LIFE

CULTURE NAVI「今月の人」

【山田裕貴さんインタビュー】俳優の僕らに求められたのは、瞬間の“熱”みたいなものかな

2023.02.15

この記事をクリップする

Culture Naviカルチャーナビ : 今月の人・今月の情報

繊細な哲学教師からバリバリのヤンキー、正義感に燃える刑事から狂気がチラつく正体不明の男まで。強い印象を与える端正な顔立ちにもかかわらず、どんな役も“その人そのもの”と思わせる山田裕貴さん。そんな山田さんが、超人気のジャズ漫画をアニメーション映画化した『BLUE GIANT』で、主人公の宮本大を演じた。原作ファンという山田さんの本音に、爆笑!

俳優の僕らに求められたのは、瞬間の“熱”みたいなものかな
────山田裕貴さん

【山田裕貴さんインタビュー】俳優の僕らに求められたのは、瞬間の“熱”みたいなものかな

「原作を読んだとき“これ映画化されるのかな。でも僕はこんなに楽器できないから実写化はやめてくれ~”と勝手に思っていて(笑)。そうしたら“アニメーション映画『BLUE GIANT』の話をいただいている”と聞いて、その手があったか!!と」

歓喜は、すぐにプレッシャーに変わったと苦笑するが、本作にかける思いは、どこまでも熱かった!

「なぜプロの声優ではなく、僕ら俳優が任されたのか。ジャズって、その時々の感情のうねりが音に乗る音楽ですよね。だからテクニックではなく、その瞬間にバ~ッと感じる熱、みたいなものを求められているのかな、と。また“音”を大事にした作品なので、常に大の気持ちを考えつつ、一言のセリフにどんな感情の成分をどれくらい入れるべきか、声色にはとことんこだわりました」

山田裕貴さん

“世界一のジャズプレーヤーになる”と決意して上京した大が、ピアノの雪祈、ドラムの玉田と10代3人でバンドを組むことに。未熟な若輩者だと見下そうとする大人たちを、音で圧倒し、演奏で魅了し、一歩一歩、夢に近づいていく様が描かれる。

「やっぱりストーリーがいいので、アフレコしながら泣いちゃって(笑)。特に終盤、ある過酷な運命が降りかかる展開は、もうたまらなくて……。家で読もうとしても、泣いて読めなかったです。しかも原作にも携わっている脚本のNUMBER8さんが、映画ならこういう展開もアリではないかと、新しいストーリーを提案してくださったと聞きました。もちろんそこには石塚先生はじめスタッフの皆さんの心意気も感じられて、その安心感と“そう来るか!?”というおしゃれさが、本当にいいんです」

山田裕貴さん

有言実行だからスゴイが、ビッグマウスともとられかねない大の魅力を、自身と比較し分析してくれた。

「僕も昔は“絶対いける”的な発言をよくしてました。ネガティブな気持ちをはねのける自己暗示のように。でも大は、本当に世界一になれると自分を信じている。それが波動のように広がって、周りの人を動かす力になっている。雪祈を演じた間宮(祥太朗)君やマネージャーには、“大は裕貴っぽい”と言われますが、今の僕は大ほど自分を信じる強さがないんです。ただ、絶対にいい作品にしたいという“熱さ”は大と同じですよ!」

俳優を始め、10年を越えた現在、自身を謙虚に見つめ、飾らずに語る山田さんの姿勢にも魅せられる。

「かつてはデビューできるとすら思っていなかったので、今は想像のつかないところにいる感じです。だから感謝しかなくて。でも俳優としては全然まだまだ。自分がいてもいいと思える場所を今も探し続けています。みんなが僕を認めてくれる場所というか……決して上へ上へ行きたいのではなく、前へ前へという感覚です。 ’22年は何をしたか思い出せないほどなので、 ’23年は自分の演技に足りない、例えば“重み”を求めつつ、報われ感も味わいたいです」

Profile

やまだ・ゆうき●1990年9月18日、愛知県生まれ。2011年に俳優デビュー。『ここは今から倫理です。』(’21年)、『夜、鳥たちが啼く』(’22年)など数々のドラマや映画への出演に加え、ラジオのパーソナリティも務めるなど多彩に活躍。2023年も『女神の教室~リーガル青春白書~』、大河ドラマ『どうする家康』などに出演。
Instagram:00_yuki_y
Twitter:00_yuki_Y
公式サイト:https://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000042/



『BLUE GIANT』

『BLUE GIANT』

©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 ©2013 ⽯塚真⼀/小学館

ジャズに魅了され、テナーサックスをはじめた高校生の大(山田裕貴)は、“世界一のジャズプレーヤー”を目指し、河原でサックスを吹き続ける。卒業を機に仙台から上京した大は、同世代のピアニスト雪祈(間宮祥太朗)、高校の同級生の玉田(岡山天音)とバンドを組む。石塚真一による累計900万部超えの同名漫画のアニメーション映画化。(2月17日より全国ロードショー)


撮影/花村克彦 ヘア&メイク/小林純子 スタイリスト/森田晃嘉 取材・文/折田千鶴子
こちらは2023年LEE3月号(2/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

CULTURE NAVI「今月の人」記事一覧

この記事へのコメント( 0 )

※ コメントにはメンバー登録が必要です。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる