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私のウェルネスを探して/はなさんインタビュー前編

はなさんが「タイパ重視レシピ」多数の今、あえて「丁寧なお菓子レシピ」を出版した理由

  • LEE編集部

2023.11.25

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はなさん

今回のゲストは、モデル・タレントのはなさんです。

はなさんは17歳でモデルデビューし、ファッション誌『mc Sister』や『non-no』で活躍。その後、『MTVジャパン』や『王様のブランチ』といったテレビ番組に出演します。パンダ好き、仏像好きとしても有名で、日本パンダ保護協会のパンダ大使や国宝応援大使を務めるなど、活躍の場を広げています。そんなはなさんが小さい頃から続けていたことにお菓子作りがあります。

前半では、はなさんが10月に発売したレシピ本『はなのお菓子』(扶桑社)について話を聞きます。お菓子を作るようになったきっかけやレシピ制作の裏話、レシピ本を作るにあたってこだわったポイントについて掘り下げます。食べることが大好きなはなさんが考える、お菓子作りがもたらす幸せとは。

お菓子好きの原体験は、インターナショナルスクールのベイクセール

はなさんがお菓子好きになった原体験。それは小学生の頃に経験した、ベイクセールというイベントでした。

「年に2回くらいかな。小学校の行事で各家庭の母親が作ったお菓子を販売し、売上げを学校に寄付するというイベントがありました。私はインターナショナルスクールに通っていて、いろいろな国籍の子がいたので、お菓子もとってもバラエティ豊かでした。当時あまり見かけることがなかった海外の手作りお菓子を食べるという経験はとても刺激的でした」

はなさん

初めてお菓子を作ったのは10歳の時。ベイクセールで食べた、マシュマロ・クリスピーというお菓子です。

「ただバターとマシュマロを溶かして、ライスシリアルと混ぜるだけの簡単なものでした。ベイクセールで買って食べて、すごく美味しかったのを覚えています。でもお店では売っていなくて、作り方を聞いたらとても簡単。これなら自分で作れそうと思いました。最初に作ったのが失敗のないお菓子だったのも良かったんだと思います」

撮影現場に手作りお菓子を持参したのがきっかけで雑誌連載→レシピ本出版

モデルを始めた高校生時代には撮影現場に手作りのお菓子を持参して、みんなに振る舞っていました。それがきっかけで、雑誌『non-no』でお菓子作りの連載が始まります。

「撮影時間が長くなると、用意されていたお菓子が無くなることもありました。そんな時のためにお菓子を作って差し入れしたら、みんなが“おいしい!”と喜んでくれて。それを編集の方が見てくれていて、連載がスタートしました。

よく作っていたのは、きなこのオートミールクッキーや抹茶のクッキー。当時は和の食材を使ったお菓子があまりなくて、オリジナルのレシピで作っていました。“ないなら作る”“他の人が作れるなら自分も作れる”という発想ですね。そう思えたのもベイクセールのおかげです」

モデル=体型維持のためにお菓子をあまり食べないのでは、と思う人もいるかもしれません。しかしはなさんの考えはシンプルで「食べたいから作る」という発想です。



手作りしてみて驚く砂糖やバターの量…でもうっかり減らすのは失敗の元

「体型は、家系的にずっとこういう感じで変わらないのがラッキーなのですが、食べ物はバランスには気をつけているものの、特別何かこだわっているということはないんです。お菓子は作って食べますし、買って食べることもあるし、もちろんジャンキーなものも食べますよ(笑)。手作りのお菓子って、いろいろな種類の砂糖を使っているし、バターもたっぷりなものも。だけど、おいしいものには貪欲に、食べたいものに貪欲に!の精神です」

はなさん

お菓子作りをして驚くのが、使っている砂糖やバターの量。山盛りになった砂糖やバターの塊が溶けていく様子をみると、罪悪感におそわれ「ちょっと量を減らして作ろうかな……」と思う瞬間もあります。

「うっかり控えめにすることで、失敗しちゃうこともあります。お砂糖数グラムの調整は問題ないと思いますが、50g減らしたりすると仕上がりが違うものになると思います。ベーキングパウダーは正確にしたほうがいいですね。手作りしてみると最初はぎょっとするかもしれませんが、まずは成功することを目標にレシピ通り作ることが大事だと思います」

コロナ禍でも「おうち時間がより豊かになるように」と願いを込めてレシピ考案

『はなのお菓子』は、「天然生活web」の連載が一冊の本になったもの。連載がスタートした直後コロナ禍に突入したこともあり、「おうち時間がより豊かになるように」と願いを込めてレシピを考えました。

