気になるアノ漫画が無料で読めちゃう！　集英社が贈る秋を彩るデジタルマンガ祭「秋マン!!2021」がスタート!!　各週のラインナップの中からLEE読者の皆さんにオススメの作品を、LEE100人隊やLEEスタッフの熱～いコメント付きでご紹介します。

エースをねらえ！
山本 鈴美香

高校に入学し、先輩のお蝶夫人に憧れてテニス部に入部した岡ひろみ。コーチのシゴキや部員のいじめにもめげず、トッププレイヤーに成長していく──1970年代に『週刊マーガレット』に連載され、テニス・ブームをけん引した“スポ根”作品の金字塔です。

“スポ根”マンガの流れを汲みながらも、主人公を取り巻く友人やライバルたちが織り成す人間模様を細やかに描ききった本作。テニス界のレジェンド・松岡修造さんや、『エヴァンゲリオン』シリーズで知られるアニメの巨匠・庵野秀明監督なども、本作の大ファンとして知られています。数多くの著名人を魅了する魅力の一端を、作品を彩る名言とともにご紹介します。

 

大人になった今でも私を支えてくれる「バイブル」

岡ひろみ「やったな！」

学園のマドンナ・お蝶夫人に憧れてテニスを始めた主人公・岡ひろみ。初心者にもかかわらず大抜擢を受けたひろみに対し、先輩たちから激しいバッシングを受けることに。練習で先輩たちにしごかれるシーンでつぶやいた「やったな！」というセリフは、短気なドジっ娘（こ）には収まらない何かを感じさせる一言です。

本人も自らを「短気」と評していますが、導火線が短く負けず嫌いな性格を持っているひろみ。最初は与えられた使命と自分の実力のギャップにクヨクヨしたところも見せるものの、負けず嫌いの性格も影響して目覚ましい成長を遂げる姿には、元気をもらえるかも？

宗方コーチ「コーチはおれだ」

テニス部の新任コーチで、厳しい指導スタイルで部員たちに恐れられる存在。言葉数が少ないので、ひろみはじめ部員たちとの間にすれ違いが生じることもあるのですが、「世界に通用するプレイヤーを育てる」という自らの目標に対してひたすら真っすぐに向かっていく姿には、大人の魅力が満載。後々明かされますが、「おれがコーチだ」というセリフには、自らの人生をかけた覚悟が秘められていたのです……。

『エースをねらえ！』一の名言メーカー・宗方コーチの発言には、「男なら 女の成長をさまたげるような愛し方はするな！」「コートでたよれるのは じぶんの力だけだ（中略）自信をつけるには とことん練習することだ」など、仕事や生活に忙しい大人世代にもドキッと来る言葉がいっぱい。大人になって再読したら子供の時にはわからなかった宗方コーチの魅力にやられてしまったという大人女子も少なくないようですよ。

お蝶夫人「いうことをきかないような子は かまってあげられなくってよ」

“お蝶夫人”こと竜崎麗香といえば、ひろみの憧れの先輩でもあり、テニスを始めるきっかけにもなった人物。丁寧なお嬢様言葉を使いこなし、華麗にコートを舞う姿は、まさに学園のマドンナです。とはいえお高くとまっているわけではなく、自分を慕うひろみにアドバイスをするなど、優しい一面を見せることも。

とはいえ、その優しさも自分が優位に立っているという自覚があるからこそ。ひろみが宗方コーチに大抜擢された当初は試合に出場しないよう圧力をかけたり、めきめきと実力をつけていくひろみに嫉妬心を感じたりと、大人げのない対応を見せるのでした。

その後、自らに追いつき追い抜こうとしていくひろみに複雑な気持ちを抱きつつも、徐々にひろみとの関係に新たな役割を見出していくことに。『エースをねらえ！』は、主人公のひろみだけでなく、憧れの人・お蝶夫人の成長物語でもあるのです。

藤堂貴之「勝つのもいいけど すっぱり負けるのも悪くないよ」

藤堂貴之は、テニス王国・西高のトッププレイヤーにして生徒会長、文武両道を絵に描いたような学園の王子様。テニス部でも生徒会でも、お蝶夫人のパートナー役として公認されています。

1学年後輩のひろみのことも何かと気にかけてくれ、ただただ励ますのではなく、時にはひろみのためにと厳しいアドバイスをくれるところは、まさに理想の先輩そのもの。いつしか、困難に立ち向かいつつ成長する彼女の姿を見守り続ける物語のキーパーソンになっていきます。

単なる懐かし漫画ではなく、今を生きる大人女子の心をも打つ名作。ぜひこの機会にその世界に触れてみてはいかがでしょうか？

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文・構成／トミザワヒナ