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池田清子

一味違う旅体験を!海外でスポーツ大会参加のすすめ【スポーツ・ツーリズム】

  • 池田清子

2023.09.30

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大会参加を通じて広がる旅の醍醐味

前投稿ではオーストラリアのプラントベース食事情についてお伝えしましたが、渡航の目的は夫婦でトレイルランニングの大会に出場することでした。

タスマニア島の大自然、山中を駆け巡るレースです。

夫は67km、私は25kmの部をそれぞれ選択しました。

本投稿では大会レポート、そして皆さんにもぜひ海外で大会に出てみることをお勧めしたく

  1. 大会に出ることのススメとその理由
  2. その時の注意点(ルール等)
  3. 異文化交流のお楽しみ

についてご紹介します。

海外のトレイルランニングレースに出るメリット

オーストラリアはタスマニア島、ホバートという街に位置するクナニ山を舞台に開かれる『クナニマウンテンラン』。受付完了後、夫と現地の友人で記念撮影。翌日に控えたレースを前に、ワクワクとドキドキが入り混じっています。

「海外でレースだなんて、ハードルが高すぎる」という声が早くも聞こえてきそうですが、私も30代半ばまで競技として走ったことがなかったので、レースに出る、ましてや海外で大会でなんて想像だにしませんでした。

そんな私のレースデビューは、日本ではなく海外(アメリカ)でした。

レースそのものが特別なことですが、異国の地を走ることは更に非日常なこと。

でも一歩踏み出した結果、人生をより一層豊かなものにしてくれました。

その土地(国)の素晴らしい場所をぎゅっと凝縮して知ることができますし、

体力も精神力もどん底の気分から、ゴール後は涙が出るほど最高潮の興奮まで味わうことができます。

たった数時間のイベントで、旅の思い出が何重にも濃くなるのです。

クナニマウンテンで有名な岩壁「オルガンパイプ」の景色を前に。

後ろに見えるのは、クナニマウンテンの有名な岩壁「オルガンパイプ」。縦線がパイプオルガンの様だからだそう。日本とはまた違った大自然や大会の雰囲気を味わえるもの楽しいです。絶景を目前に、幸せを噛み締めています。©️Corey Cordwell / kunanyi Mountain Run

いつもの旅行に新たな刺激を!大会に出てみるという選択肢

旅は人生の縮図と言いますが、レースもまた人生の縮図だと私は思います。

自分が主役に成らざるを得ない、心身ともに激動の時間。

他の誰でもない、己との戦い。

辛い、嬉しい、苦しい、楽しい、もう止めたい、絶対に諦めない……ネガティブとポジティブの感情が幾度となく繰り返され、この気持ちの揺れ幅はどんなに超スペクタブルな大作映画をもってしても、比較にはなりません。

また、他の選手がいることによって体力の最後の一滴まで絞り出されるあの経験は、練習ではとても味わえないレースならではの醍醐味。

嬉しさのあまり飛び跳ねながら、3時間37分でフィニッシュ!この4時間にも満たない短時間の出来事が、レースが終わった後も色濃く残り続けます。©️John O’Keeffe/ kunanyi Mountain Run

「海外レースに出る」ことは何もプロアスリートだけの特権でありません

日本でも市民ランナーが楽しむレースがあるように、海外にも多くのプロ選手と一般選手が並んで出場できるレースが存在します。

「海外でレース」それだけで、ドキドキワクワク。

いつもと違うことへのチャレンジが、大いに脳を刺激することでしょう(若返り効果も期待)。

それぞれの楽しみ方がありました

また、大会に出ることは必然的に土地の文化に触れたり、歴史を知ることにも繋がります。

今回は、タスマニア島はホバートという街に神々しく佇むクナニという山がレースの舞台。

先住民族の伝統を守るクナニマウンテン。

先住民族アボリジニの伝統を守る、クナニマウンテン。ここが今回の主なレースの舞台となります。©️Glenn Thomas / kunanyi Mountain Run

このクナニマウンテンは、オーストラリアの先住民族“アボリジニ”にとって神聖で大切な山でもあります。

レース前にはアボリジニの方々による選手の安全を祈願したスモーキング・セレモニーが開かれました。

参加者もまた煙を浴びながら「山を走らせていただく」という気持ちで、伝承されてきたこの土地の文化に敬意を払います。

レース主催者もこの山を走ることで皆がアボリジニの文化を忘れないように、そしてリスペクトすることを主催の目的の一つとしていました。

先住民族アボリジニによる歓迎の儀式、スモーキング・セレモニー。

レース前日の、スモーキング・セレモニー。先住民族・アボリジニによる歓迎の儀式で、訪問者の身の安全を祈願するもの。参加者は順にこの煙を浴びました。@wilkography / kunanyi Mountain Run

