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【石井佳苗さんの新連載がスタート】インテリアの世界に魅了されるきっかけとなった、私の原点

  • 石井佳苗

2023.01.26

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KANAE’s MASTERPIECES-Interior Items スタイリスト 石井佳苗の「インテリア名品」

新連載

石井さんのスタイルを形作ってきた名品を紹介する連載がスタート。テイストの変遷や引っ越しを経てきた今でも手元に残るその一点一点に、長く愛せる自分らしいインテリアを確立するヒントが詰まっています。

石井佳苗さん/Kanae Ishii

石井佳苗さん

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。
Instagram:kanaeishii_lc
公式サイト:https://www.kanaeishii-stylist.com/

file 01.[椅子](Chair)
Brand: カッシーナ(Cassina)
Item: スーパーレジェーラ(Superleggera)

file 01.[椅子](Chair) Brand:カッシーナ(Cassina) Item:スーパーレジェーラ(Superleggera)

インテリアの世界に魅了されるきっかけとなった、私の原点

出会いは25歳。場所は、当時六本木にあった「カッシーナ・インターデコール(現カッシーナ・イクスシー)」。愛読していたインテリア雑誌『室内』などで“世界で最も美しい椅子”と評されていた一脚をひと目見たいと店頭を訪れ、私はその姿に圧倒されました。指一本で持てるとされる軽さにも。半信半疑で持ち上げると、その椅子は驚くほどあっけなく宙に浮いたのです。

スーパーレジェーラは決して派手な椅子ではありません。実にシンプルで、そっけないくらいの佇まい。けれどディテールを知るほどに、その研ぎ澄まされたデザインに感動します。軽量化という実用を追求した結果の、洗練された姿。“デザインのためのデザイン”ではない機能美に、私は心動かされるのだと思います。

この出会いをきっかけに、私は「カッシーナ・イクスシー」へ入社し、インテリアの世界へ足を踏み入れました。勤務先となったその場所で、毎日のようにその椅子を眺めても飽きることはなく、当時は半ば自分のもののように感じていたほど。そして30代後半、会社を去ることを決めたとき、私はようやく、自分の原点とも言えるスーパーレジェーラを手に入れようと決意したのです。

わずかに斜めに伸びていく脚の線。手編みならではの籐の座面の繊細な表情。この椅子に向き合うと、自然と所作が丁寧になることに気づきます。少しの緊張感を持って座る、オブジェとしての顔も持つ椅子。

美しいものには、周りの空気を変える力があり、その力は、暮らし全体を変えていきます。それを実感するために、ぜひ少し背伸びをしてでも、取り入れてほしい一脚です。

素材は、強度と粘りのあるアッシュ材。横顔も美しい背もたれの角度は、削り出すことでつけられており、座ると背中にほどよく沿う。

素材は、強度と粘りのあるアッシュ材。横顔も美しい背もたれの角度は、削り出すことでつけられており、座ると背中にほどよく沿う。

脚の断面は、軽量化を図るため三角形に。その間にスマートな補強材(貫(ぬき))を入れることで強度を持たせている。そして座面は、籐編み専門の工房で施されている手編み。「裏返しても継ぎ目が見事に隠されていて、表と遜色ないその美しさは、まさしく職人技!」(石井佳苗さん)

脚の断面は、軽量化を図るため三角形に。その間にスマートな補強材(貫(ぬき))を入れることで強度を持たせている。そして座面は、籐編み専門の工房で施されている手編み。「裏返しても継ぎ目が見事に隠されていて、表と遜色ないその美しさは、まさしく職人技!」(石井佳苗さん)



Designer: Gio Ponti
Italy, 1957

機能美を極めた一脚が一生ものとは何かを教えてくれます

幅405×奥行き450×高さ830(座面高さ455)㎜¥308000〜/カッシーナ・イクスシー青山本店 イタリア・モダンデザインの父と呼ばれるジオ・ポンティによる作品。実は完全なオリジナルデザインではなく、イタリア北部の港町で作られていた“キアヴァリチェア”を基にして、より軽く美しくリデザインされている。イタリア語で“超軽量”を意味するとおり、重さはたったの約1.7㎏。「座るばかりでなく、壁の前に置いて、その完成されたフォルムをいつまでも眺めていたくなる椅子です」 (石井佳苗さん)

幅405×奥行き450×高さ830(座面高さ455)㎜¥308000〜/カッシーナ・イクスシー青山本店

イタリア・モダンデザインの父と呼ばれるジオ・ポンティによる作品。実は完全なオリジナルデザインではなく、イタリア北部の港町で作られていた“キアヴァリチェア”を基にして、より軽く美しくリデザインされている。イタリア語で“超軽量”を意味するとおり、重さはたったの約1.7㎏。「座るばかりでなく、壁の前に置いて、その完成されたフォルムをいつまでも眺めていたくなる椅子です」 (石井佳苗さん)
猫


撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美 デザイン/サイトヲヒデユキ
こちらは2023年LEE1・2月合併号(12/7発売)「スタイリスト石井佳苗の「インテリア名品」」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。

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石井佳苗 Kanae Ishii

インテリアスタイリスト

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも行っている。

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