シンプルで素朴ながら素材の風味をしっかり感じられるスイーツに定評がある、京都の大人気カフェ『歩粉（ほこ）』。“優（やさ）しい”味わいを、おうちでも再現できる“易（やさ）しい”レシピで、店主・磯谷仁美さんに提案していただきます！

#21 重ねるだけでケーキ風！「フルーツのトライフル」

トライフルとは、洋酒やシロップを染み込ませたスポンジケーキ、フルーツ、ゼリー、カスタードクリームなどを層状に重ねた、イギリス発祥のデザート。

器の中で重ねていくだけなので、ホールのショートケーキを作るときのようにデコレーションの仕上がりの美しさなど気にせず、好きなものを盛り込んでみんなでワイワイいただくのにぴったりです。

今の時季、いろんなタイプのフルーツもお店に出まわっていますので、ぜひ好みのフルーツとともに楽しんでくださいね。

材料

＜スポンジ生地＞ （15cm丸型）

• 卵 120g（大２個）
• きび糖 70g
• 薄力粉 70g
• バター（食塩不使用） 25g

＜シロップ＞ （作りやすい分量）

•  ガムシロップ 30g（大さじ約1.5）
• 水 30g（30ml）
• レモン汁 or ラム酒等のリキュール 3g（3ml・小さじ3/5）

＜ホイップクリーム＞ (作りやすい分量）

• 生クリーム 200ml
•  きび糖 18g

＜トッピング用＞

• 好みのジャム（今回はブルーベリージャム）適量
• 好みのフルーツ（いちじく、ぶどう、プラム、梨、キウイなど何でも。缶詰でも）適量
• 水ゼリー（できれば。2023年8月の連載で紹介したレシピの材料に、グラニュー糖か上白糖30g を追加）

下準備

• 型にクッキングシートを敷く。
• バターは湯せんにかけ（ラップをして電子レンジで30秒加熱でも可）、溶かす。
• オーブンを170℃に予熱する。

作り方

1. スポンジを作る。ボウルに卵を入れ、泡立て器でほぐし、きび糖を加え白っぽくなるまで混ぜる。
   
2. 鍋に湯を沸かし、上に１のボウルを重ねて泡立てる。卵を指で触ってみてちゃんと温かくなっているか確認する（40～50℃くらい）温かくなったら湯せんから外して、電動ミキサーに切り替え、高速で泡立てる。生地をすくい上げるとリボン状にしっかり跡がのこるくらいまでしっかりと泡立てる。最後に低速に切り替えて全体のキメを整える。
   
3. 薄力粉をふるい入れ、ゴムべらで底からすくい上げるようにして粉気がほぼなくなるくらいまで手早く混ぜる。
   
4. 準備しておいた温かい溶かしバターをゴムべらで受けながら流し入れ、底からすくい上げるようにしてさっくりと全体にバターが行き届くように手早く混ぜ合わせる。
   
5. 準備していた型に流し入れ、型ごと2～3回軽く落として気泡を抜く。
   
6. 170℃のオーブンで、25分焼く。生地の中央に竹串を刺し、何もついて来なければ焼き上がり。オーブンペーパーを敷いた網か天板にケーキの型ごとひっくり返して置き、乾燥させないようにこの状態のまま冷ます。冷めたら型から取り出しラップで包んで冷蔵庫で保存する。（一晩おいた方が生地が落ち着いて切りやすくなる）
   
7. スポンジ生地を好みの厚みに（４～５枚に）スライスする。シロップは、全ての材料を混ぜておく。ボウルに生クリームを入れ、ボウルの底を氷水で冷やしながら７分立てくらいのトロっとした感じまで泡立て、きび糖を加えてなじませる。
   
8. 好みのガラスの器の中に重ねていく。まずスライスしたスポンジ生地を敷き（小さい器の場合は、直径に合わせて円形に切るなどして敷き詰める）、シロップをハケでぬる。スポンジ生地にしっかりシロップがしみこんでいるか指で触って確認する。ホイップクリームを適量すくい入れ、好みのサイズにカットしたフルーツ、ジャム、2023年8月のレシピでご紹介した「水ゼリー」（グラニュー糖か上白糖30gを加えたもの）をスプーンで細かくすくって適量入れる。
   
9. 高さによってもう１～２段重ね、最後にスポンジ生地でふたをする。シロップを同じようにハケで生地にしみこませて、さらにホイップクリームをのせ、フルーツで飾ってできあがり。
   

今回のお菓子で試していただきたかったのが、スポンジ（ジェノワーズ）生地。卵黄と卵白に分けるのではなく、全卵をボウルに入れて作るタイプのもの。これができれば、お誕生日やクリスマスに焼くデコレーションケーキとしても活躍すると思います。

全卵を湯せんで温め、しっかり泡立て、温かい溶かしバターを入れたら手早く混ぜる（混ぜすぎ、混ぜなさすぎもよくないので、ほどよく全体になじむくらい）といった注意ポイントはあるものの、材料はシンプルですし、これが作れたらケーキ作りができるようになった！と何だか自信がつきそうです。

トライフルは、しっとりとした食感でクリームと一緒に楽しんでいただきたいので、スポンジにたっぷりシロップを含ませることも私は大切だと思っています。

ジュワッとほの甘いスポンジ生地と甘さ控えめのクリーム、季節のフルーツ…アイスティーでも入れれば、残暑もこれで乗りきれそうです。

トッピングは、自由自在に…ぜひお試しくださいね。

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『「歩粉」磯谷仁美さんの、おうちで作れるやさしいお菓子』は、毎月１回更新。
次回は10月1日に更新予定。お楽しみに！

製作・撮影／磯谷仁美　バナー写真撮影／津久井珠美