そして、レースコースは主催者が考えた最もこの山を楽しめる極上のルートを設定しています。

いわば、観光ルートを効率的に回れるということでもあります。

制限時間を目一杯使って、半ばハイキングのように景色の写真を撮りながら進む選手も大勢いました。

それぞれのペース、それぞれの楽しみ方でいいのです(もちろん、安全を考慮しながら)。

クナにマウンテンの立体ジオラマ。

レース会場には、クナニマウンテンとレースコースが白線で書かれた、立体ジオラマが置いてありました。このコースを一歩ずつ自分の足だけで進んでいくことを考えると、早くも感無量。



走る方必見!レースに出るならランニング系がおすすめです

レースといっても一般の選手が出場できる種目はある程度限られていて、夫のように自転車系も人気がありますが、最もメジャーなスポーツはランニング系。

街の舗装路を走るロードランニングか、今回のようなトレイルランニングです。

ランニング系は機材スポーツではないので、装備が少なく、荷造りという点でもハードルが低くなるかと思います。

海外レースにでる!と覚悟が決まったら、オンライン上でレースに申し込みます。決算も、オンライン上で完結。

人気のレースは募集開始から数分で定員一杯になってしまうことがあったり、中には一定のポイント(過去に出たポイント対象レースの結果に応じてもらえる)がないとエントリーできなかったりするものもあるので、注意が必要です。

レース毎に異なるルールも!事前に注意しておくべきこと

気をつける点は、事前にレースの注意事項をよく読むこと。

日本とは勝手が違うレースまでの手順や、コロナ禍を経て新設されたルールが設けられている場合があります。中でも大会が定める必要装備品は、絶対に見逃してはいけません。

舗装路のランニングレースではそこまで持つものはありませんが、山の中を走るトレイルランは安全の為にも必要装備品が定められていることが普通です。

クナにマウンテンのトレイルランニングレース。

67kmの部は、手を使わないと登れないような岩山のセクションも。コースサインがなければここまで来るのも結構難しいので、レースは効率的に山を楽しみ尽くすことができる手段とも言えます。©️Ryan Slater/ kunanyi Mountain Run

今回のレースでは、事前に必要携帯装備品のチェックが街のスポーツ用品店で行われ、レース前日の受付時にも最終チェックがありました。

私がこれまで出たことのあるレースの中で最も装備品の数が多かったのですが、雨具(防水かどうかの厳しい素材チェックもあります)や携帯電話などはもちろん、500kcal以上の補給食、1L以上の水分、ホイッスル、地図アプリのダウンロード、紙の地図、蛇に噛まれた時の包帯、防寒シートなど。

67kmの部に出場した夫の携帯必須の品目は更に多く、総重量は3kg程になっていました。

トレイルランニングレース、必携品チェック。

事前に指定のアウトドアスポーツショップで、必携品チェックを行います。ここで合格するとパスをもらえ、レース会場での受付がスムーズになります。足りないものは、このお店でも買うことができます。

しかし、距離に関係なく山は山。大自然では急な天候の変化や怪我など、いつ何が起こるかわかりません。

そのため、トレーニングで体を作っておくという準備と同じくらい装備は真剣に向き合わなければいけません。

トレイルランニングレース、必携品。

25kmの部に出走した私の必携品を含む、装備の全て。水は最低1L。これら全てをバックパックに入れて走りました。携帯品で珍しかったのは、ヘビに噛まれた時のバンテージ。事前に噛まれた時の対処法についてのビデオも視聴しました。幸い出番はなくて、ホッ。

レースでは、人との触れ合い(競り合い?)もまた楽しいものです。

だんだん同じレベルの選手がわかってきて、道を譲り合ったり時に励ましあったりするのですが、心の中ではバチバチに戦っています。

でもそのおかげで最後まで気力が持ち、ゴール後はお互いを称え合い、「あの道がやばかったよね」「景色がすごかったね」なんて振り返ったりします。

ついさっきまで赤の他人だったのが信じられないくらい、いつまでも話題が尽きない時間を過ごせるのもレースの醍醐味です。

タスマニア島、クナニマウンテンランのレース模様

後ろに映るクナニマウンテンを走ってきて、後半の登り坂を歯を食いしばって登り切ったところです。単なるソロ練だったら、間違いなく歩いていたでしょう!限界まで頑張れるのも、レースのおかげ。(あとカメラマンさん!)©️Glenn Thomas / kunanyi Mountain Run

色々な文化に触れる、という意味ではレース会場でのフードトラックも楽しいです。

本格的な釜焼きピザや、地ビールなどもありました。私はレース後、プラントベースのベジカレーをチョイス。

疲れた胃腸には少々刺激が強かったかもしれませんが、完食。とても美味しかったです。

レース会場に来ていたフードトラックの中から選んだのは、ベジタブルカレー

ゴール後に食べたベジタブルカレー。厚揚げとマッシュルームが串刺しになっています。フードトラックがたくさん来ていて、見るだけでも楽しい。

レースの結果としては、私は年代別で3位でした。純粋に、嬉しい!

夫は総合4位。ナショナルチャンピオンシップにも認定されたハイレベルな戦いの中で、中々良い結果だったのではないでしょうか。

タスマニア島で開かれたトレイルランニングレースを無事フィニッシュ。

25km、無事フィニッシュ。女子40代の部で3位でした。素直に嬉しい。全力を出し切った甲斐がありました!

今大会の、公式ハイライト動画が先日公開となりました。

https://youtu.be/migKAOE9YWI

圧巻の景色や大会の盛り上がりが伝わってくる、迫力ある動画です。よろしければぜひご覧ください。

食を通じた異文化交流

この体験は特別なものかもしれませんが、今回はホテルに泊まらず、友人宅にお世話になりました。

プロのマウンテンバイク選手で管理栄養士の資格も持っているので、一緒に買い物に行ったり料理を作る時も色々と参考になったり、オーストラリアならではの調味料を教えてもらったりしました。

友人のキャレン・ヒル選手とお家でクッキング。マウンテンバイクのプロ選手でもあります。彼女は総合5位!さすがです。食生活もほぼ一緒で、料理をしながらのアスリート食談義も楽しかったです。

私はお礼に稲荷寿司や蕎麦などの日本食を作って、異文化交流。有意義な時間となりました。

お世話になっているお礼も兼ねて夕食はほぼ私が担当させてもらい、この日は稲荷寿司を作りました。日本食が大好きな彼らも「初めて食べた」とのことで、異文化交流も旅の楽しみの一つ。

有機十割そばが地元のスーパーマーケットで手に入りました。たっぷりの野菜と固豆腐を合わせて、サラダそばに。

いつもと違う環境こそ、楽しんで

海外でレースに出ることは、汗をかいた分だけ深く心に刻まれる体験となります。

もちろん気をつける点などもありますが、いつもと違うこと・違う環境をプラスに捉えると更に世界が広がる、と身をもって感じてきました。

空港からレース会場へは専用バスが出ていることもありますし、レンタカーなどを使って自力で行かなくてはいけないことも。でもその一つ一つが、思い出になります。あまり起こってほしくはありませんが、ちょっとしたハプニングも、後から思い返すときにはいいスパイスになっていることも。

短い期間でも、かなり凝縮した時間が過ごせます。

ひょっとしたら、地元の人が入ったことのないエリアもエンジョイしているかもしれません。

帰りの飛行機ではクッタクタになっていても、それもまた、グッジョブ自分!です。

もし機会があれば、海外でレースに出ることも、目を向けてみてはいかがでしょうか。

MINI COLUMN

今大会の前に滞在していたダービーという町で(車で4時間位離れている場所)、とても素敵なサウナに行きました。

目の前に湖が広がる、絶景サウナです。熱くなったら、湖に入ることができます。

人気のスポットで予約必須ですが、大自然を感じられるもう一つの機会でもありました。サウナ好きの方に、おススメです!

自然が美しいダービー湖の湖畔にある人気サウナ、「フローティングサウナ」。

景色が最高!ダービーの人気スポット、湖畔にある「フローティングサウナ」。サウナで温まったら、目の前の湖にダイブ。温冷浴効果で、気持ちも体もリフレッシュ。 Instagram @floatingsauna_lakederby

池田清子 Sayako IKEDA

アスリートフード研究家

ビオトープ株式会社代表。夫は7年連続日本代表マウンテンバイクプロライダー、池田祐樹。菜食・プラントベースを主とした「細胞から健康的に強く美しくなる」食事の研究と発信を行う。2014年より自身もサイクリング・ランニング・筋トレを中心とした運動をスタートし、国内外での大会出場経験も多数。著書に『EAT GOOD for LIFE』至上最高の私をつくる「食」×「ながらトレーニング」』『野菜のおいしい食べ方』https://biotope-inc.co.jp https://biotope-inc.co.jp

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