるのか……? 朝起きるとだるさがあって、どんな環境で寝たらいいのか悩ましいです」
No.060 みぃみさん
- 「夏休みで子どもたちと一緒にいる時間が長くなり、1人の時間が持てないとストレスが蓄積。子どもたちそれぞれのスケジュール管理などでイライラ……」
No.031 はちみつりんごさん
- 「寝ている間にすごく汗をかいているようで、起きたばかりでも体のだるさが残ってしまっています。ちゃんと寝ているつもりなのに疲れが取れていない気が」
No.047 めりさん
- 「冷房がないと暑くて耐えられないと思うけれど、冷え性なのでいつも足元と体が冷たくなって血流の悪さを実感。とりあえずカーディガンは手放せません」
No.048 AYAさん
- 「暑いので週1くらいしか運動しないわりに、つい氷入りの冷たい飲み物を摂取してしまう。体が冷えてしまい、不調を起こしているように感じます」
No.054 さきさん
- 「夏は子どもの分まで暑さと紫外線対策が必要なので、普段より更に気を使わなければいけない。自分のペースで物事が進まないのでストレスもたまりがち」
No.081 springさん
- 「夏は日が昇るのが早く子どもが早く目覚めるため、一緒に早起きしないとならず睡眠時間が減少。だるさや頭痛、耳がこもって低音が聞こえにくくなることも」
1No.058 フジコさん
- 「ただ暑いというだけでつらいのに、洗濯物の量も増えるし、調理で火を使わなければならないなど、家事をすることで過酷な状況にさらに拍車をかけている」
No.042 くみさん
4
夏の疲れやだるさで、病院に行ったり、薬を飲んだりしたことはありますか?
不調を感じている人の割合に比べると、医師の診察を受けたり薬を飲むという人は半数以下と少なめ。セルフケアで乗り切っているという人も多い模様。薬を飲むという人は、市販の鎮痛剤や漢方を自分で選んで飲むパターンが多いよう。
5
疲れやだるさを取り除くために、セルフケアをしていますか?
約8割の人は不調解消や予防のためにセルフケアをしていると回答。Noの人の中にも、ストレス解消法や健康法は実践しているという人もいて、それも含めて「まったく何もしていない」という人はほぼいませんでした。
6
どんなセルフケアをしていますか?
- 「毎晩23時には寝るようにしています。同じだけの時間寝るのでも、深夜0時を過ぎてしまうと、なんとなく翌日に疲れが残っている感覚があるので」
No.011 MARINAさん
- 「甘いものが欲しいときでも、お菓子ではなく、はちみつを少し入れた、ごく甘さ控えめのカフェラテに。シナモンやカルダモンなどスパイスを入れると満足感もあります」
No.058 フジコさん
- 「内臓を冷やしすぎないよう冷たいもののとりすぎに気をつけています。体づくりのYouTubeを見て一緒に動いたり、定期的に趣味のバレーに行ったりも」
No.020 やまやんさん
- 「朝夕に軽いストレッチやヨガをしたり、仕事の合間に少し瞑想の時間をとったり。食事面では自炊したり、発酵食品を意識してとるようにしています」
No.070 おーたむさん
- 「足りてないと思う栄養素をサプリで補充。ていねい通販のすっぽん小町はずっと飲んでいて、最近はオバジCのインナーリポショット。元気になれる気がします」
No.045 CHIHARUさん
- 「ハーブティーが好きなので、花粉の時期や、今だと夏バテ軽減用としてブレンドされたものを愛飲。ストレスをためすぎないよう、気持ちを落ち着けることを意識します」
No.047 めりさん
- 「朝起きたら白湯を飲み、家にいるときは氷の入った飲み物は避けます。寝具やパジャマは綿や麻に、できるだけ長ズボンをはいて肩は出さないようにしています」
No.048 AYAさん
今のうちに対策を!
その疲れ、自律神経の乱れのせいかも!?
