今や中学生の6割がスマホを持つ時代。InstagramなどのSNSをわが子がすでに使っている、そろそろ使い始めるという子育て世代の方も多いのでは? 親にとっては長時間利用や、SNSを通じてのいじめや犯罪などトラブルも心配の種……。
そんな不安にこたえるべく、ティーンエイジャーがもっと安心・安全にInstagramを使うための新サービスが今年6月にリリースされ、親子でInstagramの利用法を話し合うためのガイドブックも登場。
10代の子どもを持つLEE読者代表が、専門家に相談しながら実際に使ってみました!
Instagramのアカウントが持てるのは13歳から。子どもがInstagramを利用中&最近利用し始めた、LEE100人隊TB tokoaさんとライターYが、まずはSNS利用についての不安や悩みを、スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんに相談しました。
相談したのは…
LEE100人隊 TB tokoaさん(長男14歳、次男10歳)
長男はInstagramのアカウントを持っており、おもに友達との交流に利用。とはいえ、フォローもさせてくれないため実際の利用状況はよくわからず。スマホ利用に口出しされたくないお年頃で、親の心配を伝える機会もなかなかなく……。
ライターY(長男16歳、次男14歳、長女3歳)
高校生の長男は友達との名刺代わりにInstagramを活用。「もう高校生だし」ということで、利用の仕方は本人におまかせ。これからまさにInstagramデビューをしようとしている次男には、リスクも伝えておかないと、と考え中。
教えてくれたのは…
スマホ安全アドバイザー 鈴木朋子さん
ITジャーナリスト、スマホ安全アドバイザーとして各方面で執筆や講演などを行う。なかでもSNSについては使い方からトレンドまで全般に詳しい。スマホ利用などに関しての著書も多数。23歳、18歳の娘を持つママ。
tokoaさん:長男は、スマホを家族の前で使うのがイヤなようで、自室で使っているんです。フィルタリングサービスのアプリを入れていて利用時間などは一応確認できるのですが、テスト前など部屋にこもってるな~と思ったら、1時間以上SNSを見ていたということも。「勉強してたんじゃないんか!」と。
ライターY:うちの長男も、SNS利用に限りませんが何をしているときもスマホが片手にあります。息子の同級生には、ふとんの中にスマホを持ち込んで夜遅くまでSNSを見たり投稿している子もいるようで、心配しているママ友も。
鈴木さん:次々と新しい投稿がされるSNSは区切りがつけにくく、知らないうちに長時間やってしまうというのはあるようですね。親が勝手に「1日〇時間」「△時までしか使わない」などと押しつけるのは望ましくありませんが、自分でコントロールできるようになるまでは、親子で相談して時間制限を決めることも必要かもしれませんね。
(※以下、敬称略)
tokoa:あと、長男は友達やその友達しかフォローしていないと言いますが、友達の友達のまた友達……とかなったら、もうどんな人かわからないのでは?という心配も。
Y:たしかに。年齢が上がればさらにフォローの範囲も広がっていきそうですし、フォローした人が怪しくないか判断するのは難しそう。長男には「顔も知らない人とDMのやりとりはしないほうがいいよ」とは伝えていますが、本人はあまり危機感を持っていないんですよね。
tokoa:やっぱりアカウントは非公開のほうが、そうしたリスクは少ないですか?
