生理中の煩わしさが解消する「ミレーナ」とは？自身も装着中の産婦人科医・宋美玄さんが徹底解説【聴く婦人科診察室＃3】

宋美玄

2021.07.16

音声

今週も産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト連載「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」の時間がやってきました！　女性ならではの心や体のお悩みを解決したり、性にまつわる最新事情を解説したりと、充実の内容でお届けします。今回は読者からのお悩み「生理痛を解消する良い方法、何かありませんか？」にお答えします。お仕事や家事の合間にぜひお聴きください。

生理痛「ガマンする」LEE読者多数の理由

30〜40代女性がメインのLEE読者アンケートの設問「月経トラブルへの対処法は？」のトップ2が「ゆっくり休む」「体を温める」、第4位が「ガマンする」……。自由回答を読んでいると腹巻きなどの着用や入浴で身体を温め、痛み止めを飲むことすらなるべく控えている人が多いことが判明しました。

「痛みに耐えて一人前」「痛みを耐えることが美徳」という間違った認識を抱えているLEE読者も少なくないようです。また、「痛み止めを飲み過ぎると効かなくなる？」「薬が体内に溜まり将来妊娠したときに胎児に悪影響を与える？」といった「痛み止めの怖さ」を恐れ、痛み止めを飲まずガマンする人もいるようです（「薬が体内に溜まることはありません」と宋さん）。

低容量ピルについて話した部分が全カットに

一方で、LEE読者の間ではあまり広まっていないものの、ここ10年で生理痛軽減のための低容量ピルの販売数が伸びています。保険適用内外合わせて100万人程度はユーザーがいるのではないか、と宋さん。ただ、定期的に飲み続けなければならいので、飲み忘れが心配な方には心理的ハードルが高いかもしれません。

ここ数年、生理について取り上げるWEB記事やTV番組が徐々に増え、宋さんも度々出演していますが「以前は、例えば雑誌でモデルさんとの対談で服用しているピルの話で盛り上がったりしても、その部分は全カットされてたんですよ」と、日本人が生理をタブー視していることを思い知らされたそう。最近では媒体を通さず、個人のYouTubeチャンネルやSNS等で生理について語る有名人が少しずつ増えていますが。

益若つばささんのニュースで話題の「ミレーナ」って？

低容量ピル以外で生理痛軽減のために有用なのがミレーナ。宋さんも装着しています。タレントの益若つばささんが自らのYouTubeチャンネルでミレーナを装着していることを明かし、大きな話題になったのを覚えている方も多いのではないでしょうか？　LEE本誌に掲載されたインタビューでも、漫画家兼コメンテーターの犬山紙子さんがやはりミレーナ装着を明かしました。

ミレーナとは商品名で、正式名称は子宮内黄体ホルモン放出システム（IUS）と言います。子宮内に器具を挿入し、そこから子宮内に黄体ホルモンが約5年かけてゆっくり放出されます。黄体ホルモンが放出されることにより生理が来なくなったり、来ても軽いものになります。取り外せば妊娠可能です。当面は妊娠を考えていない方、低容量ピルだと飲み忘れが心配な方におすすめです。

「ミレーナは経産婦しか使用できない」は噓です

過去にとある雑誌で「ミレーナは経産婦しか使用できない」という産婦人科医のコメントが掲載されたことがあった影響なのか、読者から「ミレーナは経産婦しか使えないのですか？」という質問もありましたが、答えはNO！　宋さんのクリニックでは3年半で500人超の患者さんがミレーナを装着していますが「出産未経験の方、帝王切開でしか産んだことのない方、セックス経験のない方も多くいらっしゃいます。彼女たちがミレーナを装着したのは、生理痛緩和や生理によるQOL低下を防ぐため」と力強く証言してくれました。

装着時の初期費用が1万円少々、以後1、3、6カ月後、その後も半年に一度検診が必要です。最初の半年は抜け落ちたり、卵巣が腫れたり、出血が続いたり……というケースもあるので、きちんと検診を受けましょう。生理痛や過多月経などの場合保険適用になるケースも多く、低容量ピルに比べて経済的です。宋さんは第2子出産後にミレーナ装着し、先日5年経過したので新しいものに入れ替えたそう。

「私の場合、出血があっても本当に少なかったのでおりものシートで間に合ったし、5年間生理用ナプキンを買い続けることを考えると地球に超優しい。最初に入れてから5年きっかりより少し前に、出血が始まってお腹痛くなってきたんですよ（笑）。それでもやっぱりめちゃくちゃ楽。生理が毎月来ることに特に意味はありません。もし子どもが欲しいと思ったら外せばいいだけだし。生理痛がひどくて日常生活に支障をきたしている方には、一つの選択肢として知っててほしいですね」（宋さん）

次回は7月23日（金）18時配信です、お楽しみに！