夏は乱れを招く要因が揃っています
自律神経が乱れやすい夏の3大要因
日が出ている時間が長く体が休息モードにならない
日が落ちるのが遅いため交感神経優位の時間が長くなり、体が十分に休まらない。日の出が早いため睡眠時間も短くなりがち。
室内外の温度差に調節機能が追いつかない
暑い外気と涼しい室内の温度差に体を対応させるために、自律神経は大忙し。負担が大きくなりバランスを崩すことに。
血管が開きっぱなしで血圧が低下
湿度が高いと汗が蒸発せず、血管が拡張したまま=副交感神経優位の状態が続き血圧が低下。疲れや倦怠感を感じやすい。
皆さんが夏に感じる不調の多くは、自律神経の乱れが原因と考えられます。というのも、日本の夏の気候は、自律神経の働きを乱す要素が多いのです。日照時間が長いため、体が休まる時間が少なく、室内外の気温差も激しい。さらにジメジメした湿度。過酷な環境が揃っていて、それに体を適応させようと自律神経を酷使するため、体調を崩す人が出てくるのです。気候を変えることはできませんが、自律神経の働きを知ってケアをすることで、症状を軽くすることは可能。しんどさを感じる夏こそ、自律神経の整えどきですよ。
姫野友美先生
わかっているようで、わかってない!
そもそも自律神経って、何ですか?
目で見ることはできないし、スイッチングのタイミングも自覚できない……。“謎多き”自律神経、基本の「き」を解説。
解説
1
「攻」と「守」の役割で構成された神経で、生命を保つために機能しています
「自律神経は、内臓や血管などを自動的に調節する神経です。交感神経と副交感神経という2つの神経で構成され、脳から出て全身に張り巡らされています。これが血圧や心拍、汗腺、消化吸収、体温など生命維持のためのさまざまな機能を調節しているのです。緊張・興奮状態など『攻め』のときは交感神経が優位になって血圧が上昇、脈拍は速くなり、唾液は減り、胃腸の働きが抑制されます。反対に休息時など『守り』のときには副交感神経が優位になり、血圧が低下、胃腸の働きが活発に。2つの神経がシーソーのように、攻守を入れ替えながら働いています」(姫野友美先生)
解説
2
正反対の役割を持つ2つの神経が、日中と夜間でバランスよく働くと体はいい状態
「昼間は交感神経が優位で体は活動モード、夜に近づくと副交感神経が優位になり休息モードに。一定のリズムで交互に入れ替わり、どちらも同じような強さで働くのが本来の状態です。自律神経は気候などの外的なものから心配事など内的なものまで、さまざまな要因に対して体を適応させるべく、めまぐるしくスイッチングしています。ただ、気候やストレスなどに体を適応させる頻度や度合いが激しいと、働きが追いつかなくなり、その結果、どちらか一方ばかりが強く働いたり、なかなか切り替わらない状態になったりするのです」(姫野友美先生)
解説
3
ストレスや不規則な生活によってバランスが乱れると、疲れやだるさ、食欲低下などに
「ストレスや不規則な生活は自律神経の働きに大きな負担をかける要因です。忙しい現代人は交感神経優位の人が多いといわれ、休むべきときに休めず交感神経から副交感神経にスムーズに切り替えができない人が増えています。特に30代・40代のように忙しいと、その傾向が強いようです。交感神経ばかりが働いていると不眠や疲れ、動悸、肩こり・首こり、食欲低下などの症状が、副交感神経ばかり優位だとやる気の低下や倦怠感などの症状が現れます。これらがひどくなり日常生活に支障をきたすようになるのが『自律神経失調症』という病気です」(姫野友美先生)
もっと知りたい! 素朴なギモン
自律神経Q&A
生理や更年期とも似ているし、天候や加齢との関係も気になる……。100人隊から挙がった自律神経の「?」に姫野先生がズバッとアンサー。
体がしんどいので診察を受けたいけれど、何科を受診 すればいいですか?
不調で不安になったら内科か心療内科へ
「めまいや動悸、胃腸の不調、不眠といった症状は基本的に内科でOK。それがストレスのせいかも、という場合は、ストレスによる体の症状を扱う心療内科がベター。受診の目安は、症状によって生活に支障をきたしたら、というのが一応のライン。でも不調の陰に大きな病気が隠れていることもあるので、不安を感じたらまず受診してみる、というのでいいと思います」(姫野友美先生)
天気が崩れそうになると頭痛やだるさが…。これも自律神経が原因?
