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飯田りえ

うちの子本読まないから…と思っているママ必見!「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」で新しい本との出会いを

  • 飯田りえ

2023.07.28

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“こどもの本総選挙”事務局理事長の岡本大さん

「本好きになってほしい」そう願っている親御さんは多いのではないでしょうか?
本好きになる=素敵な物語で想像力がつく、そして楽しみながら語彙力がつく=学力も伸びるはず…!こういう邪な考え方がいけないのでしょうか(苦笑)。

わが子も全く読まないわけではありませんが、「本好き」とまでは言えない状況。
この夏休みをきっかけに「何か新しい本との出会いがないかなぁ」と思っていたら、とても面白い取り組みを教えてもらいました。

2017年から2年に1度行われている「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」。今年で4回目になりますが、過去3回で延べ54万人の小学生が投票しているそうです!

まさに子どもによる、子どものための本大賞ですが、これまでのランキングを見ていても「あぁ、これね!」と子どもたちが図書館から借りてくる本ばかり。

どのような取り組みなのでしょうか。NPO法人こどもの本総選挙事務局理事長の岡本大さんにお話を伺いました。

岡本大さん/NPO法人こどもの本総選挙事務局理事長。

岡本大さん/NPO法人こどもの本総選挙事務局理事長。1991年生まれ。神奈川県出身。大学卒業後、株式会社ポプラ社に入社。入社以来、児童書の編集部に所属し、幼児向けから高校生向けの書籍編集に携わっている。また、2016年にポプラ社内でスタートした「70周年プロジェクト」に参加したことをきっかけに、その中からうまれたプロジェクト「こどもの本総選挙」に参画。書籍編集と並行し、こどもの本総選挙事務局の事務局長を務める。2019年に「こどもの本総選挙事務局」はNPO法人化をし、以降現職を務める。

「子どもの本のおすすめは、子どもに聞くのが一番!」とスタート

──どういった課題観からこの「“こどもの本”総選挙」がはじまったのでしょうか?

「もともと、児童書を扱うポプラ社の70周年事業の一環で『出版業界を元気にする企画』として走り出したプロジェクトでした。

これまでは専門家や大人がおすすめする課題図書などの選書はあるけれど、『子どもの本を選ぶなら、子どもに聞くのが一番では?』と若手社員で発案して進めていきました。
当時入社3年目だった私を含めた6人の若手社員が中心となり、1回目を開催したところ、学校の司書さん、書店さんや他の出版社さんからの反響が大きかったので、NPOとして2019年に事務局を立ち上げ、2回目以降を運営しています」

──確かに。夏休み前に課題図書の一覧をもらってきますが、「大人が読んで欲しい本」なので、正直、子どもたちの反応はあまり良くないです…。「子どもが選ぶ」というのがありそうでなかった企画ですし、「一番好きな本(最強の一冊)を教えてね」と投票のルールもシンプルでいいですね。

「投票ルールに関しては非常に悩みました。児童書というジャンルは、あくまでも出版業界が位置付けているもので、子どもたちが読む本ってもっと幅広いと思います。それで漫画本でも絵本でも大人の本でも、“国内で刊行されている一番好きな本”であれば年代・ジャンル問わずなんでもOKにしています」

第3回開催のベスト5がこちら。左上から1位『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(作:廣嶋玲子・絵:jyajya/偕成社)、2位『ざんねんないきもの事典』(監修:今泉忠明/高橋書店)、3位『あるかしら書店』(著:ヨシタケシンスケ/ポプラ社)、4位『りんごかもしれない』(作:ヨシタケシンスケ/プロンズ新社)、5位『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(原作:吾峠呼世晴・著:松田朱夏・脚本:ufotable/集英社)

第3回開催のベスト5がこちら。左上から1位『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(作:廣嶋玲子・絵:jyajya/偕成社)、2位『ざんねんないきもの事典』(監修:今泉忠明/高橋書店)、3位『あるかしら書店』(著:ヨシタケシンスケ/ポプラ社)、4位『りんごかもしれない』(作:ヨシタケシンスケ/プロンズ新社)、5位『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 ノベライズ みらい文庫版』(原作:吾峠呼世晴・著:松田朱夏・脚本:ufotable/集英社)

ドッジボール小学生に、新しい本との出会いを届けよう!

──実際に投票してくる子どもたちは、本好きな子ばかりですか?

