来年の2024年から、これまでのNISAがリニューアルして「新NISA」に。とにかくお得で、プロも認めるすごい制度なんです!
答えてくれたのは
カン・チュンドさん
1999年にFP資格を取得後、2000年に独立。投資信託クリニック代表。完全オンラインでの個別アドバイスのほか、講演等を通じて長期・積立・国際分散投資のメリットを広める。著書に『積立て投資術』(明日香出版社)等。
Twitter:4649kang
公式サイト:https://toshin-clinic.com
\そもそも/
NISAってなに? どんないいことがあるの?
利益に税金がかからず、全部もらえる制度です
2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。よく耳にはするけれど、どんな仕組みのこと?
「通常の投資では、利益に約20%の税金がかかります。もし100万円の利益が出たら、約20万円もの税金が引かれるのです。実は銀行の預金でもらえる利息も、約20%の税金が差し引かれたうえで受け取っているんですよ。その税金が、NISAの仕組みを利用すれば一切かからないのです。これは大きなメリットです。
NISAでは、株などのほか、国内や海外などに幅広く投資先を分散できる『投資信託』が少額から購入可能。ただこれまでのNISAは、投資できる金額や期間に制約があって使いにくかったのが問題でした。来年から改善されて使いやすくなるので要チェックです」(カン・チュンドさん)
普通に(特定口座で)投資をすると
利益の約20%が税金に……
NISA枠で投資をすると
利益が全部もらえます!
お得なNISAの期間や金額がブラッシュアップされて、さらに魅力アップ! 使わないでいるのは、もったいないかも!
1 税金がかからない期間が無期限に(これまでは一般NISAが5年、つみたてNISAが20年)
買い時売り時に悩むことなく、ず~っと投資できる
「これまでのNISAは、税金がかからない期間が一般NISAは5年、つみたてNISAは20年でした。30代の人が投資を始めると、期間が長いつみたてNISAでも、50代になったら終わってしまうので、期限が気になって使いにくかったと思います。ところが新NISAではこれが無期限となり、60代でも70代でも80代でも、ずっとNISAで税金がかからない制度の恩恵にあずかれます。いつ売ったり買ったりしたらいいかと悩むことなく、期限を気にせずに長期間投資できて、老後まで資産を増やすしくみを使えますよ」(カン・チュンドさん)
2 投資額が年間360万円、生涯で1800万円と大きく増加(これまでは一般NISAが年120万円、つみたてNISAが年40万円)
老後資金の準備は、この枠をしっかり使えばOK!
「これまでのNISAでは1年間の最大投資額が40万円(つみたてNISA)、または120万円(一般NISA)と少なかったのですが、新NISAでは1年間で360万円、生涯で1800万円と大きく増えました。あれこれ難しく考えなくても、この枠だけで老後資金の準備ができると言っていいでしょう。もし1800万円の元手で年3.5%のリターンがあれば、20年間で3600万円近くになります。新NISAの枠をしっかり使って、老後を豊かに暮らすための資金を育てていきましょう」(カン・チュンドさん)
3 株や投資信託を売却すると、その分の投資枠が復活(これまでは売却しても、枠の復活なし)
“投資枠”にしばられず、売りたいときに売れる
「新NISAでは、個別の株や投資信託などが買えます。少額で積立投資をする場合は、投資信託を淡々と積み立てていくのがベターですが、ライフイベントによっては売却して現金化したいときもあるでしょう。新NISAなら、例えば100万円で買った投資信託が120万円になって売却したら、100万円の投資枠が空いて、売却した翌年以降に再びその100万円の枠で投資ができます。これは新NISAならではのメリットです」(カン・チュンドさん)
「このような優遇制度を国が整えている意図をしっかり読み解きたいですね。私は『仕組みは用意したので、自分で資産を増やして長生きの時代を乗り越えてください』という国からのメッセージだと受け取っています。この制度をうまく使えるかどうかで、将来の生活が大きく変わると思います」(カン・チュンドさん)
すでにNISAの経験がある人も、初めての人も今さら聞けない素朴な疑問をカンさんにぶつけました!