天候の変化で自律神経の働きが乱れる「気象病」です
「気象の変化で不調が現れるのが『気象病』。天候が変わる前、耳の中の『内耳』という部分にあるセンサーが気圧の変化を感じ取り、視床下部に伝達して自律神経を調節するのですが、そのセンサーが過剰に働いてしまうと自律神経の働きも乱れます。自律神経が乱れるとセンサーも乱れるという相互関係にあり、それが頭痛や倦怠感などとして現れます」(姫野友美先生)
自律神経の乱れと鉄分不足の症状が似ている気が。関連はありますか?
鉄が足りないと自律神経がうまく働きません
「鉄が不足していると神経伝達物質の合成ができないため、自律神経の働きが悪くなり、疲れやだるさ、立ちくらみなど、貧血ととてもよく似た症状が現れます。女性は生理で多くの鉄を排出してしまうため、長期にわたって慢性的に鉄不足の状態。更年期症状に悩む方がホルモン補充療法をしてもなかなかよくならない場合、鉄不足が原因という場合も多いです」(姫野友美先生)
自律神経と女性ホルモンの働きは関係ありますか?
視床下部を中心にして影響を及ぼし合っています
「女性ホルモンの分泌を司るのは脳の視床下部。そこから下垂体を介して卵巣に指令が伝わり、女性ホルモンが分泌されます。視床下部は自律神経の中枢でもあるため、自律神経と女性ホルモンはお互いに影響を及ぼし合う関係です。更年期で女性ホルモンの量が減ると、視床下部は回復させようと奮闘しますが、うまく回復しないと視床下部が混乱し、それにより自律神経も乱れ、動悸などの症状が出ます」(姫野友美先生)
年を取るにつれて、体のだるさが顕著に。これは体力不足? それとも自律神経の乱れ?
体力の低下もあるけれど自律神経の機能低下も
「肌や髪、筋肉などと同じで、神経の働きも年とともに衰えてきます。環境の変化やストレスに自律神経が対応しきれなくなり、若い頃に比べてだるさや疲れなどが出やすくなるとはいえるでしょう。ただ、シニア世代になって子どもが独立したり、仕事をリタイアするなどでストレスがなくなると、運動する時間もできて自律神経のバランスがよくなる人も多くいます」(姫野友美先生)
子どもでも自律神経が乱れることはありますか?
成長期の子どもは自律神経が乱れやすい
「子どもの場合、血圧や心拍の調節がうまくいかず立ちくらみや動悸が起きる『起立性調節障害』として現れることが。特に小5~高校生くらいまでの成長期は要注意です。その時期は食べ物からとった栄養素が体の成長に優先的に使われ、自律神経の働きを維持するほうに回せなくなるため、たんぱく質やビタミンなど、栄養素をより多くとる必要があります」(姫野友美先生)
自律神経の乱れやすさに男女の性差は影響しますか?
内的&外的な要因によって女性のほうが乱れやすい
「生理前にやたら眠くなるなど、女性ホルモンの変動によって自律神経も影響を受けるということはあります。そうした内的な要因に加えて、家事や育児など男性よりもタスクが多いという外的な要因もあるのが日本の女性の傾向。その分忙しさやストレスも多くなり、睡眠時間も削られてしまうため、結果として男性よりも女性のほうが自律神経を乱しやすいといえます」(姫野友美先生)
自律神経の乱れやすさは遺伝するものですか?
遺伝はある、けれどそれがすべてではありません
「自律神経の細胞の中にあるミトコンドリアは母親の卵子からのみ受け継がれるため、母親の自律神経が乱れやすいと子どもも、という傾向はあります。また鉄欠乏など母親の栄養状態が生まれてくる赤ちゃんに影響することも。とはいえ、それがすべてを左右するわけではありません。自分の傾向を把握し、食事や運動、睡眠などのセルフケアで自律神経をいい状態に保つことは、誰でも可能です」(姫野友美先生)
“規則正しい生活”が大事っていうけれど…
自律神経が本当に整う食事・睡眠・運動とは?
