現在のNISAと24年版NISAは別々のもの
2024年からNISA(少額投資非課税制度)が拡充され、投資枠の引き上げとともに非課税で投資できる期間が恒久化されます。
現行制度では一般NISAが5年、つみたてNISAが20年ですから、期間を撤廃したことはコツコツ資産を増やしていこうという目的にそった改正と言えるでしょう。
24年からのNISAについての説明はよく見聞きしますが、現行NISAはその後どうなるのでしょうか。そのまま新型NISAに移行するのだと思っている人もいるのでは。しかし、残念ながら、そうはなりません。
24年版NISAは、あくまで新しく始まる制度。現在のNISAとは別々のものなのです。では、現行NISAを利用している場合はどうなるのでしょう。
まず、新たに投資できる期間は2023年末までで終了。非課税で運用できるのは、現状通り一般NISAが5年、つみたてNISAが20年です。つまり、新しいNISAが始まっても、現行の非課税期間は残るのですね。
例えば今年つみたてNISAを始めた人なら、今後20年間は非課税のままで運用ができ(24年以降は新たな買い付けはできません)、それは24年版NISAの非課税枠とは別物です。
新旧制度がダブルで使えるわけですね。
非課税枠をなるべく多く使いたいという人は、24年の新制度を待たずに今年のうちに現行NISAで投資をする、というのも一つの方法です。
なお、24年からの新制度でNISAを利用するには、改めて手続きが必要に。その場合、現行NISAの口座を持つ金融機関をそのまま選ぶ必要はなく、別の金融機関に変更してもかまいません。
現行NISAでは、大手ネット証券2社がシェアのほとんどを占めています。24年に向け、この2社を中心とした各社が大型キャンペーン打ち出すことでしょう。
投資は無理せず続けられる金額で
「預貯金では増えないから投資を」とのうたい文句をよく聞きますが、NISAは長期に渡って投資を続け、資産形成することを想定されています。
増やしたいがために無理な投資金額を設定してしまうと、いざ現金が必要になった時に使える貯蓄がなかったり、相場が下がったタイミングで売却せざるをえなくなることも。
長期で続けるには最初からハードルを上げずに小額から始め、いつでも使える貯蓄も一緒に確保するべきです。
投資に慣れ、収入も上がってきたら積み立て投資額を見直そう、というように、肩の力を抜いて続けるほうがいいでしょう。
物価高も収まってはいませんから、まずは赤字を出さない家計管理が一番大事。お金を増やしたいあまりに、家計が苦しくなっては本末転倒ですから。
【連載】 松崎のり子さんの「知らなきゃ損するお金の話」
この連載コラムの新着記事
松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。