支援費用280億円に対し経費967億円…ツッコミどころ満載の「出産クーポン」を斬る【宋美玄さんの聴く婦人科診察室＃71】

宋美玄

2022.11.07　更新日：2023.09.05

音声

産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」。宋さんとLEEweb編集長・畑江が女性ならではの身体や心のお悩みを解決したり、女性の性にまつわる最新事情を紹介したりと、赤裸々トークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。今回は「出産クーポン」について。岸田首相が子育て世代の支援充実のために「おむつなど子育て関連商品に使えるクーポン」を発行する事業を支援する方向と固めたというニュースが流れましたが……。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#71
今週のよりぬき

実際に子育て支援に使われる費用が280億円に対し、クーポン発行のための経費が960億円かかるとのこと
「事務費用甘く見積もりすぎ、いつもこのパターン……」と宋さん
今回のクーポンは0〜2歳の子どもしか配布されない。クーポンを使える場所や品目も限られている。来春には実現化の予定とのこと
「0〜2歳ってそんなにお金がかかる時期じゃないですよね。もうちょっと大きくなってから、それこそ大学に行かせるための学費や塾代等がいちばんかかります」と入れた畑江
「生み控えを防ぐためににクーポンを発行する、って意味がわからない。国は第3子に大学・短大・専門学校等の就学支援をしているけど……そもそも子どもを0→1人、1人→2人にできない人が多い現状なのに、お金を出さないアピールとしか思えない」と宋さん
「今生んだとしてそもそもその制度は子どもが成長した頃にまだあるの？　国の制度を信用して生んだら大変なことになりそう……」と畑江
出産一時金も来年度から42万円から47万円に増額される
「出産した日が1日違うだけでもらえる金額が5万円違ってくるってことですよね。済んでいる場所、生んだタイミングで受けられる支援が変わってくるっていかがなものか」と宋さん
宋さんがあると良いと思う少子化対策は保育園と小学校の無償化。「日本は教育への投資が少なすぎ」
「給食費とかバカにならないですよね、あと修学旅行費とか。固定でかかる部分が充実すればいいのに」と子ども2人を公立小学校に通わせた畑江
東京都足立区や兵庫県明石市など、教育支援が充実している自治体には隣接した自治体から引っ越す人も
「子育て支援には、安定した雇用は絶対。小手先で子どもの数を増やすのは難しい。いつ無くなるかわからないような制度をあてにして生もうと決断することはない」と宋さん
「あと、所得制限のハードル高くないですか？　夫婦で働くとあっというまに制限超えますよね。専業主婦はいいよねとか、お互いの分断なくなるように支援してほしいです」と畑江
「働いたら損をする制度にすること自体どうかと思います……」と宋さん