気候などの外的要因やストレスなどの内的要因に負けない、自律神経の土台を育む具体的なポイントを姫野先生に教わります。
食事
自律神経を乱す大きな要因は栄養素不足! たんぱく質、ビタミン、ミネラルを十分にとって
まずは朝食でたんぱく質20gをとることを心がけて。ビタミンやミネラルはサプリでも
「神経をスムーズに働かせるには、情報の受け渡し役である神経伝達物質がきちんと作られることがカギ。神経伝達物質の合成には鉄やマグネシウム、カルシウムなどのミネラルが不可欠で、これらはたんぱく質と結びついて体に吸収されるため、たんぱく質を十分にとることが重要です。特に朝食で十分なたんぱく質をとることで神経伝達物質がきちんと作られ、神経がスムーズに働き、意思決定が早くなる、パフォーマンスが上がるなどの研究報告も。体重×0.4gが理想で、50㎏の人ならたんぱく質20g(卵1個で約6.5g)を目標に。食事から十分な量をとるのが難しい場合は、サプリメントを活用するのも手です」(姫野友美先生)
肥満は自律神経の大敵! 甘いものや夜の炭水化物は控えめに
「内臓に脂肪がつくと、そこから血圧を上げたり糖代謝を悪くしたりするさまざまな“悪玉ホルモン〞が出て、自律神経の働きも乱します。また、スイーツや炭水化物など糖質の多いものは血糖値を急上昇・急降下させ、交感神経を優位にしてアドレナリンを放出。これも交感神経を乱す一因です。おやつはできるだけ甘くないものを選び、夜の炭水化物は量を控えるといいですね」(姫野友美先生)
神経伝達を助けるのはDHAを含む油! 卵や大豆を食べよう
「神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンは、大豆や卵などに含まれるレシチンという油を原料にして作られます。また、スムーズに情報伝達するには神経をくるむ鞘(さや)が健やかであることが大事で、鞘の原料となるのも油。レシチンを多く含む大豆や卵を積極的に食べ、DHAを含むアマニ油などをこまめにとれるよう、テーブルオイルなどで取り入れてみるのもおすすめです」(姫野友美先生)
睡眠
「質」も大事だけれど、私たちに今必要なのは、「量」=睡眠時間の長さ!
いつもの睡眠に1時間プラスしてみよう。0時までには眠りにつきたい
「『深く質のいい睡眠をとれていれば短時間でもいい』という説も聞きますが、質だけでなく、長さも大事です。ある海外の研究では8.5時間の睡眠時間がベストという実験結果が。忙しい30代・40代にとっては現実的ではないので、せめて今の睡眠時間+1時間を目標にしてみましょう。交感神経から副交感神経へスムーズにスイッチできるよう、ベッドでのスマホはやめ、部屋は真っ暗に。夏場はエアコンを27℃くらいにして寝苦しくない環境づくりを。また生体の時計遺伝子を整えるには、深夜0時より前に眠りにつくのがベスト。睡眠時間がなかなかとれない場合、日中の休息時間と睡眠時間の合計が10時間になるようにしてみるのもひとつの手です」(姫野友美先生)
運動
下半身の血流をしっかり促して自律神経が乱れない土台を作る
ラジオ体操の第2までやるのがおすすめ。隙間時間にスクワットをするだけでも効果あり
「特に大事なのは下半身運動。下半身の筋肉は大きいため、運動によって筋肉量を増やして血流を促すと全身の血流もよくなります。夏の戸外は暑すぎるので、室内でラジオ体操もいいですよ。ラジオ体操は有酸素運動とストレッチを兼ね備えており、第1から第2まで通して行えば全身をくまなく使うことができます。朝起きてやれば交感神経へのスイッチングもスムーズになり、シャキッと1日をスタートさせられます。まとまった時間がとれない場合は、食事づくりの合間のスクワットでも十分。ハードな運動をたまにやるのではなく、負担にならない程度の運動をコツコツ続けることで、環境の変化やストレスに耐えられる自律神経を育てます」(姫野友美先生)
LEE100人隊がやってみました!
自律神経が整う生活2週間続けたらどうなった?【100人隊が実践】
だるさや疲れ、めまいなど、夏の不調に毎年悩む100人隊の2人が、食事、運動、睡眠から自律神経の改善にアプローチ!