『はなのお菓子』

「家から出られないし海外にもなかなか行けない。だからこそ、自分が今までチャレンジしたことのなかった海外のお菓子にも挑戦しています。パリのタルトタタン、台湾カステラ、スペインのバスクチーズケーキ、アメリカのチェリーパイ、中華のマーラーカオ。なかなか行けない海外に思いを馳せて、“あそこに行ってあれを食べたいな”“こっちの味も懐かしい”と思いを込めてレシピを考えました。世界のお菓子が家で作れるというのを楽しんでほしいです。私はお菓子教室に通ったことがないんです。だけど続けていればこれくらい作れるんだよ、と参考になればと思います」

はなさん作 パンダクッキー
パンダ好きのはなさんならでは!『はなのお菓子』にはキュートなパンダクッキーのレシピも掲載されています。撮影もはなさん自ら手がけています(写真提供/はなさん)

収録されているレシピは、長年作り続けているショートケーキや抹茶のクッキー、プリン、シュークリームなども。定番のレシピも、はなさんが今食べたい味にバージョンアップされています。また、本に掲載されているメインカットやプロセスの写真、レシピのテキスト、動画撮影はすべてはなさん自身によるものです(表紙とインタビュー記事はのぞく)。

お菓子づくりに慣れていない初心者にも分かりやすい丁寧なレシピ+自ら動画も撮影

「親戚から、“どうしてもショートケーキのスポンジが膨らまない”と相談されて。私は作り慣れているから膨らむのですが、どこを気をつければ膨らまなかった人が膨らむようになるのかが分からなくて。私がいつも作っている作り方を見てもらうために動画を作りました。それが好評だったので他のレシピにもつけました。その時期は、自分で動画撮影をして編集して、それをInstagramにアップしていたんです。今回それがQRコードで見られるようになりました。便利だと思うので、動画もぜひ活用してみてください」

最近は料理本もお菓子本も、レシピの簡単さ、調理の短さが求められるものが多い中、はなさんのレシピはとても丁寧に解説されているのが特徴です。

はなさん作/マドレーヌ
『はなのお菓子』掲載レシピのうち、はなさんが最も試行錯誤したというマドレーヌ。(写真提供/はなさん)

「編集担当の方がお菓子作りに慣れていない方で、その方でも分かるように。分かりにくいところを丁寧に紹介し、初心者でも作りやすくしました。字も大きくて見やすいと思います。レシピは、定番系もありますが何度も試作を繰り返したものもあります。マドレーヌには、かなり苦戦しました。定番であるほど実は難しくて、材料を変えてみたり、バターを焦がしてみたり。一つずつやってみて、自分なりのベストなレシピが完成しました」

お菓子は食べなくても生きていけるけど、お菓子があると日常や人生が豊かになる

はなさん自身、食べることが大好きで「1日の予定は食べることから決めていく」そう。お菓子作りで経験した豊かな時間、人に喜んでほしいという気持ちが一人でも多くの人に伝われば、という思いを込めてこの本を送り出します。

はなさん

「お菓子を作る時、自分が食べたいものを作る時もありますが、人にプレゼントするために作ることも多いんです。作っている時間って実は無心で、集中している時間が心地いいんです。焼いていると、キッチンにバターの香りが満たされていく幸せ感もあったりして、日常とはちょっと違う時間を過ごせるのも好きです。ごはんは食べないと生きていけないけれど、お菓子は食べなくても生きていける。お菓子があると日常や人生が豊かになる、そんなふうにお菓子作りを楽しんでもらえたらと思います」

My wellness journey

私のウェルネスを探して

はなさんの年表

1971年 神奈川県横浜市生まれ
2歳 インターナショナルスクールに通い始める
17歳 インターナショナルスクール高校2年の時に『mc Sister』の専属モデルとしてデビュー
18歳 上智大学比較文化学部に入学
20歳 『MTVジャパン』で司会を務める
22歳 大学を卒業
26歳 『non-no HANAちゃんのおしゃれお菓子BOOK』(集英社)を発売
27歳 『王様のブランチ』に出演(〜2001年1月)
29歳 『NHK中国語会話』に出演
30歳 『トップランナー』で司会を務める(〜2002年3月)
31歳 『新日曜美術館』で司会を務める(〜2006年3月)
32歳 日本パンダ保護協会のパンダ大使に任命される
35歳 『おくるおかし』(集英社)を発売
43歳 『ちいさいぶつぞう おおきいぶつぞう』(幻冬舎)を発売
45歳 Fm yokohamaのラジオ「Lovely Day♡ 〜 hana金 〜」のナビゲーターに就任
46歳 国宝応援大使に就任
49歳 『はな、茶の湯に出会う』(淡交社)を発売。奈良国立博物館評議員に就任
51歳(2022) 『今日もお稽古日和』(淡交社)を発売
51歳(2023) 『別冊天然生活 はなのお菓子』(扶桑社)を発売
はなさん

Staff Credit

撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子 衣装協力/BUNON

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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
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