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LIFE

30代、40代からでも遅くない「もう一度、学校に行こう!」

43歳で大学院に入学し、MBA修得!美容ジャーナリスト・鵜飼香子さんインタビュー

  • LEE編集部

2021.11.30

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インタビュー/Interview 43歳で大学院に入学… 私の「学び直し」ストーリー

フリーの美容ジャーナリストとして活躍する鵜飼香子さん。今年の3月まで2年間、経営管理修士(MBA)を修得するために、早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS早稲田ビジネススクール)にて学んでいたそう。家事、育児、仕事で多忙な毎日の中、どのように学びを取り入れたの? リアルな体験談をお届けします。

この記事は2021年9月7日発売LEE10月号の再掲載です。

お話を伺ったのは
美容ジャーナリスト 鵜飼香子さん

美容ジャーナリスト 鵜飼香子さん

美容ジャーナリスト、ライター、編集者。美容誌『MAQUIA』に約13年間在籍し、美容のエキスパートに。11歳と5歳の2女の母。最新情報は公式インスタグラム(ukai_kyoko)にて。

UKAI’S History
鵜飼さんのこれまでヒストリー

2001 広告制作する中、美容の仕事がどんどん増える
2004 美容誌『MAQUIA』の編集者に。朝まで撮影・執筆の日々で、美容の体当たり取材も多数行う
2010 第1子を出産。朝型、規則正しい食生活にシフトし、人生でいちばん仕事量をこなしていた時期
2015 第2子を出産
2016 美容ジャーナリストとして独立
自分のキャリアについて考える時間ができて、まず主婦をしながらていねいな暮らしを
2019 \思い立ったらすぐに願書提出/
大学院入学
2021 修士論文を書き上げる
大学院修了
現在は、人口増による世界の食糧危機をコオロギで救うため、コオロギビジネスを準備中

43歳で大学院に入学。経営管理修士(MBA)修得のため 2年間必死で勉強しました

9時から16時半までの授業。早朝や空き時間で課題を

美容誌『MAQUIA』の編集部に約13年間在籍後、フリーの美容ジャーナリストとして活躍する鵜飼香子さん。今年の3月まで2年間、経営管理修士(MBA)を修得するために、早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS早稲田ビジネススクール)にて学んでいたそう。なぜ美容の世界から、MBAを目指したのでしょうか?

「当初はMBAを修得するなんて考えていませんでした。ただ、ずっと前から40歳になったら別の仕事をしようということは決めていて。フリーランスになって主婦業と娘たちとの生活を楽しみながら、次にできることを探しました。かつての私はほぼ感覚で生きる右脳人間でしたが、化粧品ブランドから意見を求められることが多くなり、プレゼンを重ねるうちに経験や感覚で語ることに限界を感じて論理的思考を鍛えたくなったこと。

また、これまでの雑誌でのクリエイティブはコスメが生まれた後に読者や消費者にどうアプローチするかがテーマでしたが、コスメが生まれる前の世界を見てみたいと思ったことでブランドマネジメントや戦略、マーケティングに興味を持ったこと。この2つを学び、叶えられる方法としてたどり着いたのがMBAだったんです。

入学したいと思ったときは、もう入学説明会も終わっている時期で、願書提出締切日に郵便局に駆け込みギリギリで出願。書類審査では、これまでの自分のキャリア、成果、将来について書く必要があったので、自分には何ができる? 何をしてきた? 何がしたい?と徹底的に自分と対話しました。編集者時代は自分のことは考える時間がなかったのでかなり難航しましたが、自分を見つめるいい機会になりましたね」(鵜飼香子さん)

面接は笑顔で乗り切り、晴れて合格し入学! ところが、入学後に早速壁にぶつかることに。

「周りは優秀なビジネスマン、ビジネスウーマンが多く、授業内容も私は初見のことばかり。入学のための予備校に通って事前学習をしていた人も多く、私も基礎をしっかり学んでおけばよかったと後悔しました。追いつくためにも、通学する週4日間は、連日朝9時から16時半まで授業を取り、お昼は買いに行く時間がもったいないのでお弁当を持参。毎日予習やレポートがあるので、授業の合間は自習室や図書館で、家では朝4時頃起きて課題をこなしていました。仕事はセーブしつつも、編集者時代と比較して5割ほどはしていたのでフル稼働。フラット靴で課題図書やお弁当を詰めた重量級のリュックを背負い、大学、仕事場、娘の幼稚園の送り迎えと移動しまくっていました」(鵜飼香子さん)

2年目はコロナ禍での大学院生活となり、また状況が一変したと言います。

「休校期間は、2人の娘がずっと家にいてすぐにおなかが空いたと訴えるので、ずっとキッチンに立って何かを作っていました。子どもたちとの時間が増えてうれしい半面、学びの時間がどんどん削られてしまい焦りも。大学院修了を延期しようかと思ったほどでした」(鵜飼香子さん)

勉強大丈夫かな? ママ〜 お腹すいた!