鈴木:そうですね、非公開にしておけば検索をかけても出てこないので、リスクは確かに低いでしょう。でも公開にして趣味でつながりたいと思っているお子さんもいると思います。その場合は、公開にしていても設定でDMを送れる相手を限定するなど、対策を話し合っておくことが大切ですね。
鈴木:こうした保護者の不安を解消してくれるのが、Instagramの新サービス「ペアレンタルコントロールツール」です。子どものInstagramの利用に関して、保護者ができることはおもに以下。
- 子どもが利用した時間を確認したり、上限時間や、利用可能な曜日や時間を設定できる
- 子どもがフォローしているアカウントや、誰にフォローされているかが確認でき、新たにアカウントをフォローしたり、フォロワーが増えた際に保護者が通知を受け取れる
- 子ども自身がInstagramに問題を報告したりサポートを必要としたとき、同時に親へも通知が届くように選べるため、子どもが問題を抱えていることに気づくことができる
最大の特徴は、保護者と子どもの双方が使用に同意のもとではじめてアカウントを連携可能であるという点。そのため、子どもが18歳になったら自動的に解除されますし、それ以前でも子ども側から解除することができるんです。子どもの主体性を尊重しながら、トラブルから守れるのがいいですよね。
Y: そもそも私自身がInstagramにあまり詳しくないので、長男が実際にどういう使い方をしているのかいまいちピンときていなくて。今回の座談会のために長男に聞いてみたら、今のところ自分ではあまり投稿せず、友達の近況を知るためにおもにストーリーズを見るという使い方をしているみたい。でも、投稿している友達たちはプライバシーに気をつけているのかな、とか他人ごとながら気になります。
tokoa:友達がアップした写真に自分も写っていて、学校などの個人情報が想定外にさらされてしまうことも少なくないみたいですもんね。
鈴木:最近は、投稿後24時間で自動的に消える気軽さから、ストーリーズをメインで使うティーンエイジャーが多いんです。でも、それだけに個人情報の流出について気がゆるみがちという点も。他人にスクリーンショットで保存されることもありますからね。
Y:個人情報の問題以外でも、よく耳にするトラブルについて長男に「気をつけて」と言っても、心配される=プライバシーに踏み込まれている、と感じるみたいで……。
鈴木:この年頃の子は思春期でもあるので、SNS利用への親の心配を真っ向からぶつけたり、「どう使っているのか教えなさい」と命令するような言い方を敬遠します。
そうではなくて、「お母さんはあまり詳しくないから、Instagramについて教えてくれない?」という姿勢で、お子さんの利用状況などを聞いてみるのがいいですね。自分の知っていることや好きなことは、自然に話したくなるものです。
Y:中高生って部活や塾で忙しくて、じっくり話をする時間が取れないですよね。そんな中で、あらためて「Instagramのルールを決めよう」と提案しても、応じてもらえる気がしません。
tokoa:同じく。うちもそういう空気を出しただけで自分の部屋へ逃げられてしまいそう。それにルールといっても、何をどう決めておけばいいのかわからなくて。
鈴木:あらたまって話をされるのは、嫌がられる可能性がありますね。だから理想を言えば、スマホを持ち始めたり、Instgramのアカウントを持つなどの最初のタイミングで、話し合いの機会を持つのがベスト。
すでに利用しているお子さんの場合は、ニュースなどでSNSが絡んだ事件報道などを見たときに、それを話題にして注意喚起やルール決めをするのも手。そのときも「あなたは大丈夫?」よりも「友達で困っている子はいない?」といった聞き方がおすすめです。
鈴木:ちょうど先月、Instagramが親子で利用について話し合うための『一緒に話そう!インスタ ANZENルール」というキャンペーンを開始し、『保護者とティーンのための話し合いガイド』(以下「話し合いガイド」)という無料でダウンロードできるガイドブックをリリースしました。
話し合いに入る前の親子双方の心がまえから、アカウントの公開/非公開の設定についてや利用時間についてなど具体的な利用上のルールの項目、話し合い後にすべきことなどがコンパクトにまとめられています。
何をどう話し合えばいいかわからないという保護者にとって、ヒントがいっぱいのはず。ぜひ話し合いの指針にしてください。
tokoa:Instagramの利用時間の上限を決めるのも、子ども本人の希望や理由を聞いたうえで、がいいんですね。
Y:不審なDMが来たときの対処法なども話し合っておくと、子どもが一人で抱え込まずに済みますね。なるほど!
tokoa:こういうことが知りたかったんです! まさに。
鈴木:親子で相談するときには、「話し合いガイド」をプリントアウトして目の前に置いて話を進めるのがいいでしょう。話し合いの結果を書ける記入欄もついているので、目に見える場所に貼っておくのがおすすめ。そして、一度決めたルールにこだわらず、お子さんの成長や利用状況に合わせて、後から柔軟にルールの見直しをすることも大切ですよ。
tokoa:そうですね。さっそくこれを使って長男と話をしてみようと思います!
