テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月一点ずつ紹介します。今回は、気づけばこんなに集まっていたという、アートなプレートを。
石井佳苗さん/Kanae Ishii
「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。
Instagram:kanaeishii_lc
公式サイト:https://www.kanaeishii-stylist.com/
file 07.[プレート](Plate)
Designer: ジョン・デリアン(John Derian)
Item: デコパージュプレート(Decoupage plate)
絵画と器、その中間の存在感で気軽に取り入れられるアート
デコパージュとはイタリアの古い技法で、簡単にいえば、好みの図案が描かれた紙や木などを貼りつけて加工したもの。なかでもガラスに施されたデコパージュの世界的なアーティストとして知られるジョン・デリアンの作品は、私のお気に入りです。
素材となっているのは、彼自身が収集しているアンティークやヴィンテージの図鑑や雑誌の図柄。人気が高まった今でもニューヨークのスタジオでハンドメイドで作られています。
忘れられないのは、2017年のクリスマスの頃。以前からその作品に惹かれていた私は、ニューヨークに出かけた際に、さっそく彼のショップへ向かいました。そのときに購入したのが、下の写真(3枚目)のデコパージュプレートのロバと人間と犬のプレート。デリアン本人がレジに立ち、あれこれ説明しながら梱包してくれたのがいい思い出です。
デコパージュプレートの楽しいところは、新作が次々と出てくるところ。そのとき、彼がセレクトした図案によって作風はどんどん変わっていきますから、目が離せません。壁に掛ければアートになり、デスクや洗面スペースに置けば、実用的な小物入れになる。そんな二面性もありながら、価格もなかなか手頃。
たとえるなら、アートと器の間にあるような感覚です。形や図案のテイストもいろいろですから、どんな人でも、きっとお気に入りが見つかるはず。「あの人が喜びそう!」なんて、ちょっとしたプレゼントにも素敵な、おすすめのアイテムです。
洗面所にはプレートハンガーで壁付け。同じ図案から切り出されたと思われる作品を、縦に3つ並べて。「絵のようでもあり、雑貨感覚の気軽さもあるのがおもしろいところです」(石井佳苗さん)
アクセサリーなど小物を入れるトレイとして実用に。「絵柄が隠れてのぞくぐらいでも、無地のお皿にのせるのとは違ったさりげなさが出るんです」(石井佳苗さん)。奥の丸みを帯びたものは同じくジョン・デリアンのペーパーウェイト。こちらはちょっとしたオブジェの気分で。
Designer: John Derian
New York, 1989
惹かれたものを気ままに手に入れて。集めるほどに、自分の「好き」がわかります
蚤の市で出会った18〜19世紀のアンティークペーパーに魅了され、デコパージュの世界へ足を踏み入れたジョン・デリアン。ニューヨークで3店舗のインテリアショップを展開するオーナーでもある。動物、植物、日用品など、モチーフは彼がそのとき心動いた図案によってさまざま。小さいものなら直径10㎝程度から(¥11000〜)。同シリーズは「FEELSEEN」(https://feelseen.jp/)で購入可能。
石井佳苗さんのインテリア名品撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美 デザイン/サイトヲヒデユキ
こちらは2023年LEE8・9月合併号(7/7発売)「スタイリスト石井佳苗の「インテリア名品」」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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