今週も産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト連載「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」の時間がやってきました! 女性ならではの心や体のお悩みを解決したり、性にまつわる最新事情を解説したりと、充実の内容でお送りします。今回は読者のお便り「コロナ禍でなかなか婦人科検診に行けません。子宮がんが心配です」を取り上げます。
コロナで受診控えが増加
この記事が公開される頃にはコロナも少し落ち着いていてほしいと願うばかりですが、医療の逼迫でコロナ以外の診療や検診などが影響を受けているところも多そうです。今回お便りをくださった読者の方もおそらく「コロナが落ち着くまで我慢しよう」と思って受診を控えられたのではないかと予想されます。特に去年は通常の健康診断を1年延ばした方も多かったのでは。
宋さんのクリニックでも、去年の4月〜5月の第1回目の緊急事態宣言の際は、やはり受診控えが多かったとのことですが、しかし2021年10月現在は受診数も盛り返したそう。そして患者さんでやはり「去年は子宮頸がんの検診を飛ばしました」といった方もちらほら。
受けるべきがん検診、受けなくていいがん検診
しかし、子宮頸がん検診は2年に一度なので、一度飛ばすと次の検診まで3年空いてしまいます。3年あれば、もしもがんに罹患していれば進行するのに充分な期間。ですのできちんと2年に一度は検診を受けましょう。検診とは無症状の患者さんに対して行うもの。例えば乳房のしこりや不正出血など、症状がある場合は、検診のタイミングを待たずすぐに病院で検査を受けましょう。
定期的に受けるべきがん検診について宋さんは、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん(40歳以上限定)、そして子宮頸がんの5つを挙げます。この5つのがんは検診を受けた方が予後が良くなるという有効性のエビデンスがあります。が、それ以外のがんにはそのエビデンスがありません。検診は受ければ受けるほど良い、というわけではありません。宋さんががTwitterのアカウントで『宋美玄@子宮体がん検診は実は不要です』と表記しているのも、子宮体がん検診にエビデンスがないことを周知したい、という思いからだそう。
コロナでもがんは待ってくれない
「人間ドックの中にも、もちろん良い検査もありますが、エビデンスのない検査もいっぱいあります。結局自己責任で過剰かもしれない検査をいっぱい受けるのが人間ドックでで、不安商法のようなもの。それよりは自治体の基本的な定期検診を受ければ充分。私ははどうせ内診台に乗るんだし、と追加で子宮頸がんのエコー検査も自己負担で受けます。コロナでもがんは待ってくれません。皆様もきちんと検診を受けましょう!」(宋さん)
(次回は10月29日(金)18時配信です、どうぞお楽しみに!)
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イラスト/鹿又きょうこ
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宋 美玄 Song Mihyon
産婦人科医
セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/
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