壁は、どこよりも自分を表現できる場所。手軽に自由に、12カ月を彩ります。
今回はドライの植物。グリーンを手に入れた、その先にあるお楽しみです。
石井佳苗さん Kanae Ishii
雑誌や書籍、広告など多岐にわたって活躍。植物は、神宮前の「FUGA」で購入することが多いそう。「今回のグリーンもほぼこちらのものです」
https://www.kanaeishii-stylist.com
空間に植物を欠かさない石井さん。今回はドライグリーンを飾っていますが、最初からドライになっているものを買うことは、ほぼないそう。
「まずはフレッシュな状態で楽しみ、さらにそれをドライにして、が基本。家に持ち帰った植物は切り花であってもできるだけ長く付き合いたいと思います。自分でドライにすることで、目にするたびフレッシュだった頃の姿を思い返せるのも醍醐味。存在そのものが、時の経過という物語を感じさせる効果があります。この気分は春でもなく夏でもなく、秋から冬にかけての空気感にぴったり。空間がしっとりと落ち着いた雰囲気になりますよ」
直線を意識して長いまま束ねる
広い壁面には、1種類をたっぷりと
直線が印象的なイネ科のグラス系植物は、潔く1種類で。その凛としたたたずまいで、広い壁面を引き締めてくれる。
「キリッと見せたいので、結ぶのは茎の中ほどにし、広がりを抑えました。根元も高さを揃えて、きっちりした印象に仕上げています。グラス系の植物はきれいにドライになるので、初心者にも失敗がなく、おすすめです」
コーナーを立体的に彩る
飾り棚と壁面のテンションをさりげなくつなぐ
飾り棚の横に位置する壁は、棚上のにぎやかさゆえに、何もないと寂しい印象になりがち。そんなときはドライグリーンを1束。抑えめのトーンが絶妙に、2つの空間をつなぐ。
「この場合はほどよく動きを出したいので、形の違うさまざまな葉を持つグリーンを組み合わせて。ツルも自由に躍らせ、根元もランダムにまとめています」
葉だけをオブジェのように
個性的な葉の色をインテリアとリンクさせる
窓辺の壁に飾ったのは、表裏で違う色合いを持つグレビレアゴールドの葉。ブーケから葉だけを摘み、キュッと小さく麻ひもで束ねて。
「葉の形や色合いがおもしろいものは、それだけでまとめると存在感がぐっと強くなります。今回は、葉の色合いとリンクする、サイトウナオコさんの絵画と合わせて、壁を彩っています」
グリーンを楽しみきる直前に
吊るしてドライにする
ドライにするときのポイントは、フレッシュな状態で楽しんだら、色があざやかなうちにドライにすること。
「しおれたり枯れ始めてしまうと、きれいに色が残りません。方法は、根元を束ね、壁に逆さまに吊るしておくだけ。その過程も風情があるので一石二鳥」
S字フックを使えば、壁面以外にもさまざまな場所へ
壁に打ったくぎに束ねたひもを引っかけて吊るすのが基本。さらにS字フックを使うことで、棚や家具の縁などちょっとした場所に気軽に飾れます。
「外から見えてもいいように、真鍮製などちょっと素敵なフックを用意しても。ひもの色や質感にこだわっても楽しいですよ」
●スタイリスト石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る
撮影/宮濱祐美子 取材・文/福山雅美
LEE2021年11月号『スタイリスト 石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る』より
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