LIFE

映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

「アドレナリンが出過ぎて放心……」中村アンさんが語る、映画『名も無き世界のエンドロール』

  • 折田千鶴子

2021.01.27

この記事をクリップする

本格女優に開眼させられた作品

実は個人的に“なりたいルックスNo.1”の中村アンさんに、LEEwebにご登場いただきました! 実際にお会いして魅せられたのは、その“美しさ”だけではなく、全身から放たれるポジティブな空気、同じ目線で話を聞き、率直に語ろうとしてくれる感じの良さその姿勢です。

巷で話題となったドラマ「危険なビーナス」での好演も記憶に新しいアンさんですが、今回は重要な役で出演された映画『名も無き世界のエンドロール』についてたっぷりお聞きしました。まさにアンさんが本格女優に開眼させられた本作は、キャッチコピーの“ラスト20分の真実”のとおり、最後にアッと驚く仕掛けが待ち受けています。

もちろん映画のお話だけではなく、“その美貌のちょっとした秘訣”や、今日から誰もが出来る(!)お役立ち・美への小さな習慣も伝授していただいたので、最後までお楽しみに!

中村アン
1987年9月17日生まれ、東京都出身。高校、大学とチアリーディング部に所属し、全国大会にも出場。主な出演作にドラマ「小さな巨人」(17)、「集団左遷!!」(19)、「グランメゾン東京」(19)、「SUITS/スーツ」シリーズ(18、20)、「危険なビーナス」(20)、映画『ミックス。』(17)など。ディズニーアニメーション映画『ファインディング・ドリー』(16)では吹き替えも担当した。

──『名も無き世界のエンドロール』で演じたリサという女性は、共感しづらいキャラクターではありますが、そういう役へのアプローチは、これまでとは違いましたか?

「リサは苦労知らずで、奔放で明るく、ワガママ。ちょっと“ブッ飛んでいる人”なので、それはそれで楽しもう、と。本性が現れるラスト20分に向けて彼女の性格を分析し、組み立てていきました。登場人物も少ない本作で、すごく重要な役をいただけたな、と感じました」

──自分の中で“ちょっと苦労したな”と思われるシーンなどはありましたか?

「前半は今から10年前という時代設定なので、その若さをどうやって出すかが難しかったですね。“ちょっとバカっぽい”と言うと語弊がありますが、少しキャピキャピしているというか……。監督から“もっと(テンションを)上げて、もっと若い感じに”と何度も言われましたが、普段の自分とは違うので、その程度が分からず、実はそこが最も難しかったんです」

確実に私の転機になりました。

『名も無き世界のエンドロール』
原作/行成薫「名も無き世界のエンドロール」(集英社文庫)
監督:佐藤祐市
出演:岩田剛典 新田真剣佑 山田杏奈 中村アン / 石丸謙二郎 大友康平 柄本明 
©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
配給:エイベックス・ピクチャーズ
2021年1月29日(金)全国ロードショー、「Re:名も無き世界のエンドロール~Half a year later~」は映像配信サービス・dTVで1月29日より【全3話】独占配信

『名も無き世界のエンドロール』ってこんな映画

複雑な家庭環境で育った幼馴染のキダ(岩田剛典)とマコト(新田真剣佑)に、同じ境遇の転校生・ヨッチ(山田杏奈)も加わり、3人は強い絆で結ばれていました。ところが20歳のとき、ヨッチが突然いなくなってしまいます。そんな矢先、2人の前に政治家令嬢で人気モデルのリサ(中村アン)が現れます。マコトはなぜかリサに執心し、仕事を辞めて忽然と姿を消してしまいます。数年後、遂にマコトを見つけ出したキダは、マコトが10年がかりで立てた壮大な計画に手を貸すため、裏社会に足を踏み入れるのですが――。

──リサにふさわしい男になるため死に物狂いで大金を稼ぎ出したマコト(新田真剣佑)が、リサに対する“大プロポーズ作戦”を決行する、というのが大筋です。その作戦が“ラスト20分の真実”にも繋がるわけですが、そのシーンは2日がかりで撮影したそうですね!

