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【映画『ベル・エポックでもう一度』】さすがアムールの国フランス映画! 愛の主張や表現も痛快です、他1編

2021.06.11

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『ベル・エポックでもう一度』

ベル・エポックでもう一度

©2019 -LES FILMS DU KIOSQUE-PATHÉ FILMS-ORANGE STUDIOFRANCE 2 CINÉMA-HUGAR PROD-FILS-UMEDIA

時代、自己評価、夫婦、家族、そして恋。うま味凝縮の人生讃歌

現代の“デジタル社会”の恩恵を存分に享受する一方で、アナログ時代の温かみをノスタルジックに恋しがる私たち。どっちも捨てがたい、そんな矛盾した願望をとくと叶え味わわせてくれる本作。“これぞフランス映画!”とひざを打ちたくなる、粋な展開が心くすぐる。

仕事を解雇された元売れっ子イラストレーターのヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)は、映像製作会社を経営する息子の羽振りのよさが気に入らない。一緒にアニメーションを作ろうと誘われても、即却下。そんな偏屈な態度に、遂に妻(ファニー・アルダン)から追い出される。

居場所を失ったヴィクトルは、息子からプレゼントされた〈タイムトラベルサービス〉をしぶしぶ試すことに。行きたい時代と場所、思い出を伝えれば、それを再現してくれるという。ヴィクトルは“運命の女性に出会った1974年のリヨンのカフェ”をリクエスト。ヴィクトルが巨大セットに赴くと、当時の街並みや泊まったホテル、その部屋までもがそっくり再現されていた。彼は用意されていた’70年代のファッションに身を包み、心ときめかせてカフェに行く――。

早い話、対象者以外は全員俳優の〈再現セット〉で、人生の大切な日を再体験できるサービスだが、パンタロンスーツに身を包んだ初老のヴィクトルが、刻々と華やいでゆく姿にウキウキさせられる。“運命の女性”役の女優に本気で恋をしそうになるヴィクトルと、少年みたいに目を輝かせる彼に好意以上の感情を抱く女優の、心模様とその展開もスリリング。

果たして“あの頃の自分の心意気や恋心”を取り戻した彼は、現実に戻ってどう生きていくのか。夫婦の愛憎と絆、父と息子のいつしか立場が逆転する関係性や複雑な心境など、親と子どちらにも共感できるLEE世代には、“自分事”として心に響く。さすがアムールの国のごとく、恋心に迷いなく即行動する激しく個性的な愛の主張や表現も痛快。人生っておもしろい! 往年の名優たちの味わい深い演技にも喝采必至。

・6月12日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開予定
公式サイト

Mr.ノーバディ

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・6月11日より全国ロードショー予定
公式サイト

※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。


取材・原文/折田千鶴子


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