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新型コロナへの対応が新しいフェーズへ。「みなし入院」への保険金が終了

  • 松崎のり子

2023.04.25

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5月8日から5類に移行

令和5年5月8日以降、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられます。

これまでは発症後7日間は療養期間として外出自粛が求められてきましたが、5月8日以降は個人の判断に委ねられることに。

政府としては発症後5日を経過するまで外出を控えること、無症状でもやはり5日間の外出を控えてほしいとしていますが、強制的な指示ではありません。大きな方針転換と言えるでしょう。

今回の引き下げにより、民間の保険会社のコロナ対応も変更されました。

医療機関への入院ではなく宿泊療養・自宅療養となっていた場合でも入院として扱う「みなし入院」を終了するという発表が相次いでいます。

入院給付金や災害死亡保険金が見直しへ

これまで保険会社は医療保険加入者に対し、「みなし入院」であっても支払い条件に該当すれば入院給付金を支払うとの特別対応をしてきましたが、5類への引き下げを受け、5月8日以降はその対象から外すことにしたのです

同じく、新型コロナにより死亡・高度障害を負った際に支払われていた災害死亡保険金・災害高度障害保険金の対象からも外れることに。

あくまで「みなし入院」が終了するだけで、新型コロナの治療のために医療機関に入院した場合は、もちろん入院給付金の対象となります。

感染が広がり始めた当初は保険会社もこうした特別措置をとってきましたが、感染者が急増するにつれ入院給付金がかなりの金額に上り、それが保険会社の業績を圧迫する要因になっていたとか。

中には新型コロナに特化した医療保険が販売中止になるなど、想定されていた以上に感染者が増えすぎて保険として成立しない状況もあったのです。感染症法上の位置づけがインフルエンザと同じとなれば、特別対応をする必要もなくなるというのが保険会社の判断でしょう。

5類への引き下げで、コロナ対応の多くが「自己判断」となります。マスク着用だけでなく、店や飲食店に入る際の検温やアルコール消毒なども事業者ごとに委ねられ、この先は徐々に緩和されていくでしょう。

新型コロナとの共存は新しいフェーズに入りました。このまま緩やかに収束していくよう願うばかりです。

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入院したのに医療費とされない費用とは?マイナ保険証で利用できる新制度も解説。

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松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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