「はい、そこはリサが感情を爆発させるシーンでもあるのですが、かなり時間も掛かりましたし、結構なテイク数も撮ったと思います。脚本のかなりのページ数を一連で撮る長いシーンだったので、カメラ位置から動きから色々と大変でした。もう“闘い”という感じ。アドレナリンが出過ぎて、終わった瞬間は放心状態になり、その時のことをあまり覚えていないくらいでした」

──感情を爆発させるまで、自分を持っていくのは大変でしたか?

「あのシーンは宿泊していたホテルが撮影現場だったので、起きたら撮影が始まるという、集中して役に入り込める非常に恵まれた環境に助けられました。誰かにあんな風に感情をぶつけるなんて、私生活でも経験がないですし、演技としても初めてだったので、不安でした。リサの感情を書き出してみたりもしましたが、監督が具体的に指示を下さったので、本当に導いていただいたという感じで、現場ではスッと役に入っていけた感じだったんです」

──感情爆発だけではなく、人には見られたくないような“歪んだ表情”がフと表出する瞬間も見ものだと思いました。

「自分が怒った表情って自分で見たことがなかったので、映画を観て“へぇ、こういう顔をするんだ”と思いました(笑)。まだ経験豊富ではないのですが、この役に入り込んでいるときに“あ、楽しい!!”と思った瞬間があったんです。自分とは別の人間として感情を爆発させたことで、自分の中で吹っ切れたというか、お芝居に対して少し景色が変わったのも感じました。確実に私の転機となる作品だと思います」

本作が、まさに好きなタイプの映画

──この映画の魅力を、アンさん自身はどんな風に感じていますか?

「受け取り方は皆さんの自由ですが、いろんな登場人物の立場に立って考えると、それぞれすごく切ないんです。だから、その切ない感じを楽しんで欲しいです。心に響いて、観終えた後の余韻も長いと思います。最後に“あ、こういうことだったのか!!”と思った後に、もう一度見ていただくと、また違う楽しさも味わえる作品でもあります」

──アンさん自身は観客として、どんなタイプの映画が好きですか?

「結構、どんでん返しが起きる作品が好きなんです。例えば最近では『パラサイト 半地下の家族』がすごく面白かったです!! 途中“なるほどぉ!”と驚いたりして(笑)。『SEARCH』も最後に驚きがあって好きでした。最後に“あ、こういうことか!”と腑に落ちる感じがすごく好きで。だから本作も好きなんです」

1 / 3

──本作きかっけで女優として新たな欲も湧いた印象を受けます。今後、どんな作品に挑戦したいですか?

「これまで、“スッとデキる系”女性の役を頂くことが多かったんです。それもとても嬉しいですが、私自身はデキル女ではないので(笑)、違う役もやってみたいとも思います。チアリーディングをやっていたので、例えばちょっと熱血な感じとか。ドラマ「教場」を観て、ああいう規律正しくちょっと堅い警察学校みたいな雰囲気のものもいいなぁ、とか。でももちろん、どんな役でも自分を成長させてくれると思うので、選ばずどんどん挑戦していきたい。その上で、自分のイメージにない役が出来たらいいな、と思っています」



美の秘訣、そして30代という年代

──リサは“高嶺の花”と言われる存在ですが、アンさん自身にとっての“高嶺の花”って何かありますか。

「それこそ今、一緒にお仕事をさせていただいている方々全員が、自分にとって“高嶺の花”でした。みなさん“テレビの中の人たち”という感じで、自分からすごくかけ離れた存在だったので、そんな方々とお仕事が出来ていることが、すごく不思議な気分です。特に!? 母が織田裕二さんの大ファンで、小さな頃から“お母さんの好きなタイプは織田裕二さん”と聞かされていたので(笑)。だからドラマ「SUITS/スーツ」で織田さんの秘書役をやらせていただいたとき、人生、本当に何があるか分からないな、と心の中で思いながら演じていました。“ある種の親孝行”と言えるのかな(笑)!」

──さて、アンさんのその美貌は一日にしてならずとは思いますが、誰でもちょっとした工夫で出来そうな美の秘訣って、何かありませんか?