3万字以上の修士論文。家事、育児、仕事をしながら 書き上げるのは至難の業でした

「授業もオンライン授業になりましたが、必修科目が多い1年目に比べると、2年目は自分の好きな講義を取ることができたので、興味のある分野だと勉強がさらに楽しく感じました。オンラインなので夜間や土曜日の授業も週5で取り、受講を欲張ってノートのとりすぎで腱鞘炎になったこともあったほど……! オンライン授業の時間は全集中できるように、家族の協力を得て家の近所のホテルを取って受講しました。

ただ、最後の論文は楽しい半面、それだけではまとめがまったく追いつかず本当に大変でした。修士論文のテーマは『AIによるパーソナライズドスキンケアに感情と心情はあるか?』。3万字以上の論文を書き上げなければならず、読むべき論文の数が多いし、700名へのアンケート結果からの考察もしなくてはいけない。自分との戦いに精神的にも肉体的にもつらくて、体のあちこちにガタがきました。

プレッシャーからか髪がどっさり抜けて、手首や指に痛みも。追い込み時期は毎日3時間睡眠でしたが、気合と緊張感でこなしました。教授や先輩やクラスメイトに支えられ何とか書き上げて、大学院を修了することができました。後期は成績優秀者として表彰してもらい、この努力が報われた気持ちになりましたね」(鵜飼香子さん)

腱鞘炎 イテテテ… オンライン講義4コマ目

コオロギで食糧難を救いたい、新たなビジネスを準備中

日々の家事、育児、仕事に加えてコロナ禍での学びながら、無事に2年間で大学院を修了しMBAを修得。さまざまな困難を乗り越えられたのはなぜでしょうか?

「一番は、興味のある分野を学ぶことの楽しさを日々実感できたこと。課題の多さに悲鳴をあげつつも、クラスメイトと勉強会をしたり、相談しあったり、他者の発言や考えから学んだり……。苦しいけれど楽しい、充実した時間でした。また、仲間に恵まれて、キャラクターも人種も年代も職種もさまざまな友人たちと交流することで異なる考えや意見を心から尊重し、グローバルな目線で物事を考えられるようになりました。修士論文提出の1週間前にまだ200文字しか書けていなかった(!)私をとことんサポートしてくれて、仲間って大切だな、人はひとりで生きられないなと改めて痛感しましたね」(鵜飼香子さん)

現在は大学院で出会った仲間たちと、新たなビジネスの準備をしているそう。

「授業のグループワークで出会った農学部出身の友人と、2年間学生生活をともにしたエンジニアとチームを組んで、ベジコオロギ量産のための起業を準備しています。飼育に時間がかからず栄養価が高いコオロギで、世界の人口増による食糧危機を救いたいと思っています。自宅でも1年近くコオロギを育てていて、無農薬野菜や大豆、普通の野菜、キャットフードなどエサでどう成長が変わるかを試作中です。

将来的には、新興国の職業支援、社会貢献につながるといいなと思っています。また、これまでに引き続き、美容の仕事はブラッシュアップしたい。男女ともに個人的な肌相談から、事業や起業の相談を受けることが多いので、学びを生かして美容の分野についての知識も深めていきたいです。

私は、人生に学びは永遠に必要だと感じていて。学びたいと思って実行している人はポジティブな人ばかりで、そういった仲間に囲まれていると自分も前向きになれる。大学院修了後も、大学や教授主催のウェビナーに参加することも多いです。今年は子どもたちの受験があるので自分の学びは一休みですが、大学院で脳科学や哲学、心理学に触れたことがきっかけで、この分野をもっと深めたいと実は学びのチャンスをうかがっています……! きっと私は60歳をこえてもいつも何かを学んで、世界の子どもたちが快適に暮らせるための施策をしているんじゃないかなと思っています」(鵜飼香子さん)

私にとって学び直しとは… 興味がある分野を深掘りして学ぶ楽しさ。学びを通してできた新たな仲間の存在も励みに!



UKAI’S
学び直しPHOTO

週4回通った大学

週4回通った大学 鵜飼香子さん

あまりの忙しさに身なりを構う余裕がなく、フラット靴にリュックでカジュアルに通学。

修士論文はホテルで作業

修士論文はホテルで作業 鵜飼香子さん

近所のホテルにこもって修論を執筆。母からおせち料理の差し入れがあり、食べながら作業。

隙間時間をフル活用

隙間時間をフル活用 鵜飼香子さん

日々の課題をこなすために、カフェ、図書館、自習室などフル活用。隙間時間もムダにしなかったそう。

修了式は学生らしいスタイルで

修了式は学生らしいスタイルで 鵜飼香子さん

修了式はアカデミックガウンを着用。「大尊敬する入山章栄教授にビシバシしごかれたおかげで修了できました」(鵜飼香子さん)

修了式はアカデミックガウンを着用。「大尊敬する入山章栄教授にビシバシしごかれたおかげで修了できました」(鵜飼香子さん)

学び直しにまつわる Q&A

Q 勉強時間を作るコツは?

【A】 林先生のいつやるの? 今!でしょ。を常に胸に。レポートは授業後12時間以内に、仕事などのメール返信は丁寧さよりもスピードを重視し、できるだけ早くを心がけました。

Q 勉強時間を作るために、あえてやめたこと

【A】 お酒、SNSのチェック、表参道と銀座に近づかない!

Q 勉強に役立ったツールは?

【A】 英語が苦手なのに英語論文を読まないといけないので、Google翻訳とDeepL翻訳。Kindleは、分厚い参考図書からのキーワード検索が役立ちました。

Q 息抜きにしていたことは?

【A】 オンラインショッピングで、子どもたちの服と、ちょっと高価なお茶や調味料を購入すること。

Q 学びを続けるためのモチベーションは?

【A】 クラスメイトと学んだことをシェア。授業前に30分ディスカッションすることで、頭の整理、異なる意見の理解につながりました。


イラストレーション/HARUKA HAYASAKA 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2021年9月7日発売LEE10月号『30代、40代からでも遅くない「もう一度、学校に行こう!」』の再掲載です。

おしゃれも暮らしも自分らしく!

LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
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