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LEE読者にもいつかは訪れる。幸せな「更年期」「閉経」を迎えるためにできること【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#8】

  • 宋 美玄

2021.08.20

  • 音声

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今週も産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト連載「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」の時間がやってきました! 女性ならではの心や体のお悩みを解決したり、性にまつわる最新事情を解説したりと、充実の内容でお送りします。今回はLEE世代にもいつかは訪れる「更年期」と「閉経」について、宋さんが解説します。

そもそも「更年期」とは一体?

読者から届いた「宋先生! 私の閉経はいつですかっ!?」という焦りのお便り。LEEweb編集長畑江も「これは私も聞きたいです(笑)」と身の上話を繰り広げます。今月51歳の畑江、去年の秋頃から「情緒の不安定さが増した気がして……。イライラしたり、普段だったらあり得ない場面で涙してしまったり。あと、朝の起き抜けに手がこわばる!! これは更年期に違いない!!」というわけで、宋さんのクリニックで女性ホルモン値を測っていただいたものの、更年期に至るほど数値は低下していませんでした。

「更年期」とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間のこと。この時期に見られる様々な体調の不良や情緒不安定などの症状をまとめて「更年期障害」と呼びます。身体的症状としては、のぼせや顔の火照り、脈が速くなる、動悸や息切れ、異常な発汗、血圧が上下する、耳鳴り、頭痛やめまいなど。精神的な症状としては、興奮亢進、イライラや不安感、うつ、不眠など。閉経後はこれらに加えて、膀胱炎や尿失禁、腰や膝の関節痛、目やのどなどの粘膜の異常などの身体的症状と無気力感などが精神的症状として現れてきます(参照:厚生労働省「eヘルスネット」)。

「若年性更年期」なんて医学用語はありません

LEEの読者アンケートの「あなたが『更年期』に抱くイメージは?」という質問項目の解答を見ると「イライラするイメージ」「骨粗鬆症とホットフラッシュ」「『あの人更年期でしょ?』と陰口叩かれないようにしないと……」「親が軽ければ自分も軽いってほんと?」「病気のリスクが増すの?」「女性として終わり……」「病気じゃないのに医師に相談することに躊躇する」「とにかくつらそう!!」など、ネガティブなものが多数。いずれ訪れる更年期と閉経に戦々恐々としている読者が多いことが判明しました。

宋美玄さん#8

宋さんのクリニックにも「最近イライラして……私、『若年性更年期』じゃないでしょうか!?」と受診し、女性ホルモン値を測るものの異常なし……という30〜40代の女性患者さんが多くいらっしゃるそうですが、むしろPMSを疑った方が良いでしょう。「ちなみに『若年性更年期』という単語は、どこかのコラムサイトが適当に作った造語で、その様な医学用語はありません」(宋さん)。専門用語では「早発卵巣不全(早発閉経)」と言い、40歳未満で卵巣機能が低下して無月経(月経が3カ月以上無い状態)となった状態を言いますが、相当なレアケースです。

生理周期の乱れが「閉経のサイン」

閉経の平均年齢は50.5歳。ということは、半数の人はそれよりも遅く閉経します。40代で閉経する人もいれば、55歳ぐらいまで生理がある人も。「生理が毎月順調に来ていたら、まだ2年ぐらいはあるかな。閉経が近づくと、例えば28日だった生理周期が24日や22日といった具合に短くなり、それまでより早く生理が来るようになる方が多いですね。すると今度は生理周期が延びてくる。とにかく人それぞれなので、『はい、あなたの閉経は◯歳ですね』と予言するのは不可能だし、それは神のみぞ知ることです」(宋さん)

前述のLEE読者アンケートには、「少しでも更年期を軽減すべく今のうちに生活習慣や食生活を見直して乗り越えられるようにしておきたい、でも何をしたらいいのかわかりません!」という解答もありましたが、「生活習慣や食生活を改めても更年期は乗り越えられません」(キッパリ)と宋さん。むしろあまりストイックにならないよう心がけましょう。40代半ばになったら更年期の可能性もあるので、医療機関で女性ホルモン値を測定し、必要に応じてホルモン補充療法(HRT)でエストロゲンを補充することをオススメします。



幸せに閉経を迎えるためにできること

では、幸せに閉経を迎えるためには一体どうしたら良いのでしょう? 宋さんのオススメは「ハッピーなライフスタイルの移行」。「バックナンバーでも度々提言しているよう、まずそもそも生理いらないから。黄体ホルモン製剤やミレーナで生理がない状態にしてあれば、そもそも閉経に気づかない。で、女性ホルモン値を測ると『あ、そろそろ引退かな? じゃあ女性ホルモン補充しよっか』となる。自分の卵巣の寿命を見届けることなく、今度はホルモン補充に切り替えていく方が、健康には良い。これからのトレンドは『閉経、補充したのいつだっけ?』です」(宋さん)

50歳で閉経したとしても、人生100年の令和の世。閉経によってエストロゲンの恩恵を受けられず、骨や髪や脳が弱っていく中で残り半分の人生を過ごすのは、ちょっとしんどい。だったらホルモン補充療法でエストロゲンを補充し、ハッピーな人生後半戦を過ごしませんか?

(次回は8月27日(金)18時配信です、お楽しみに!)

宋美玄さんへの質問を大募集!

宋さんへの質問や番組へのご感想は、専用メールアドレス(fujinka@lee.hpplus.jp)宛にお送りください。


イラスト/鹿又きょうこ

宋 美玄 Song Mihyon

産婦人科医

セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/

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