投資を始めている人から
Q1
今、一般NISAで持っている銘柄は、どうすればいいのでしょうか。(LEEメンバー ももかさん)
A
今年の年末までに売り、来年の新NISAで同じものを買うのも一案
「今の一般NISAで持っている銘柄は、長くても5年未満で期限がきますよね。NISAでできるだけ長く投資をするためには、今年の年末までに売ってしまい、その資金で来年新NISAで同じものを買うのも一案。そうすれば、NISAのメリットである税金がかからない期間が“無期限”になります」(カン・チュンドさん)
Q2
貯金感覚で、つみたてNISAで投資をしています。新NISAが始まってから、積立金額を増やすべきか悩みます。(LEEメンバー m裕子さん)
A
投資できる金額は増えますが、無理に増やさなくてもOK
「新NISAは年間最大投資額が360万円に増えますが、だからと言って無理に増やす必要はありません。仮に今、月3万3000円の積立がちょうどよければ、新NISAでも同じ金額でOKです。もし家計に余裕ができたり、ほかに投資に回せるお金があったりすれば、増やしていけるとよいですね」(カン・チュンドさん)
Q3
学資保険代わりに積立投資をしているのですが、18年で利益が見込めるか不安です。(LEEメンバー ななさん)
A
目標金額を設定し、達成できたら現金化しておくのも手
「過去のアメリカの株式市場では、ITバブル崩壊やリーマンショックなどの大暴落があった期間で、元本の回復までに13年かかった例があります。積立投資期間は長いほど元本割れする確率が低くなるので、15年以上は続けたいですね。また子どもが18歳より前でも、400万円など教育資金の目標額に達したら全解約するのもあり。その後マーケットの状況が悪くなっても、この方法なら安心です」(カン・チュンドさん)
まだ投資をしていない人から
Q1
初心者は、来年、新NISAがスタートするまで、待ったほうがいいのでしょうか?(LEEメンバー はるしゃんさん)
A
今始めておけば、新NISAも自動で開設されます
「ぜひ今年のつみたてNISAから、月3000円など少額でもよいので始めたいですね。今年投資した分はNISA口座で20年間取っておけます。また今年NISA口座を開いておけば、来年には新NISA口座が自動的に開設されます。そのまま積立を続けていける、よい流れを作れますね」(カン・チュンドさん)
Q2
投資はお金に余裕があるからできるもので、余裕がないと、リスクを負わないほうがよいと考えてしまいます。(LEEメンバー りんごの木さん)
A
「余裕を作るため」はNGですが、一般の人こそ投資が必要
「家計に余裕がない人が余裕を作るために投資をするのは危険です。ただ昔は投資は富裕層のものでしたが、長生きの時代の今は一般の私たちこそやるべきです。家計に余裕がないならまずは収支の見直しを。例えば格安スマホにすると月5000円ほど浮くので、それを投資に回しても」(カン・チュンドさん)
Q3
非正規雇用で働いているので、投資に興味はあるのですが、二の足を踏んでしまいます。(LEEメンバー あきさん)
A
収入やキャリアの変化に合わせて、積立金額を変えれば大丈夫
「もし契約が切れて仕事がない期間ができたら、積立額を減らしたり積立をお休みしたりと柔軟に対応ができます。キャリアや家計の状況に合わせて、金額を調整できるのも積立投資のよさですね。積立をストップする場合でも、それまで投資したものの運用は続けていけるとベストです。また仕事が決まって収入が安定したら、積立を再開すればよいのです」(カン・チュンドさん)
【特集】まだ始めてない人も、今こそ「投資」!
イラストレーション/船越谷 香 取材・原文/西山美紀
こちらは2023年LEE8・9月合併号(7/7発売)「まだ始めてない人も、今こそ「投資」!」に掲載の記事です。
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