Before
ちょこっとメンテ程度では、追いつかない予感
No.060 みぃみさん
36歳。6歳&2歳わんぱく盛りの息子のママ。食べ物や化粧品、体にいいことの情報を集めて実践するのが好き。でも最近は酷暑のせいか年齢のせいか、夏のしんどさが年々増加傾向に。
子どもと公園で遊んでいるときなど、立った瞬間にめまいを感じたり、朝起きても体がだるかったり。むくみや便秘も、毎夏恒例になりつつあります。家事の合間や家族が起き出す前にストレッチをしたり、心を整えるためにセルフケアをしているけれど、暑くなると結局いつも、体調が下降ぎみに。
Day
4
不足しがちなビタミンCを、グミやサプリで
「グミやサプリメントでビタミンCを積極的にとることを意識するように。2日前から生理が開始、いつもはPMSやむくみがひどいけれど、栄養を意識して、かつしっかり寝るようにしてみたらいつもほどのつらさはなかったような」
Day
8
たんぱく質たっぷりの、朝ごはんを意識
「朝食はスクランブルエッグのせ全粒粉パントースト、グラノーラを入れた豆乳ヨーグルト。今までは炭水化物中心でしたが、たんぱく質を多めに。睡眠時間も今までより1時間多くしたら朝がスッキリ、日中も疲れにくくなってきました」
Day
12
朝ピラティスで、仕事効率が上がる!
「仕事の前にピラティスのレッスンに参加。朝食にたんぱく質をしっかりとったためか、昼までおなかも空かず間食なしで過ごせたことに驚きました。その後もおなかの調子がいいので、昼まで集中して仕事に取り組めました」
2weeks later
生活習慣を見直すだけで、こんなに体調がいいとは
朝のたんぱく質は間食が減る効果もあるようで、体が常に軽くて調子がいい! 食べる、寝る、動く、お風呂で温め。生活の基本を見直すだけで、体調に差が出ることを感じた2週間でした。これから夏本番を迎えても、特別なことをしなくても乗り切れそうだと自信がつきました。
Before
自律神経の乱れかも?とケアしていますが、改善までは遠い……
No.084 たわさん
40歳。10歳娘、8歳息子のママ。頑張りすぎずに暮らしを楽しむのがモットー。冷えやすい体質なので真夏の夜でもネックウォーマーと、アームウォーマー、レッグウォーマーは欠かせない。
冷房の効いた部屋の中に長くいると頭痛やだるさ、のどの違和感から、あっという間に夏風邪に。冷房にはかなり警戒しているので、飲み物も氷なしが標準です。こんなに気をつけていても仕事中や外出先で立ちくらみが起きることはしょっちゅう。自律神経が整う生活で、どうにか改善したい!
Day
1
朝ごはんのたんぱく質量を、アプリで管理
「今までの朝ごはんはパンにコーヒー、ヨーグルト程度。でもたんぱく質が大事とのことで、ゆで卵やチーズ、大豆、豆乳などで、たんぱく質量を増やすことを意識。栄養管理アプリを活用して、20gを超えることを目指しました」
Day
6
ヨガマットを、リビングに常備して筋トレ
「ヨガマットはしまい込まずにリビングの目につく場所に置いておき、運動をしやすい環境づくり。以前から朝10分のヨガは習慣にしていましたが、より下半身の筋肉を強化することを意識して、夜の下半身トレーニングも追加することに」
Day
13
行動と体の変化を記録し「見える化」
「朝ごはんのたんぱく質量、運動の有無、睡眠時間を毎日ノートにメモ。健康には気をつけていたつもりだったけれど、実際に記録をつけて見える化すると、『今まではここまでやってなかったな』と実感。できることってまだまだあるんだな~」
2weeks later
寝つきがよくなり、夕方のだる重さが激減!
運動を増やしたおかげか寝つきがとてもよくなりました。以前よりスムーズに寝られるため体力が増し、夕方の充電切れがなくなったのが大きな変化。副産物ではありますが、髪と肌のツヤもよくなり、実はいちばんうれしいのがこれかも(笑)。内側から土台を整えることの大切さがわかりました。
Are these the correct methods?
体と心にいいと思ってやってますが
この健康法&ストレス発散法で、自律神経、整ってますか?
巷にはたくさんの健康法やストレス解消法といわれるものがあるけれど、本当のところはどうなの? 医学的な観点からジャッジ!
腸活でいつもおなかすっきり!