「いえ、そこはいろいろですね。団体投票といって、学校単位で取り組んでくださっているところもありますので。

私たちは図書館に行き慣れている本好きの子どもだけでなく、『ドッジボール小学生に本を届けよう!』というイメージで企画しています。

休み時間や放課後に元気いっぱい遊んでいる小学生に、『図書館や本屋さんに行きましょう』と言ってもなかなか難しいので『小学生だけが投票できるよ!』『好きな本だったらなんでもいいよ!』と呼びかけ参加型にすることで、新しい本との出会いが増えるのかなぁと。

そして、普段、本をあまり読まない子が『本っておもしろいんだ』と感じる出会いになれば、最高です」

──その結果、第1回目から12万票も集まったそうですね!

「最初『1万票ぐらい集まればいいかな』と思っていたので嬉しい誤算でした。

少しずつWEBでの投票がふえていますが、大半は手書きでのハガキ投票なので、集計作業が本当に大変で(苦笑)。

現在は、NPO法人化し、継続的に開催していくには集計費などの運営費を賄う必要があるので、クラウドファンディングなどで寄付を募っています」

子どもが面白いと思う本は、大人にとっても面白い

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 ざんねんないきもの事典

──これまでの総選挙のトップ10を見ていると、人気の本は何年もランクインされています。

「そうなんです。『ざんねんないきもの事典』やヨシタケシンスケさんの本は、長く愛され続ける作品なので、大きくは変わらない印象です。

そういう中でも、アニメや映画で話題になった『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』や『鬼滅の刃』が入ってきたり、はたまた『スイミー』や『僕らの七日間戦争』など時代を超えて愛され続ける本も入っています。

そして共通して言えるのは、大人が読んでも面白い本がラインナップされています

──私も「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」読んでみたいと思いました。

「そうなんです。『子ども向けの本でしょ』と思わず、ぜひ親子で楽しんでほしいです。そして、この総選挙をきっかけに親子の本の会話が生まれると嬉しいです。

また、第3回目は16万人が投票してくれてるのですが、ここには載っていない2万冊以上のおすすめラインナップがあるんです。

ですからWEBサイトにはトップ10だけにとどまらず、ジャンル別や学年別にしたなんでもランキングや、データベース1000など、なるべく多くの仕掛けを作っているので、いろいろな本との出会いを楽しんでください」

──ありがとうございました!小学4年生の次男にも総選挙のことを伝えてみます!



実際に、ドッジボール小学生が投票してみました…!

早速、次男と一緒にホームページをチェックすると、学校で友達が読んでいたり自分が好きな本がたくさん載っていました。

「あ、知ってる!」「これ面白いんだよ!」と、思った以上に学校の図書館によく足を運んで、本を手に取っていたことに驚きました。

また、大人が読んで欲しい本を押し付けるのではなくても、子ども自身が主体的に好きな本を選んで出会って掘り下げていく方が、その子らしさが育つので大切だな、と改めて気付かされました。

投票方法は2種類あり、学校の取り組みとして行なっている「団体投票」と、WEBから個人で行える「個人投票」。わが家は個人投票で行いました。

タブレットやスマホ、PCから投票できますし、投票するページも子どもがすごくわかりやすく作られていたので、難なく投票完了。

『ミルキー杉山のあなたも名探偵 せかいいちの名探偵』(作:杉山 亮 絵:中川大輔/偕成社)

ちょうど図書館から借りていた大好きな『ミルキー杉山のあなたも名探偵』シリーズを選んでいました。

投票する際の推薦文には「読んでいるうちに、ミルキー杉山と一緒に事件をかいけつして、なぞをといたり、犯人をみつけたりして、たんていの手伝いをしているみたいで、気持ちよく読めるからです!」とのこと。

「へぇ〜。探偵の助手気分になりきって読んでいたんだね!」と、わが子の心の内が知れて、ここでも新たな発見がありました。

投票後も、データーベースで自分の好きな本が何位に入っているかをチェックしたり、昨年の結果発表会の動画をみたり、すっかり“こどもの本”総選挙を楽しんでいましたよ。

ぜひ、小学生のお子さんのいるご家庭は、夏休みを利用して好きな本を投票したり、これまでのランキングをチェックしたり、親子で新しい本との出会いを楽しんでくださいね。

2023年9月8日(金)まで投票できますよ!

総選挙第4回ロゴ

小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」投票はこちら

撮影/新谷真衣

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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