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体を預ければ、安らぎに包まれます

「ユトレヒト ソファ」今の自分にぴったりのファブリックを選んで【石井佳苗さんのインテリア名品】

  • 石井佳苗

2024.06.28

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連載

KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items

スタイリスト

石井佳苗の「インテリア名品」

テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、おうち取材で何度も登場している、あのお気に入りソファが登場。

石井佳苗さん

石井佳苗さん

Kanae Ishii

スタイリスト

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。

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16.

[ソファ]Sofa

 ユトレヒト ソファ

Brand:Cassina
カッシーナ
Item:Utrecht
ユトレヒト ソファ

今の自分にぴったりのファブリックを選んで。張り替えできる名作ソファは、家族の財産に

わが家のシンボル、と言えるソファがこちら。あるときは鮮やかな赤、またあるときはベージュの起毛素材。そして現在は、ホワイトベージュのレザー。お気に入りすぎて、しょっちゅう買い替えている……わけではなく、2度にわたって生地の張り替えをしているのです。

手に入れたのは、勤めていたカッシーナを退社する頃。憧れ続けていたこのソファをようやく家に迎え入れたとき、「これからの人生をずっと一緒に過ごすんだ」と、決意のようなものを抱いたのを覚えています。

ユトレヒト ソファの魅力は、オリジナリティあふれるデザイン。正面からはごく一般的なソファに見えますが、斜めから見れば、その計算し尽くされた姿にハッとするはず。後ろの脚はなく、座面と背もたれを交差させることで支えられています。絶妙な角度で傾斜する座面とL字のひじかけのシルエットで、まるでソファそのものがくつろいで座っているかのように見えませんか?

実は、私と同じくらいこのソファを愛しているのがわが家の猫たち。うとうとと眠り、気がつけば気持ちよさそうに爪を研ぎ……。張り替えをした一つの理由も、彼らの愛情表現である爪跡があまりに激しくなってきたから(笑)。

いいソファは確かに高価だけれど、張り替え続ければ一生ものどころか、子どもや孫の世代まで引き継げるもの。30代だった私には相当勇気のいる買い物でしたが、あのとき手に入れた自分の思いきりに、感謝する毎日です。

購入当時の色は赤のユトレヒト ソファ

購入当時の色は赤。「このソファを手がけたデザイナー、へーリット・トーマス・リートフェルトの代表作が『レッドアンドブルー』ラウンジチェアということで、このソファも、やっぱり赤か青!とセレクト。愛らしい印象のブランケットステッチを選びました」(石井佳苗さん)(写真は月刊LEE2021年5月号より)

現在は大人っぽいレザーに。

現在は大人っぽい(そして、猫たちの“爪研ぎ欲”をそそらない)レザーに。「ステッチも気分を変えてジグザグに。張り地でイメージが一変しますよね」(石井佳苗さん)



Designer:

Gerrit Thomas Rietveld

Netherlands, 1935

ソファそのものが、くつろぎのたたずまい。体を預ければ、安らぎに包まれます

ユトレヒト ソファ (幅640×奥行き850×高さ700㎜)¥803000~/カッシーナ・イクスシー青山本店

デザインを手がけたリートフェルトは1888年オランダ生まれ。「レッドアンドブルー」ラウンジチェアをはじめ、建築家や画家などアーティストで結成された新造形主義の芸術運動「デ・ステイル」に影響を受けた作品を多く発表。ユトレヒト ソファは1935年、オランダの老舗百貨店「メッツ」の依頼で生まれた。(幅640×奥行き850×高さ700㎜)¥803000~/カッシーナ・イクスシー青山本店

猫

Staff Credit

撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE7月号(6/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。

石井佳苗 Kanae Ishii

インテリアスタイリスト

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも行っている。

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