「人それぞれキレイの基準は違いますが、体型に関してはクロスフィットなど私自身色々やってみて、すごく節制してここにたどり着いたんです。元々動くことは大好きですが、コロナ禍の今は、なかなか思い通りにいかない。みなさんも家の中で座っている時間が長くなりましたよね!? そういう状況下で、座りながらでも出来るのが“捻る”こと。ココ(脇下からの体の側面)を伸ばすことが大事なので、私も捻って伸ばすようにしています。そう心がけてから、姿勢がすごく変わりました。とにかく私たちの体って、癒着しているらしいんです。座ったままだと下にくっ付いていってしまうから、捻ってほぐす。そして骨を一つ上に持ち上げるようにすると、重心が一つ上になって姿勢も変わってきます」

1 / 3

──今、この部屋にいる全員の頭が一つ上に伸びましたが(笑)、確かにそれだけでも変わりそうですね。

「もう一つ、肩甲骨を寄せるだけでも違いますよ。一生懸命、肩甲骨を寄せようと思ったら、結構辛いんです。でも、そこを頑張って胸を張って肩甲骨同士をくっつけようとすれば、それだけで姿勢が変わってきます。私も待ち時間に必ず上半身の重心を上に一つ持ち上げ、肩甲骨をくっつけるように頑張ってます。がむしゃらに筋トレをしなくても、一日のどこかで肩甲骨を頑張って寄せてみるだけで、十分にきれいな体になってくると思います。これはおススメです!」

──では最後に、LEE読者と同世代、現在33歳のアンさんですが、30代をどんな年代にしていきたいですか?

「今は、周りから“30代はすごく楽しいよ”と言われて来た意味が、少し分かるようになってきたかな、というところです。同時に、女性として何となく数字を意識する年代だな、とも感じます。私は25歳くらいから本格的にお仕事にスイッチを入れ、ようやく少しずつ形になってきたところですが、結婚や子育てにも興味が湧いてきました。LEEで連載中の里田まいちゃんとも仲良くさせていただいていて、周りのそういう友達から刺激をもらっているので、良きところで色んな決断が必要だろう、30代はそういう年代になるだろう、という予感があります」

──決断、ですか。

「決断です。普段は年齢のことや結婚や子育て願望をすっかり忘れているので(笑)、ポケ~ッとしていたら現状のままで通り過ぎてしまいそうでもあって。がむしゃらに頑張った20代とは違い、30代は楽しみながら色々考えて決断する時期だな、と思っています」

 

本格女優に開眼したアンさんのこれからもキャリアと同時に、女性としてどんな決断をされていくのかも楽しみです。

そんなアンさんが転機だと語った『名も無き世界のエンドロール』は、29日より公開です。ラスト20分の真実を、是非、映画館で目撃してください。

映画『名も無き世界のエンドロール』

原作/行成薫「名も無き世界のエンドロール」(集英社文庫)
監督:佐藤祐市
出演:岩田剛典 新田真剣佑 山田杏奈 中村アン / 石丸謙二郎 大友康平 柄本明
©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
配給:エイベックス・ピクチャーズ
2021年1月29日(金)全国ロードショー、「Re:名も無き世界のエンドロール~Half a year later~」は映像配信サービス・dTVで1月29日より【全3話】独占配信
https://www.namonaki.jp/

折田千鶴子 Chizuko Orita

映画ライター/映画評論家

LEE本誌でCULTURE NAVIの映画コーナー、人物インタビューを担当。Webでは「カルチャーナビアネックス」としてディープな映画人へのインタビューや対談、おススメ偏愛映画を発信中。他に雑誌、週刊誌、新聞、映画パンフレット、映画サイトなどで、作品レビューやインタビュー記事も執筆。夫、能天気な双子の息子たち(’08年生まれ)、2匹の黒猫(兄妹)と暮らす。

この記事へのコメント( 0 )

※ コメントにはメンバー登録が必要です。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる