産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」。宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。2022年4月に不妊治療にかかる保険適用の範囲が大きく広がってから1年。タイミング法や人工授精といった一般的な不妊治療も対外受精や顕微授精、男性不妊の手術などの生殖補助医療も保険適用となり、原則3割負担になりました。宋さんが産婦人科医目線でこの1年を振り返ります。
宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#96
今週のよりぬき
- 50万円程度の対外受精、顕微鏡受精も保険適用に。高額療養費制度で費用の上限もある程度見えてきた
- 「保険適用により高度医療もハードルが下がったからか、不妊治療の高度医療施設で働く方によると、若い患者さん増えたとのことです」と宋さん
- 保険適用以前も自治体の不妊治療助成金世帯があったものの、年収の上限があり利用できないケースも。一方で中には補助金時代のほうが持ち出しが少なかったケースも……
- 着床前診断は現在も先進医療扱いで保険適用外。着床前診断を受けると、混合診療が認められてないので全額自己負担になる
- 「正直この1年は手探りの1年でしたね。でも子どもを欲しい人が少しでも年齢が低いうちに不妊治療にアクセスできるようになった点でよかった、と私は思います」と宋さん
- 「現状、1回の妊娠で保険が適用されるのは6回、年齢によっては3回等回数も変わる、プレッシャー感じる方もいるのでは……」と宋さん
- 「生みたいけどスムーズに妊娠しづらい人が治療できるのはSRHRの観点から良い制度ではある。生殖年齢にはどうしても限りあるし、アラサーのカップルで不妊治療費用捻出は難しいですし」と宋さん
- 「初産年齢がものすごい勢いで上がっている日本。子ども欲しい人が授かれないのは社会構造に問題がある。今の日本は若いうちにに結婚できるほどの雇用等の安定がないし、結婚や子どもを授かることはある程度贅沢なこと」と宋さん
- 「不妊治療の保険適用について『これは少子化対策だ』と菅前総理はコメントしてましたけど、不妊は少子化の原因ではないので、少子化対策の文脈で捉えられることには違和感があります」と宋さん
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日本人夫婦のセックスレス率6割。他人事ではない?「セックスレス妊活」の気になる実情【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#54】
イラスト/小迎裕美子
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宋 美玄 Song Mihyon
産婦人科医
セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/
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