子宮と卵巣の病気&生理痛治療に「超低用量ピル」試すも副作用が…子宮摘出するしかない？【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#109】

宋美玄

2023.07.31

音声

産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」は、宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。祝・100回突破記念としてリスナーの皆様から寄せられた婦人科系のお悩みに、宋さんがお答えします。今週は「婦人科系の病気とピル」についてのお悩みを取り上げます。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#109
今週のよりぬき

・29歳既婚子なし、生理痛ずっとひどくロキソニン手放せません。数年前に子宮内膜症、2年前に卵巣嚢腫及びチョコレート嚢腫と診断されました。妊娠の可能性を残すため、内視鏡で嚢腫のみ摘出するものの即再発。主治医の勧めで超低用量ピルを3種類試すもいずれも吐き気、めまい、動悸など副作用がひどく一旦停止中。ここ10年程生理にまつわる体調不良がひどく、解決策かと思われたピルも続けられず、もうどうして良いのかわからない状態です。年齢的に妊娠可能性を残して治療してきたものの、解決策のない苦しみにもう妊娠の可能性は消しても良いのではないかと思っています。どのような治療の選択肢があるのか教えてください」との相談メール
「もし当分妊娠はしなくても良い、いうことであれば手術後ホルモン治療するケースが一般的なんですが、この方は妊娠の可能性を残して、とのことなのでホルモン治療されなかったんでしょうね。たとえ内視鏡で嚢腫を摘出しても、ホルモン治療をしなければ高確率で再発します」と宋さん
「現在保険適用の超低用量ピルは3種類あります、この方も多分全部試したんでしょう。私も第1世代以外のピルを飲むと副作用で吐き気が酷いので、辛さはよくわかります」と宋さん
保険適用外になってしまいますがマーベロンというピルがあるので試してみては？　もしくはジエノゲストなどの黄体ホルモン剤も試す価値ありです。私の患者さんで全て試してダメだった方はこれまでいらっしゃらなかったので、まだ可能性はあるのでは？」と宋さん
「生理に伴う諸症状にはミレーナも選択肢に入れてみては。ただ、チョコレート嚢腫が再発してる状態だとあまり効果がありませんが。嚢胞の大きさによっては再手術する方もいます」と宋さん
「昔に比べピルの選択肢が増え副作用も軽減しました。手術も昔は癒着等トラブルが多かったけど改善されています。この方は29歳ですし、まだ妊娠の可能性は捨てなくても良いと思います」と宋さん
「そろそろ子どもを、と思うなら全力で妊活を。妊娠中はホルモンバランスが変わり諸症状も軽減します。子どもはまだいいや、と思うならホルモン治療を。まずは意志決定を」と宋さん
「年齢的に子宮摘出のは最後の手段として残し、可能な限り他の選択肢を試していただきたい。ご自身で『もういいや』と思うならもちろん摘出しても」と宋さん
「ピルの飲み始めに吐き気等の副作用があっても、飲み続けているうちに2、3週間で落ち着くこともあります。セカンドオピニオン取ることも視野に入れ、ご自身が納得して試せる治療法が見つかりますように」と宋さん