腸内環境を整えることを意識することは大事
「発酵食品をよく食べる、食物繊維をとるなど、腸活をすることで今まで以上にお通じがよくなり、肌の調子も上向きになっている人は、腸活を続けて問題ありません。一方で、腸活に励んでいるのにおなかの調子がよくならないという人は、小腸の細菌が増えすぎる『小腸内細菌増殖症(SIBO)』の可能性も。ガスがたまる、膨満感、下痢や便秘などがある場合は、SIBOの可能性も。内科や胃腸科に相談を」(姫野友美先生)
白湯で温活しています
内側からの温めは、自律神経にもいい
「白湯の健康効果があらためて見直され、今やコンビニでも買えるようですね。おなかを内側から温めるので、夜寝る前に飲めば副交感神経にスイッチしやすくなり寝つきがよくなります。朝飲めば、夜中の脱水を解消する作用が。朝はおなかいっぱいになると朝食がしっかり食べられないので、1杯で十分。アミノ酸サプリを入れたり、エネルギー変換が早いココナッツオイルを入れて飲むのもおすすめです」(姫野友美先生)
定期的な断食で体重管理!
3食食べることで自律神経に必要な栄養が補給できる
「食事からとる栄養素は神経伝達物質を作るもとともなるため、自律神経にとって食事はとても重要。たんぱく質、ビタミン、ミネラルは1回の食事で体に吸収される量に限度があるので、朝昼晩の3食きちんと食べてコンスタントに補給する必要があります。朝はしっかり食べ、昼と夜を調整するようにして体重管理をするほうが、断食よりも体に負担がかかりにくいです」(姫野友美先生)
筋トレで体力アップ
自重で行う筋トレで十分
「ストレス解消にも自律神経にも運動はいいですが、筋トレはダンベルやマシンなどの器具を使わず、自分の腕や脚などの重さ=自重を利用して行うくらいでOK。負荷が大きすぎるとひざや腰、筋肉を傷める可能性があるからです。最近人気のマシンピラティスのマシンは、負荷をかけるものではなく、体を支えたり効率的に伸ばすためのものなので取り入れてOK」(姫野友美先生)
カラオケで大声を出してリフレッシュ
声と一緒にストレスも出ていく
「歌を歌うときはおなかをしっかり使った腹式呼吸になります。肺も大きく膨らむため心肺機能が高くなるメリットに加えて、声と一緒に体の内側にたまったストレスが出ていく効果も。口をたくさん動かすことで、さまざまな健康効果があるとされる唾液の分泌も盛んに。副交感神経が優位になるので、普段、緊張が強い人にとってはいいリフレッシュ法です」(姫野友美先生)
アロマテラピーで癒されます
精油ごとの作用を知ったうえで利用を
「精油によって効果が異なるので、攻守のタイミングに合ったものを選ぶことがポイント。心と体を鎮めたい夜に力がわく香りではかえって眠れなくなることも。朝は交感神経を優位にしてくれる香りを選ぶなど、それぞれの精油の効果効能を確認してから使いましょう。リラックスやリフレッシュのためには、好き・いいと感じる香りであることも大事です」(姫野友美先生)
飲酒で嫌なことを忘れます
リラックスはできるが、量は少なめが◎
「健康を考えると量は少ないに越したことはありません。アルコールは自律神経だけでなく、その他の中枢神経にも作用するので、眠くなったりめまいが出たりすることも。翌日にプレゼンや本番など大事なことを控えている場合は、緊張をほぐすためなどで飲むのはおすすめしません。ほっとひと息するときにだけ、極力少ない量にとどめておきましょう」(姫野友美先生)
サウナで発汗
「虚証」体質の人には合わないことも
「温かい蒸気で副交感神経を、その後に冷水を浴びて交感神経を優位にするのは、自律神経のスイッチングを鍛えるのに効果があります。ただ、漢方医学でいうところの『虚証』=体力がなく弱々しい体質の人だと、疲労感が強くなってしまうことも。やってみてどうも合わないようだと感じたら、無理にサウナに入る必要はありません。温泉も同様で、入って疲労が強くなるなら避けて」(姫野友美先生)
Staff Credit
イラストレーション/Aikoberry 取材・原文/遊佐信子
こちらは2024年LEE8・9月合併号(7/5発売)「夏こそ「自律神経」の整えどきです」に掲載の記事です。
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