また、サイト内にはInstagramで人気の10代クリエイター、「ベイビーチャンネル」アンさん、「のえのん」ほのぼのさん、「ももかチャンネル」ももかさんのインタビュー動画も。自身のSNS利用について、保護者とどのように話し合っているかについてなど、子どもにも親にも参考になる体験談が聞けます。
鈴木:ペアレンタルコントロールツールのスタートと同時に、10代の子どもが安心・安全にSNSを利用するため、本人や保護者の参考になるコンテンツが集約されたサイトもオープン。
「ペアレンタルコントロールツール」機能の使い方のほか、専門家の意見に基づいて作成された動画や記事などもあり、保護者にさまざまな情報を提供する「教育ハブ」コンテンツも。Instagramの利用法に迷うことがあったら、ここをまずチェックして。
Y:スマホを持ったばかりで、Instagramはこれからの14歳の次男と「話し合いガイド」を見ながら利用の仕方やルール決めをしてみました。
まだ実際に使っていないせいか、アカウントのフォローもOK、ペアレンタルコントロールツールもOK、「利用時間もお母さんが決めていいよ」と丸投げ(笑)。いいのか悪いのかわかりませんが……。でも実際に使うようになったらルールの見直しを提案してくるのだろうな、と心積もりしています。
ひとつ気になるのは、子どもが望ましくない投稿をしたときにすべき対応。それがプライバシー保護の話なら身の安全という点から注意しやすいですが、例えば誰かをディスる、デマを拡散しようとしているなどの場合、親としてどうしたら? 注意するとフォローを外されちゃうような気がするけど、スルーはできないし……。
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フォローを外されてしまう可能性はありますが、やはり親としての考えや価値観を伝えることは大事です。夕飯時などリラックスしているときの方が話し合いやすいと思いますが、SNSは拡散する前に対応したほうがベター。デマの拡散や誹謗中傷などのケースでは、口頭で早めに伝えたほうがいいですね。 |
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tokoa:座談会で鈴木さんに伺った「『(親が)知らないから教えてほしい』というスタンスで子どもに話を聞いていくのも有効」というお話を参考に、帰ってから長男にInstagramについて聞いたところ、あれこれ丁寧に教えてくれました。「話し合いガイド」に沿って質問していくと、意外と素直に答えてくれてびっくり!
ペアレンタルコントロールツールは「自分から解除できる」と伝えたら、一度はつないでもらえました。……が、その後やっぱりすぐに解除されてしまいました(涙)。
一定の時間アプリを利用すると、休憩を取るよう促してくれるリマインダー機能は「やりすぎ防止にはいいのだろうけれど、制限されている感じがイヤだ」と拒否。ペアレンタルコントロールツールをかけることは、もう諦めたほうがいいのでしょうか?
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いったん自由に使っていた子どもに後から制限をかけるのは難しい。仕方ない反応ですよね。そういう場合は、過去にInstagramの利用で困ったことはないか、聞いてみてください。
例えば「テスト前に自分でも使いすぎとわかっていてもやめられない」とか、おかしなアカウントにフォローされたりしていないか、などを聞いてみて。そこが突破口になるかもしれません。
でも、特に問題なく利用できているようなら、無理にペアレンタルコントロールツールを利用する必要はないのかも。親のほうで使いすぎと感じるのであれば、「テスト前だけ利用時間を設定する」など、親が譲れないと思うタイミングのみで利用する提案をしてみてはどうでしょうか? |
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わが子がSNSトラブルに巻き込まれないか心配、だけど何から始めたらいいかわからない……そんな不安を抱える保護者にとって、今回Instagramからリリースされた「話し合いガイド」、そして「ペアレンタルコントロールツール」や参考になる情報が集約されたサイト「ファミリーセンター」は、とても心強い存在!
上手に頼って、子どもがポジティブなSNS体験をできるよう手助けしたいですね。
●お問い合わせ先=
Instagram
https://help.instagram.com/
撮影/伊藤奈穂実 イラストレーション/オカヤイズミ 取材・文/遊佐信子