産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」。宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。先週に引き続き、LEE読者の皆様にはおなじみ、文筆家・編集者の小川奈緒さんをゲストにお招きしてお送りします! 今回、改めて「閉経」について、宋さんの解説も交えてお届けします。小川さんは現在50歳。日本人女性の閉経の平均年齢ちょうどです。なんでも「閉経」については比較的ポジティブなイメージを抱いているそうですが……。
宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#83
今週のよりぬき
- 「著書『すこやかなほうへ 今とこれからの暮らし方』(集英社)でも書きましたが、現在の生理周期は、もともと31日以上あったのが今は3週間周期くらいで、量も少なくなってきているので、閉経に近づいている実感はあります。でも今は、あまり更年期障害と呼ばれる症状はないんです」と小川さん
- 「私は小川さんの2歳上なのですが、まだ閉経を迎えてないんです。でも生理2日めの量がどっと多くなったり期間は短くなったり、今までとは違うなぁ、というのはあります。あまり特定の更年期障害は小川さんと同じで出ていません。でも、小川さん、ちょっとした不調があると、これは更年期かも!とすぐに思ったり、悪気はなくても周囲に「更年期じゃない?」とかすぐ言われませんか?」と畑江
- 「言われますね(笑)、正解がないから漠然とした不安があります」と小川さん
- 「更年期の症状は数百ありますからね。生理がきちんと来ていれば更年期はまだでしょうが、周期が短くなってるのであれば更年期に突入している可能性もありますね」と小川さん
- 更年期と思われる症状に対する婦人科的なアプローチはホルモン値の測定など。しかしそれだけではなく、症状に応じて他の科でも受診し、総合的に判断する
- 「やっぱり更年期って、『あのときそうだった』と後になって思い返して分かるものなんですか?」と畑江
- 「そう。産後うつ等も後で思い返して分かりますよね? 渦中にいると分かりにくいんです。更年期のネガティブなイメージで認めたくない人、周囲から年齢的に『更年期じゃないの?』と言われるケースが多い影響もありそうですが」と宋さん
- 更年期障害で宋さんのクリニックを受診した患者さんで最高齢は45歳
- 「私自身は全く閉経にネガティブイメージはなく、むしろ生理から解放される希望のほうが大きいですね」と小川さん
- 「小川さんのような方は多いですね。あと避妊、少ないけど40代・50代で妊娠する人もいるのでその心配なくなるから、閉経を待ってる方はいると思います」と宋さん
- 「私は妊娠期と授乳期しか生理から解放されたことないけど、思い返すと楽でした!」と畑江
- 「確かに女性ホルモン低下により色々なネガティブなこと、例えばメタボとか骨が弱くなるとか、も起こります。でもそれはすぐには表出しないので、むしろ『やっと平和が来たー』という感想を抱く方の方が多いですね」と宋さん
- 「でも、閉経すると男性よりも女性ホルモンが少なくなるんですよね? 以前の放送でそれを聞いて震えています……」と畑江
- 「将来の骨粗鬆症の可能性を考えると、今更年期に煩わされてない人でもホルモン補充療法をおすすめします。お医者さんによっては不要という方もいますが、私自身は補充したいと考えます」と宋さん
- 「いわゆる子宮系の方の『生理の1回1回がありがたい』といった考え、否定はしないけど共感は難しい……私は医学的見地から、生理についてはかなりドライに捉えています」と宋さん
- 「ちなみに、生理がありがたい人の中には『生理が来た、妊娠しなくて済んだ』という方もいますよね。でも閉経したらもっと妊娠の心配をしなくて済みますよ」と宋さん
- 「閉経は、体調の浮き沈みから解放されて安定できるのがいちばん魅力的。生理がそんなに重くて辛いタイプではないのでホルモンバランスに振り回されてはいなかったけど、生理中は眠くなる、太りやすくなる、甘いものたべたくなるなど、いつもと体調が違う自覚はあります。そういうことも閉経すると無くなるのですか?」と小川さん
- 「無くなります。閉経後に健やかに過ごすためにお勧めするのは、それこそ小川さんも毎日やられているヨガ。食生活でどうにかするよりも、ヨガ等で身体を整える方がお勧め。あとはホルモン補充療養を!」と宋さん
- 「特に自覚症状がなくても補充したほうがいい、と今回伺ったので、やろうと思います。期間はどれくらやればいいですか?」と小川さん
- 「特に期間は定められていませんが、5年ぐらやってみては」と宋さん
2023年1月30日(月)21時〜
小川奈緒さん×LEEweb編集長畑江、Voicyでアフタートーク生配信!
今回ゲスト出演してくださった小川奈緒さんとLEEweb編集長畑江が、Voicyで「宋さんの聴く婦人科診察室」収録アフタートークを生配信します。前編はLEEwebのVoicyチャンネル「宋さんの聴く婦人科診察室」から配信。後編は小川さんのVoicyチャンネル「小川奈緒の家が好きになるラジオ」に移動してお聴きください!
「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」Voicy生放送前半はこちらから聴けます! Voicy生放送後半は「小川奈緒の家が好きになるラジオ」から聴けます!小川奈緒さんのインタビュー記事はこちら!
SpotifyやApple Podcast、
Voicyでお聴きいただけます
宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」は、主要プラットフォームで配信中!
宋美玄さんへの質問、大募集中です!
宋さんへのご質問や番組へのご感想は、専用メールアドレス(fujinka@lee.hpplus.jp)宛にお送りください。
「更年期」がテーマの過去放送はこちら!
イラスト/小迎裕美子
この連載コラムの新着記事
-
セックスレス、更年期の骨密度低下、介護脱毛の圧etc.…女性の心身の悩みに寄り添う 『宋美玄さんの聴く婦人科診察室』ベスト10をプレイバック!
2023.12.29
-
宋美玄さんが出産一時金増額後の分娩費用の「便乗値上げ」を叩くマスコミに伝えたいこと【聴く婦人科診察室#113】
2023.08.28
-
生理、性的同意、更年期…宋美玄さんが「女の子に伝えるべき全て」を凝縮した『女の子の体 一生ブック』制作意図を語ります【聴く婦人科診察室#112】
2023.08.21
-
汗をかく量が増えた…更年期のホットフラッシュ?【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#111】
2023.08.14
-
風邪薬やぜんそく薬が手に入らない!「ドラッグロス」「ドラッグラグ」はなぜ起こるの?【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#110】
2023.08.07
宋 美玄 Song Mihyon
産婦人科医
セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。